純は最近気付いた事があった。
玲音といると女性に間違われる事がある。
モデルのように背が高い女性を連れたカップルだと思われる。
玲音も背が高いので、高身長同士のカップルに見えるらしい。
合点がいかないのは、今まで中性的と言われた事はあっても、女性に間違われた事は無いのに、玲音といる時だけ女性だと思われる事だ。
別に男友達だっていいわけなので、何が女性っぽく見えるんだろう
玲音の事は好きだけど、女になりたいと思ってるわけじゃない。複雑な気持ちだ。そもそも、何が男っぽくて、何が女っぽいんだ?
確かに、玲音は肩幅も広く、女っぽくは見えないので、男女のカップルに見えるとしたら俺が女性という事になるんだろう。
でも、はっきり言って、玲音の方が俺より女々しいくらいだ。性格や行動は俺の方がよっぽど男らしいと思う。
玲音はくよくよ思い悩むし、オバケが怖いし、繊細で優しくて、細かい事によく気が付くし
俺の方が豪快?だと思う。マイペースなだけかもしれないけど。
やっぱり見た目なのかなぁ
そりゃ、玲音に比べたらほっそりして見えるだろうけど。
玲音の広い肩幅や厚い胸板、大股で立つ立ち姿は男らしいの代名詞だと思う。
豪快に笑うところも。
玲音の満面の笑顔を思い浮かべると急にニヤけてくる。
エクボが似合うんだよな。目はキラキラしてるし。ホントに太陽のような笑顔…
はっとなって、ショーウィンドウに写った自分の顔を見る。
これかもしれない_
自分が想像してた以上に乙女ちっくな顔でニヤけてる自分の顔にショックを受けた。
もしかして、玲音の横にいる時、いつもあんな顔しちゃってるのか?!
恥ずかしい…これは気をつけないと
気を引き締めようと心に誓う。
でも、よく考えたら、玲音も純と一緒にいる時、優しい表情をしてる気がする。
2人の雰囲気がカップルに見えるって事なのかもな
そう思うとなんだか、幸せな気持ちになってくる。
玲音に会いたいな…
玲音の事を想って、また頬がゆるんでしまう純だった。
一方、その夜、陸樹は
「J、明日の夜ドライブに行かないか?美味しいラーメン屋見つけたんだ!」
翔の店でJを見つけて誘ってみる。
「あぁ、いいよ。玲音も行く?」
「いや、その日介護施設のバイトだから」
「あー、そうだった。陸樹、俺だけ行く。迎えに来てくれるんだろ?」
相変わらず、Jは無頓着だ。何でそこで玲音も誘うんだ?
Jも玲音も自分を信頼しきっていて、逆に嫌になる。
普通、こういう場合、玲音が行かなかったら行かない、とかなりそうなのに、それも無い。
Jに遠慮は無いから、玲音と先約がある時に誘ったら、バッサリ断られる。
嫁入り前の女の子でも無いから、2人きりの夜のドライブに誘ってるのに、全く気にしてくれない。
この天然はどうにかならないものだろうか
まぁ、意識されて邪険にされるのも嫌だけど…
食事の後、ちょっと夜風に当たりながら
「Jは玲音のどこが好きになったの?」と聞いてみた。
「え?! 何だよ急に? 恥ずかしい事聞くなよ!」
頬を染めて目を泳がせるJの顔は恋してる乙女の顔で、妬ける。
「俺はJの好きなとこ、すぐ言えるけど?」
「えー?聞きたーいww」とケラケラ笑う。
おいおい、どうしてそういう反応になる?結構ストレートに匂わせてないか?
「Jの天然な所は、あんま好きじゃない」
憮然として答えると
「は?? 何だそれ?! どこが天然なんだよ!」
もう、言い返す気力が無い
適当にあしらって、帰る事にした。
車に戻る前に一つだけ確認したくて
「玲音ともうキスとかした?」と聞いてみた。
途端にバシッと背中を叩かれ、そっぽを向かれた。耳が赤い。
見事に玉砕した俺は、泣きたい気持ちを堪えながら、マンションまで送った。
別れ際、Jが
「なんか、よくわかんないけど、今日はごめんな。ラーメン美味しかったよ。」
と言って、ニッコリ笑った。
その顔を見て、
やっぱ好きだー、諦めてやんねー!
と急に元気が湧いてくる陸樹だった。
END