「おわっと!?今回は吸い込まれのか」
「…え、お、俺?」
共鳴の扉に吸い込まれた先はあの時の世界の筈なのだが、あの時と違って部屋は明るく、掃除もされていたようで綺麗になっていた。
「前に来た時、綺麗だな」
『ピピピ!』
「ん?こっちの俺もヘルパーくんを持ってたのか?」
「……あ、えっと…あの」
あ、こっちの俺が置いてけぼりだった。
「え〜初めまして、俺はL社のトラベラーだ。よろしく」
「…俺もトラベラー…その、こっちでフィクサーをしてる。それと、こっちは友人から貰ったヘルパーくん、えっと、家の掃除を手伝ってくれたり。不審者とかをやっつけたりしてくれるんだ。ちょっと友人と不審者を間違えるけど」
『ピピッピ!』
なんだか目の前に自分が居るのって変な感じだな。同じ俺だし。
「今日はD社って言う会社の共鳴の扉のテストを兼ねてやってきたんだ」
「そ、そうなんだ。紅茶…飲む?」
「お!俺も紅茶好きなんだよ!さっすが俺!好みも同じなんだな!手伝うよ」
羽毛の手じゃやり辛いだろうし。
「知ってると思うけど、俺はL社に所属してる職員だ。お前のとこのL社とはかなり違うけどな」
「うん、みんな仲良さそうだったし。なんだか色んな生き物が居て楽しそうだったよ」
ポットに茶葉を入れてお湯を注ぎつつ。俺と向こうの俺の世界のことで他愛もない会話をした。
「前に来た時は結構埃が凄かったけど。掃除したんだな」
「そう、そうなんだよ!えっと、えっと、この間さ!図書館って場所から光の柱が伸びてさ!そこから図書館で死んだ人が光と一緒に出てきたってニュースでやってたんだ!そ、そしたら居ても立っても居られなくて。掃除してたんだ」
「ってことは図書館で死んだアビスも?」
「うん!その時にレリックからも手紙が来て、明後日帰ってくるんだ!あ、掃除だけじゃなくて美味しい料理作っておかないと!」
目をキラキラとさせて少し幼さを見せる俺の話に相槌をする。こっちの世界の俺も、やっと三人でまた暮らせるんだなと、自分のことのように嬉しくなった。同じ俺だけどな。
【 レリック視点 】
「初めまして!私はL社のレリック!あなたは?」
「私は図書館司書補のレリック、こんにちは」
な、なんかこっちの私ってば大人びてるんだけど少し。いや、それはそれとして。
「話に聞いたよこっちのトラリンとのこと!トラリンが繊細なのを知っててどうして一人にしちゃったの!」
私が詰め寄るともう一人の私は悲しそうに目を伏せた。
「…そう、トラリンと出会ったのね。うん、私もどうかしてると思ってる。でも、私たちが生き残るにはそれしかないと思ってたの。けど、結果は聞いての通り。私は図書館司書になって、アビスンは殉職…ほんと、何をしたかったの分からなくなっちゃったわ」
もう一人の私は、後悔してた。私だってこの選択をしたら後悔する。
「けどね。アビスンのどこかで生き返ったって聞いたの。館長からね。それに望めば私たちを図書館から家に帰してくれるって。だから、今日が最後の仕事、これからはもう絶対に離れないって決めたの。あの子の為にも」
……もう問題は解決してたんだね。ううん、まだだけど、きっと解決する!だって私のことだもん。強引にでも解決するよ!
「あ、でもあなた大丈夫かな?最初にローランが入ってきた時に四肢が切断されたって言ってたけど」
「えぇ!?怖い!どどどどどっどどうしよう!?」
「だだ、大丈夫!私が説得すればきっとなんとかなるわ!」
ひぃいいい!図書館ってそんなに怖いところなの!?
「別に説得なんかしなくても、事情は知ってるから何もしないわよ」
「「キャアアアア!?」」
「……そんなに驚かないでほしいわ」
え、アン先輩?なんだか髪が短くなってるし目が開いてる!
「わぁ!アン先輩可愛くなってる!美人さんだったのに可愛さに磨きが掛かって、何よりその服もオシャレだね〜!」
「…先輩?そっちの私とは随分距離が近いのね?」
可愛い!!!今度、アン先輩に髪を変えてみないか聞いてみようかな!
「…さっきまで私に怯えてたとは思えない程の変わり身の速さね」
「我ながら凄い性格だわ」
【 アビス視点 】
「誰だ!」
「…ふむ、誰かと聞かれたら貴様だ」
「……クローン?いや、違うな。別世界の我か?」
流石は我、並行世界であろうとその位はすぐに思い付くか。
「色々と言いたいことはあるがまずは聞かせてもらおう。なぜトラベラーを置いていった?」
「…念の為と言うやつだ。行方不明になった先で死んでいた可能性もあるからな。確かにレリックは生きていたが。あれはトラベラーを連れて来なくて正解だと今でも思っている」
むぅ、やはり違う世界と言うだけあって性格の全てが同じと言う訳ではないか。
「ええい!ならば貴様はなぜ生きている!死んだとこっちのトラベラーから聞いたぞ!」
「気が付いたらこの路地で目が覚めた。から急いで家に帰るところだ。道中で同じように生き返っているであろう仲間を連れてな」
ならばさっさと帰らんか!何を呑気にしているんだ貴様は!
「…クク…同じ我とは思えないほど若いな」
「何が若いだ!同い年の癖に」
「その気持ち、大事にしろよ?我のように大切なモノを手から溢れ落とすようなことはするな」
そんなこと言われずとも分かっとるわ。あやつと話しているとペースが乱される。まるで子供を見るような目をして。
−−−まさか本当に年上だとはこの時の我は思っていなかった。
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