早く会いたいな…
玲音は、バイトが忙しくてここ数日、睡眠も食事もまともに取れない日が続いていた。
体力だけは自信があったし、仕事はやりがいがあった。
でも、さすがに無理をし過ぎたと思う。
しかも、純と全然会えない事がこんなに辛いとは思って無かった。
ようやく一日休めるとなった時、真っ先に純の顔が思い浮かんだ。
明日の純の予定がわからなくて、すれ違って会えなかったら後悔すると思った。
そこで、純には悪いと思いながらも、夜中に押しかけてしまった。
すぐに帰るつもりだったけど、顔を見たら安心して気が抜けてしまったみたいで、
急に眠気が襲ってきた。気が付いたらベッドで寝てて、慌てた。
飛び起きそうになったけど、気持ち良さそうに隣で寝てる純を起こしたくなくて、踏みとどまった。
すやすや寝てる純を見てると幸せな気持ちになる。
愛おしくて、つい、額にそっとキスをしたら、目を明けたので、焦った。
純に寝顔を見るなと言われたけど、そんなの無理に決まってる。
可愛い顔で寝てる純が悪い‥悪くないけどww
キッチンに2人で立って朝食を作るのは初めてで、なんだか新鮮だった。
一人で料理をするのと誰かのために作るのは、何か違う。
すごく心が満たされる気がした。
朝食を誰かと食べるのも久しぶりで、穏やかで幸せな気持ちになった。
Jと一緒に暮らせたら、こんな幸せな時間がもっと過ごせるのかな
なんて、夢みたいな事を思いながら浸っていたら
突然、純が「一緒に暮らさないか?」と言ったので
飲んでたコーヒーを吹きだす所だった。
盛大にむせ返って、ゲホゲホしながら、
今のは自分の妄想のせいで聞こえた幻聴なのか、自分の心の声なのか、本当に純が言ったのか、頭の中がぐるぐるした。
ようやく落ち着いて純に確認した。
「今、何て?!」
純は俺があんまり狼狽えたせいで、かなり当惑した顔で
「一緒に暮らさないかって言ったんだけど?
何か、俺言い方間違ったかな?」
と焦ってた。
「いや、まさか、同じような事をJが思ってると思わなくて…
俺も、さっきJと一緒に暮らせたら、幸せだろうなとか思ってたから」
今度は純がビックリした顔をした。
「え?ホントに?」
「こんな風に一緒に食事を作ったり、食卓を囲んだりするのが久しぶりで、すごく安心して幸せだなと思っちゃって。
でも、実際の所、俺とJは生活サイクルが違うし、家で仕事をするJの邪魔になったり、迷惑をかけたりしたくない。だから…」
「待った!!」
急に大声を出した純に驚く。
「生活サイクルが違って、すれ違うのが嫌だから、一緒にいたいんだよ!!
一緒にいれば顔だけでも見れるし、元気かどうかわかるだろ!
玲音は一人にすると無理し過ぎるし、会えなくて、ただ心配するのは嫌なんだ…
それなら、迷惑をかけてもらった方がよっぽどマシだ!
玲音は俺の太陽なんだから、見えないと心が晴れないよ…」
最後の方は声が掠れてた
純の気持ちに泣きそうになる
甘えてもいいのかな…
純がぎゅっとハグしてくれた。
「あ、でもよく考えたら俺の方が生活不規則だし、だらしないから、幻滅されちゃうかな?嫌われたら困るし、やっぱ、やめた方がいいかも…」
急にゴニョゴニョ言い出す純に、ぷっと吹き出して声をあげて笑ってしまう。
「俺はJのそういう天然でマイペースな所も含めて好きだよ。
俺も人の事言える程、ちゃんとしてないし。
ただ、Jを束縛したり、迷惑をかけたりしたくないって思ってる。
一方的に俺がJのお荷物みたいになるのは嫌だ。
でも、Jが俺を支えてくれるように、俺がJの支えになれるなら、甘えてもいいのかな?
俺もJと少しでも一緒にいたい…」
こんなに純の存在が自分の中で大きくなってるとは思わなかった。
純を抱き締め返しながら
「急に引っ越してくるってわけには行かないけど、しばらく泊まりにきていい?」と聞いた。
純がホッとした顔で嬉しそうに笑ってうなづいた。
「当たり前だろ」
純の笑顔に胸が熱くなった。
純の額にコツンと額を合わせて、心から感謝を込めて、
「J、本当にありがとう。Jは俺にとって、暗い夜道を唯一照らしてくれる月だから。
Jが横にいてくれれば、自分の進む道に迷いそうになっても進んで行ける気がする」
と言った。
純がちょっと震えて、うん、とうなづいた。
そして、心の中で
あいしてるよ とつぶやいた。
この言葉は、まだ面と向かっては言えない…
それなのに、純が顔を上げて、最後何て言った?
と聞いたので、狼狽えて赤面してしまった。
「あ!最後何か変な事言ったろ!!せっかく感動してたのに!
何て言ったんだよ!ちゃんと言えよ!!」
「何も言ってないって!!」
むくれて抗議する純とじゃれ合いながら、こんな時間が続けばいいなと思う。
永遠なんて、この世には無いし、いずれ変わらないといけないのかもしれないけど…今だけは
明日からまた忙しい日常が始まるけど、
それよりも、純と一緒に過ごせる事が嬉しくて
幸せな気持ちで心が満たされるのを感じた。
完
純と玲音の共同生活へ続く