「とまぁこんな感じでトラリンと愛ちゃんの二人だけの舞踏会の動画を撮っておきました。愛好会用のお宝映像ゲット!」
「ほんとブレないな貴様」
「二人ともなんの話してんの?愛好会?」
後なんか動画撮ってるって言ったけど。動物園にでも行ってきたのか?レリックは。
「…ん?ビナー様?」
「あれ?本当だ。ビナーさんがこっちに来てるね?なんだろ」
お茶会はさっきやったばかりだからな。なんか別の用事でもあるんだろうか?…そう言えば本部の職員たちが俺がビナー様とお茶会してると物凄い珍獣を見る目で見てくるんだけどなんでだ。
「小さき小鳥よ。お前に我が旧友からの言伝だ」
「ん?ビナー様の知り合いが俺に?」
「左様、後日、お前の巣へと赴き言の葉を交わしたいと言っていた。日時は明日だそうだ」
明日!?そりゃまたなんとも急な話だな。
「分かりました。明日ですね?」
「あぁ、私からはそれだけだ」
知り合いか。しかもビナー様の知り合い。『爪』かな?それしか思い浮かばん。
「……あのさ、トラリン、『調律者』って知ってる?」
「ん?都市に致命的な害を与えるやつを排除する『頭』って組織から派遣される超人だろ?つまりツヴァイ協会をめっちゃ凄くした存在」
「……そっかぁ…トラリンはそのままのトラリンでいてね」
なんか微笑ましいモノを見るような目で俺を見るんだけど。なんか子供がそれくらい常識だろ?っていう感じの顔で言い切った言葉を微笑ましく感じてる姉や親のそれなんだけど。
「まぁ、いいや」
いつものことだし。
「HAHAHAHAHA!」
「……え?ミライ?」
「僕じゃないよ…」
じゃあ、今の笑い声は?
俺は意識を切り替えて視界の範囲にいる何かを探す。
すると視界のギリギリの位置に黒い塊が鎮座しているのが見えた。
「え、あれって…」
「HAHAHA……HAHAHAHAHAHAHA!!」
「収容違反だ!?」
いつから居たのか知らないけど『笑う死体の山』がメインルームの端っこに立っており俺があいつに気付くと笑いながら突進してきた。
「HAHAHA!!!!」
「うぉおおおお!?」
咄嗟に憎シミを構えて踏ん張るがズリズリと火花を散らしながら後ろに滑っていく。
「あぁあああ!お客様!困ります!困ります!列を乱さないでください!」
「お客もなにも其奴しかおらんだろ!?焦りすぎだ!」
山田くん単体はそんな強くないけど勢いがおかしいんだよ!俺がジョシュアに殴り飛ばされた位の勢いはあるぞ!?
「いい加減トラリンから離れろ〜!」
「穿て!」
「こんの!」
空いてる手を使ってラブの粘液をばら撒くがほんの少し遅くなっただけでまだ火花が散っていた。
よりにもよってこいつの弱点が突ける職員がここに居ない時に戦うことになるなんて!ラブの憎シミもBLACKだし、黄昏には持ち帰る隙がない。レリックの黒い月は特に高いし、アビスの『憧れ』でも大したダメージを与えれないし。このままだとオフィサーに犠牲者が出る。
「ん?んな!?こいつ俺のことを吸収しようとしてる!?」
俺のことを死体だと思ってるのかしてその黒い身体を使って俺を取り込もうとしていた。人間の死体なら身体が増えるだけだけど、半アブノマ状態の俺を取り込むとどうなるか分かったもんじゃない。
どうすれば良いのかと考えてると顔の横に細い腕が伸ばされ山田くんの動きが止まった。
「HA!?」
「……え〜っと?」
「いつもの時間にアビスが来ないと思ったら。こんなことになってるなんてね」
この声、もしかしてレヴィアタンか?いや、どうやって山田くんを片手で押さえてるの?強くない?
「…別に仕事だからこう言うことをとやかく言うつもりはないけどね」
「ha……」
「…とっても幸せそうなこの子を自分の餌にしようとしただけじゃなく。私と眷属であるアビスの時間の奪うだなんて…あんた」
「妬マシイワ」
彼女がそう言うと山田くんが吹き飛び、アビスの目を覆う炎と同じ炎が山田くんを燃やし尽くした。
「…フン!あんたなんかにこの子たちはあげないわよ。気狂いアンデッド」
「あ、ありがとう」
「別にあんたの為じゃないわよ!私の折角の眷属をあんなやつにあげたくなかっただけだもの!」
ティファレトと同じくらい和むなこの人を見てると。
「そう言えば私と一緒に閉じ込められてたあいつら元気かしら?フフン♪私が一番最初に眷属が出来たことを知ったらどう思うかしら?」
何やら良からぬことを考えてる気配。大罪ってそれぞれが個性豊かそうだから眷属自慢したらどうなるか分かったもんじゃないぞ。
「それじゃあ、今度来る時はお茶菓子も持ってきてよ。話を聞いて食べたくなっちゃったから。持って来なかったら妬むわよ!」
「あ、はい」
−−−満足気に尾を揺らすレヴィアタンを見て、この人がさっき山田くんを倒した人と同一人物なのかぁと染み染み思った
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