夜の散歩からテントに戻って目を瞑ってからも、玲音は純の事を考えていた。
今日は色々あったな
正直、純の気持ちを受け止めた後も、どうしたらいいのかよくわからない。
態度を変えた方がいいのか、変わらなくていいのか、頭の中で自問自答する日々だ。
今日のキャンプは久しぶりにそういう事を忘れて、みんなでワイワイ楽しめると思っていたけど、純の事になると、思うように行かなくて後悔する事ばかりだった。
純がケガをした時は慌ててしまって、手当てをする事にしか気が回らなかった。
純の顔を見て、ようやく、かなり恥ずかしい事をしてる事に気がついた。
穴があったら入りたいってこういう事をいうんだな。
恥ずかしくなってまともに顔を見れなかったけど、純が素直に手を繋いでくれたのは嬉しかった。
それに、温泉の件は盲点だった。
4人で温泉へ向かってる時、
翔と龍介が「Jって酔ってたっけ?」「でも、なんか顔赤かったですよ」
なんて話してて、ようやく気がついた。
しまったと思ったし、たぶん、赤面したんだろう。
翔が変な顔でこっちを見てた。
陸樹が何だか怒ってたみたいだったのは、俺の気が回らないせいだったのかもしれない。
申し訳なくて、自己嫌悪に陥った。
純になんて言おうかと思いながら帰ると意外と普通の様子で、酔いが冷めたと言って一人で温泉へ行ってしまって、声をかけるタイミングがなかった。
このまま今日が終わるのは嫌だった。
純ともう少し話がしたかった。
この辺はすごく星が綺麗に見えるから、純と一緒に見たいってずっと考えてた。
翔が早く寝てくれたおかげで散歩に誘う事ができたけど、緊張してたのか、夜は結構冷えるってわかってたのに、何も持って行かなくて、ホント、ダメだな…
風邪引かせたくないから帰ろうかと思ったけど、純が引き留めてハグしてくれた。
何だか気持ちまで温かくなった。
ただ、耳元で囁かれた時は心臓が飛び上がった。
耳弱いんだよな…
純の事だから弱点だとわかったら、面白がって息を吹きかけてきそうだ。
それだけは勘弁して欲しい…
流れ星も見れて良かった
またこうして一緒に星が見たい。
星だけじゃなく色んな景色を一緒に見たい。
流れ星に純は何を祈ったのかな?
まだ、素直に気持ちを言葉にしたり、態度で示したりはうまくできないかもしれないけど、純が待ってくれるなら、少しずつ変わって行きたい…
そんな事を考えてたら、ようやく寝付けたのは深夜遅くだった。
翌朝、あまりよく眠れなかったけど、習慣で早く目が覚めた。
水場に行くと、あくびをしている陸樹がいた。
「おはよう!陸樹、眠そうだな。」
「あぁ、昨日、駿から真琴の近況や龍介の翔への愚痴聞いてたら寝るの遅くなった上、龍介の寝相が悪くて起こされた。そっちは?」
「2人ともまだ寝てるよ。」
「そうじゃなくて、Jと何かあったのか?って聞いてんの!」
「それ、俺も聞きたーいww」
「?!!」
いつの間にか翔も起きて来ていた。
「夜、2人で、どっか行ったろ?」
「何だって?!」
「起きてたの?!」
「邪魔しちゃ悪いと思ってww」
「別に、星を見に行っただけで…」
「そんだけ?!」
「流れ星は見たけど?」
「そういう事じゃないだろ?」「何だ、その少女マンガみたいな話は?」
「うるさい!!事実なんだからしょうがないだろ?!」
「朝っぱらからうるさいなー。何話してんの?」
「!!!」
純が眠そうな顔でやって来た。
「コーヒーでも入れようか」翔がそそくさと離れる。
「おはよう、J」陸樹は不服そうな、でもホッとしたような顔をしていた。
「おはよ。うー、朝も寒いな」
純に自分の上着をバサっとかけた。
「俺は大丈夫だから」昨日できなかった事ができて嬉しい。
「あ、ありがと。あったかい」純が嬉しそうに顔を綻ばせた。
「バカは風邪引かないっていうしな」
「ほっとけ!」陸樹の悪態に純と一緒に笑った。
そうこうしてる内に駿と龍介も起きて来た。
「おはよー。めしー」「それ、めしに挨拶してる」
6人で囲む朝食は賑やかで、大家族のようだった。
次は真琴も一緒にみんなでキャンプしたいな。
変わっていくものがあっても、この友情だけは変わらずにあって欲しい…。
幸せな時間が流れていた。
END