ある日、私の仲間が人間を見つけてきた。仲間曰く、その人間は儚く、消えてしまいそうだと言っていた。私は目を譲ってしまったから分からない、この天秤は今の今までに有罪にしか傾かなかった。仲間が言うことを疑う訳じゃない、だが、それでも天秤で測ることにしか私にはできない。森に怪物がいる。森には捌くべき罪がある。それを無視してまでその人間に会いに行く必要はない。この森を守らなくてはいけないのだから。
−−−ある日仲間の一人が人間の巣に向かっていった。そこにいる悪を捌くのだと言って。
仲間は正義感が強く、いつも正しいことをしていた。きっとその巣でも同じことをしているはずだ、心配はいらない。けれど、この森は相変わらず悪に満ちていて、天秤が右に傾くことがない。どうして?
−−−仲間の一人が人間の巣に向かった。仲間曰く、会いたい人間がいると言っていた。
どうして?森を守るために残っているはずなのに、どうして森から出ていくんだい?分からない、分からないよ私には。今日も天秤は右へとは傾かない。たった一人になってもこの森から悪は居なくならない。私がしっかりしなくては。
−−−私は、仲間たちの様子が気になって、仲間が行ったという人間の巣に向かった。
中に入る前に捕まってしまったが。元々入るつもりだったから問題はなかった。中の気配も感じる。間違いなく二人はここにいる。だけど、天秤はまだ左へと傾いたまま、ここでもやっぱり、悪はいる。
−−−声がする。人間の声だ。
私は審判をするために天秤を手に持つ、仲間が言っていた人間が悪なら、私は公平に裁かないといけない。私は公平でなければならない、故にこの天秤は必ずどちらかに傾かないといけない。これが裁けないことがあってはいけないのだから。
−−−天秤は傾いた。今まで傾くこともなかった右側へと。
驚いた。仲間は言っていたことは本当だったみたいだ。目のない私でも感じ取れた。消えそうではなかったけれど脆く、儚い存在であった。なるほど、この人間は私たちが守らないといけないようだ。仲間が自分の目を分け与えた。それなら私はこの布を渡そう、きっとこの人間の目を守ってくれる。私は私のこの天秤を信じる。白だと判決を下したのなら白なのだ。これは覆りようのない事実。お前に近づく人間を私は裁こう。お前を悪から遠ざけるために。さぁ、審判は終わった。後は執行をするだけだ。私と私の仲間が、守るのだ、怪物から!
−−−そうしなければ誰が怪物からみんなを守るのだ。
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