私と我と俺のお仕事。   作:CoCoチキ

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二百三十話 黄昏の旅人、夢現の旅人

 

 「さぁ!僕の攻撃を受け止めて!」

 「それがお望みとあらば何度でも!」

 

 夢幻が盾をブーメランのように投げてくるのをミミックで受け止めて剣撃を黄昏で受け流す。レイピアのように鋭く何度も突きを放ってくるのに俺はランプで視線を誘導して躱す。

 

 「らぁ!」

 「おっと!やるね!でも僕の武器がこれだけじゃないのはキミも知ってるよね!」

 

 腕を掴んで投げ飛ばすと信号機の上に着地し、楽しそうに笑いそう言うと白い杖と赤い銃を取り出した。

 

 「もちろん…あぁ、でも、俺だけ無敵って言うのもズルしてるみたいで、なんだか悪いな」

 「気にしなくて良いよ〜だって、キミには全力でぶつかって来て欲しいからね!それに、キミなら無敵だからって言って負けを認めない程ズルい子じゃないでしょ?」

 

 評価高いなおい、嬉しいけどさ。

 

 「さぁさぁ!まだまだ行くよ!」

 

 杖を振るうと周りに魔力弾が浮かび上がって俺の動きを阻害する。そしてその魔力弾を目眩しに次々と銃弾を撃ってくる。銃弾をミミックで弾き飛ばし、ラブで魔力弾を相殺すると同時に粘液を周囲にばら撒いて動きを阻害する。

 

 「食らえ!」

 「おっと!危ない危ない、相変わらず足癖が悪いね〜」

 「全力でぶつかって欲しいんだろ?だから俺はどんな手を使ってでも勝つ!」

 「良いね!やっぱりフィクサー向いてるよトラベラーくん!もしキミが野良のフィクサーなら、いや!どこかに所属してても絶対にスカウトしてたくらいには!」

 

 フィクサーか。俺もL社に行くことを選ばなかったらそうなってたのかな?幾つか並行世界に移動したことはあるけど。フィクサーやってるかどうかは分かんなかったし。

 

 「だったとしても俺はアビスやレリックも一緒じゃないとどこの事務所にも所属しなかっただろうな。間違いなく」

 

 お互い会話しながらも攻撃を手を緩めず攻防を続ける。お互い防御が堅いからなのか大きな一撃などは当たらず夢幻の方に細かい傷が出来ていく。

 

 「そっか〜キミが僕の事務所に来てくれたら、間違いなく特色になってただろうし、名前も僕と似てる感じで『黄昏の旅人』とかだったりして!」

 「黄昏の?どっちかと言うと黒だと思うんだけど、俺の色的に」

 「その武器の名前が黄昏だからだよ、特色に付られる色は、その攻撃の仕方や色から取られるんだ」

 

 なるほど、確かに黄昏は夕暮れの色の中に入ってるな。それなら黄昏って言うのもおかしくないのか。

 

 「それじゃあ、身体も暖まってきたし!ギアを上げていくよ!」

 

 夢幻が虚空に手を伸ばすと銃、剣、杖、球体の全部の武器を取り出した。

 

 「知ってるかい?青い球にはこんな使い方もあるんだよ!」

 「マジか…訓練の時は全然本気じゃなかったってのがよく分かるわ」

 

 球体を銃に詰め込むとそれを打ち出し青い弾丸が迫って来るが羽で弾き飛ばした。

 

 「っ!…しまった。弾き飛ばした位置に眷属がいたのか」

 

 いや、待てよ?本当に偶然だったのか?確かに今ので眷属が一体やられたけど。位置は把握してる。なのにあんなミスをするなんて……

 

 「夢幻、お前、俺が弾を弾くのを狙ってたな?」

 「ふっふっふ〜!もちろん!トラベラーくんなら無敵でも絶対に弾いてくれると思ってたよ!」

 

 どこまでが計算の内なのかは分からないが弾いた時に跳弾するようにしてたなこいつ。

 

 「だったら次はそのまま真っ二つにぶった斬る!」

 「シアンに似てきたね〜その脳筋戦法!シアンもよくそうやって力押しをするんだよ!」

 「まぁ、一応は俺に潜在能力の使い方を教えてくれた師匠みたいなもんだし」

 

 シアンに関してはただ単純に自分より強い相手と戦いたいだけだと思うけどな。

 

 「あ〜そう言えばトラベラーくんってよくシアンの八つ当たりに付き合わされてたね」

 「だからこんなことも出来るわけっだ!」

 

 両手の武器を同時に振りかぶり地面に亀裂を作った。流石の夢幻でも受け流せないと感じたのか少し冷や汗を掻いている。

 

 「おぉ…ほんとにシアンそっくりになったね」

 「ふふん♪まだ片手は無理だがいつかこの一撃もモノにしてやる」

 

 これも受け売りだが全部斬ってしまえばどんな相手だろうと関係ないだろう?

 

 「これはL社は将来安泰だねぇ、こんな守護者が居るんじゃあむしろ襲う側の方が可哀想だよ」

 

 杖を一回だけ回転させると夢幻の姿が薄らいで見え辛くなるが、ただそれだけで俺の目には見えている。恐らくこれは姿を眩ませる技なんだろうけど。相手が悪いな。

 

 後ろに回り込んだ夢幻に対してミミックを振り吹き飛ばす。

 

 「いた!?見えてるの!?」

 「俺の目は全部を見通すことが出来る特別な目だからな。隠れてる相手もすぐ見つけられるんだよ」

 「……ほんとに相手が可哀想だよ」

 

 まぁ、隠れて近づこうが俺には丸見えな訳だからな、スパイだの暗殺者だの送られてきたところで返り討ちに出来る自信が今はある。

 

 「それにしても本当に多彩な攻撃だな。銃と盾、剣と杖、杖と球、球と銃、こんだけ種類があるのに器用貧乏にならず本当の意味での万能型なんだからな」

 

 L社の職員も大体はなんでも扱えるようになってるけど。普通か普通よりちょっと上手いだけだからな。得意武器を持たせてる方が一番伸びが良い。

 

 「これも才能かな?たくさん特訓したって言うのもあるけど。武器の使い方にはセンスも必要になるからね。下手に色んな武器を持つより自分がこれだ!って思った武器を選ぶのも才能の一つさ」

 

 あっけらかんと言ってんのに言葉の重みが違う。流石と言わざる負えないな。

 

 「さて、それはそれとしてちょっと疲れてきたんじゃないのかな?キミはずっと戦いっぱなしだったし汗も凄いよ?」

 「…嘘を吐いてもしょうがないから言うが、確かに疲れてはいる。けど、それ以上にこの戦いが楽しく感じるんだ!」

 

 今まではずっとどこまで強くなるか。どうやって負けないかだけを考えてたけど。こんなに楽しいくて続けたいと思った戦いは初めてだった。

 

 「そうなんだね。僕もすっごく楽しいよ!けど。そろそろ終わりにしないとね」

 「…じゃあこっちもそれに誠意を示して」

 

 一体の眷属を残して全部を消して、その眷属を武器に変える。

 

 「…へぇ、自分のE.G.Oで来るのかと思ったけど、それなんだね」

 「あぁ、これはあの時の続き、なら決着を着けるのもこの黄昏じゃないとな」

 

 これが折れれば俺の負け、その前に倒せれば俺の勝ち、シンプルな話だ。

 

 「ベタなシチュエーションだけど。お互いこの一撃で終わらせるか」

 「うんうん、同じ名前を持って、同じ人外同士。まるでアニメやドラマのワンシーンみたいだ!」

 「じゃあ、そうだな…王道に沿ってここはこのコインが落ちたらってのでどう?」

 「良いよ!」

 

 夢幻と少し離れた位置に立ちコインを上に弾くと同時にお互い足に力を込めた。

 

 −チャリン

 

 「オラァ!!」

 「っは!」

 

 コインが落ちた瞬間にすれ違い、数秒の間、沈黙が続く。その沈黙を破ったのは俺が手に持った黄昏が砕け散る音だった。

 

 「…負けか」

 

 羽が元に戻り機械化していた四肢が元に戻るのと同時に力が抜けてその場に座り込んだ。

 

 「ううん、これは…引き分けだね」

 

 後ろでドサリと倒れた音がしたので確認すると夢幻が仰向けになって倒れてた。確かに、これは引き分けだ。

 

 「……こりゃまたベタな展開で」

 「うん、でもさ、すっごく清々しい気分だよ」

 「負けはしたけど尊い負けってやつ?」

 「そうそれ!あははは!ほんっと今日は人生最高の日だよ!弟子と一緒にお祭りに出て、僕と似たような子と戦えて、しかもこんなアニメみたいな決着をするなんて!」

 

 あぁ、でも確かに、良い気分ではあるな。届くかどうかも分からないと思ってた存在に、今ではこうして引き分ける程にまで近づいた、俺は間違いなく強くなれたんだと実感した。

 

 『教育チーム『旅人事務所』『極彩色の旅人』の夢幻選手!『突き刺さる罪』と相打ちになり脱落!これにより全フィクサーが脱落したことにより第二種目は終了となります!』

 

 −−−そんな放送を聞きつつ俺もその場で仰向けになった





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 安全:『ピエールのミートパイ』『謝肉祭』『杖事務所』『街灯事務所』『笑う顔たち』『捨て犬』『白紙事務所』

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