八話 エビ祭り
三日目!これがゲームの通りならまた新しいアブノマが来てるはず。あれ?つまりほぼ毎日アブノマが来るってこと?う〜ん。ま、いっか!
「おはようございます!」
「うむ、おはよう」
そういえば、気にして無かったけど。私の装備って妖精のやつになってるね。つみぜんさんは誰が着てるんだろ。
【ティファニー辺りではないか?職員はそやつしかおらぬし】
ちょっと着てみたかった気もする。
【我慢するしかあるまい】
「あれ?アン先輩…読書ですか?」
「ん?あぁ、昨日に間に仕事は終わらせてしまったからな。マルクトに勧められた童話を読んでいるんだ」
マル先輩が童話好きだったとは。それなら家で読まなくなった本とか持ってこようかな。あっても場所が嵩張るだけだし。
「今度は私がお勧めの本を持ってきますね!」
「そうか?なら、期待して待っていよう」
ものすごく集中してる。これは読むのを邪魔しちゃいけないね。抜き足差し足忍び足で行くとしましょう。
妖精のスーツに着替えて音を立てないように移動する。普段と変わらない廊下だけど。今日はなんだか。
ーーカモメの声が聞こえてくる。
「え、エビ?」
【エビだな。しかも二足歩行の】
わ〜け〜が〜わ〜か〜ら〜ん!
何がどうなったらエビがツナギを着て二足歩行で自販機に横に立ってるの!?情報量が多いよ!
『あ〜あ〜聞こえてますか?新人くん!』
「リムちゃん!これどういうこと!?」
『これでも先輩なんだけどな。えっと、本体はその自販機みたいなんだけど。そのエビっぽいのも情報収集をしておいてくれるかな?』
情報収集をって、話せるのかどうかも分からないのにどうやって集めればいいのよ。これ。
「え〜っと、エビ料理は何が好きですか!?」
私の大声に反応したエビが首を動かして私に視線を集中してくる。これは質問、ミスったかもしれないです。視線が突き刺さって離れない。
「そうですねぇ、私はエビチリが好きですね」
「僕はボイルが好きですねぇ」
「……っえ、喋った」
しかもなんか礼儀正しいし。
声を掛けてきたエビは不思議そうな雰囲気を出しながら、首を傾げていた。
まるで「何を驚いているんだろう?」となにも分かっていなさそうだった。
「聞いてきたのはあなたでしょう?そんな不思議そうびされても困ります」
「もしかして僕たちの見た目を気にしてますか?お気になさらずに聞きたいことは聞いてくださいね?」
こんな時にもう一人の私がいればエビの情報は分かるんだけど。とりあえず自販機の掃除しとこ。そのための掃除道具だろうし。
二匹のエビに見守られるの中で、私は無心で自販機を掃除し続けた。ここに受け入れる際に汚れたのか。それより前の場所での汚ればのか。大分と古い汚れだったようで。擦っても擦っても汚れが落ちることは無かった。これだけしつこいと。落とせるのかどうかも怪しい。
「これが限界かな〜」
「お疲れ様です。よければこちらの一杯をどうぞ」
ん?缶ジュース。これって本当に自販機だったんだ。ま、貰えるならありがたくいただきますか。
プルタブを引いてカシュ!と心地のいい音が鳴り。中身の液体を飲むと独特な香りと甘味の果物の味がした。それは今まで飲んだどんな果物のジュースよりも美味しくて、一気に飲み干した。
「ぷっはー!何これすっごく美味しいじゃん!」
「気に入りましたか?こちらは私たちもよく愛用しているジュースなのです」
こんな美味しいジュースをいつも飲めるなんて最高じゃん!
「もしかしてこの味以外のジュースもあるの?」
「はい!ですがそれはまた後にしましょうか。こういうのは労働の後に飲むのがいちばん美味しいのです」
エビの言葉にそれもそうかと頷いて、収容室を出ることにした。
なんだかあのジュースを飲んでから、料理を運んだりとかした時の疲れが取れた気がするし。あれには体力を回復する効果があったのだと思う。
ピロリン!と腕に抱えているタブレットの音がなり、確認してみるとアブノーマリティが出した物品をコントロールチームに提出と指示が出されていた。
提出と言っても空き缶しかないのに良いのだろうか?とは思ったけど。指示が出てるならこの空き缶でも良いのかと、戻ることにした。
「ただいま戻りました!空き缶はこちらに置いておきますね」
「あ、ゼロさん、あの液体を摂取してからの身体の調子は?どこか痛いとか何にかしら異常があったとか」
「美味しいのと、気怠さが無くなったくらいですかね?」
それ以外が思いつかないほどに美味しいジュースだった。
【いや、それは構わんのだが。あのエビ、どこかで見たことがある気がするぞ】
そりゃエビなんてどれも似たような顔をしてるんだから見覚えあるでしょ。
【そうなのだが。う〜む】
あぁ、考えてたらエビが食べたくなってきた。今日の晩御飯はエビ料理に決まりだ!
「そうと決まれば、エビに作業をしてきま〜す!」
「出来れば他の缶ジュースも持って帰ってきてくれると嬉しいです!」
「了解です!」
マル先輩の飲みたいんだね。あのジュースを!
【そうではないだろう。この食いしん坊め】
エビに作業をしに行くと、なんだか騒がしい音が聞こえてきた。水が跳ねるような音と無数のカモメが鳴く声が。あのエビ収容室から聞こえてきた。
「…な、なんか入るのが怖いんですけど」
これ、入った瞬間に海に沈められるとかないよね?
収容室前で躊躇してるとタブレットに指示が届いた。内容はこう書かれていた。『F–05–52』に愛着作業、これを見た私の心象は如何に。
「や、やってやろうじゃねえですか!このちょー優秀な私をバカにするなよ!」
A、やけっぱち
「失礼しますよエビさん!」
中に入るといきなり手を掴まれ「やられる!?」と思ったら何かを持たされた。それは糸状の何かで出来た網だった。
「網?…あの、なんで網なんですか?」
「すみません!ちょっと一緒に引っ張ってくれませんか!?かなりの量が掛かったみたいでして!」
同じ網を持ったエビにそう急かされ、慌てて網を引っ張るが、どこに網が繋がっててなにを引っ掛けてるのか分からず。恐怖で失神しそうになったのでひたすら引っ張り続けた。
どれだけ引っ張り続けたか分からない、30分はやってた気もするし実際はもっと掛かってるかもしれない。腕に力が入らなくなりそうになったその時!
「きゃあ!」
腕に掛かってた負担がなくなって尻もちを付いた。
「いった〜思いっきり打ったし」
「大丈夫ですか?」
お尻を摩ってるとエビが手?ヒレ?を差し出してくれて、それに掴まって立ち上がると。ありえない光景が目に入った。
「うっそ」
目の前ではたくさんのエビがビチビチと収容室内の床を跳ねていた。これはどういうことなのかと二足歩行のエビを見てみると、やりきったと言わんばかりの態度でエビのことを見下ろしていた。なんだかエビがゲシュタルト崩壊しそう。
「今日も大量に取れましたねぇ」
「そうだねぇ」
あまりに光景に少し唖然としたけど、いま話を聞くべきでは?と正気に戻り。質問をする。
「あの、このエビはどこから?それに今日もということは前にもこんなことが?」
「うん?そうだね。それにどこからって言われても、海からとしか言いようがないよ!」
隣にいるエビもうんうんと頷いている辺り、本当に海からとしか思っていなさそう。これって、これ以上質問しても意味があるのかな?
「う〜ん、ここって室内ですよね?」
「そうですね」
「なのに海からエビ?」
「はい」
………ダメだ。分からない、このエビはここが室内だと分かっていて、海でエビ漁をしたってこと?
「手伝ってくれたお礼にこちらとこちらをどうぞ」
「え、あ、ありがとざいます」
なんかジュースを三本とエビをくれた。収容室を出た私は、しばらく放心状態で、仕事を我に任せて考えたけれど。やっぱり何も分からなかった。
一つだけ分かったのは、我が思い出したこと。
ーーー【そうだ。あれは伊勢海老に似ているのだ】としみじみと呟いていた。
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