翔のミュージックバー   作:太陽に恋したライオン

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初めてのキャンプ;純の戸惑い

今日は真琴を除く6人でキャンプに来ていた。

真琴が渡米して寂しそうな駿を励ます会として翔が企画したのだ。

 

純はグランピングを提案したが、翔に却下された。

アウトドア派の翔と玲音がいれば、大丈夫だそうだ。

 

とりあえずテント設営班と食材調達班に分かれて準備を始めたのだが、

こういうの苦手だからグランピングって言ったのになと秘かにため息をつく。

 

ふいにポンっと肩を叩かれた。玲音だ。

「ここは俺と翔で間に合うから、食材調達班が帰ってくるまで散歩でもしてくれば?」

 

いつものエクボが似合う笑顔と気遣いにやっぱり太陽だなと思う。

 

玲音と翔は慣れた手付きで器用にテントを張っていく。

とても息が合っていて作業がサクサク進んでいった。

純の出る幕は無いようだ。玲音の言葉に甘えて散策する事にした。

 

一人で散歩をしながら、つい考え込んでしまう。

 

先日、告白?して気持ちが一応通じたみたいだが、かといって、2人の関係が大きく変わるということはなく、純自身も具体的にどうしたいという考えがあるわけではなく、宙ぶらりんな状態が続いている。

 

2人になると意識してしまうので、なんとなく、みんなと一緒にいて誤魔化しているのだ。

 

人の気持ちって難しいな…。

 

そんな事を延々と考えながらしばらく歩いていたら、木の根につまづいてしまった。

 

転びそうになり、木の幹に勢いよく手をついてしまう。

「痛っ」指先に痛みを感じた。

 

「どうした⁈!」

 

驚いて振り返ると、目の前に心配そうな顔をした玲音が現れた。

 

遅いから迎えに来たという玲音に、やっぱりSOSセンサーがついてるんだなとクスッとする。

 

「手をついた時に棘でも刺さったかな?」

 

玲音はさっと純の手を取り上げて傷口をじっと観察すると、おもむろに

「棘は抜けてるみたいだけど、毒とかあると怖いから、ちょっと血を吸っておいた方がいいな。」

と言い出した。

 

え?! それって?!

 

純が逃げる間もなく、指先をパクっとくわえられてしまった。

 

血を軽く吸われ、ちょっと痛みを感じる。

しかし、それ以上に指を舐められてるという状況に動揺してしまい、心臓が口から出そうだ。

 

耳まで真っ赤に違いない。

 

玲音は動揺する純に気付かないまま、ポケットから絆創膏を取り出して、傷口に貼ってくれた。

 

「これで大丈夫!」

 

と顔を上げて、初めて純の表情に気が付いたようで、

 

「わっ⁈ ご、ごめん!!」手をパッと離して今度は玲音の方が盛大に狼狽えた。

 

「い、いや、ありがと…」純がしどろもどろに答える。

 

こんな、意識してるってモロに顔に出すなんて、

恥ずかしくて死にそうだ…玲音は手当をしてくれただけなのに...

 

「と、とにかく、戻ろう」と玲音は純に背中を向けて歩きかけたが、すぐに振り返って、すっと手を差し出した。

 

「また転んだら危ないから」

 

見ると玲音の顔も真っ赤だ。

 

それでも手を差し出してくれる玲音の優しさが嬉しくて、素直に手を重ねる。

 

そういうところが好きなんだよな…

 

キャンプ場に着いた時には手を離してしまったが、純は幸せな気持ちになっていた。

 

キャンプ場では、何やら翔がプンプンしていた。

 

どうやら、買ってきた食材が気に入らないらしい。

肉が大好きな駿と陸樹は野菜をほとんど買わずに、肉ばかり買ってきたらしい。

頼みの龍介もデザートの甘いものしか目がいかなかったようだ。

 

翔が「これじゃ、BBQになんないだろ!」と怒っていた。

 

玲音と純は顔を見合わせて吹き出した。

 

「俺たちが追加で買ってくるよ!」と玲音が提案し、純に目で、いいよね?と聞いてきた。

くすぐったい気持ちになりながら、純は、もちろんとうなづいた。

 

陸樹が「じゃあ、俺も一緒に行く」と言ったが、

翔に「お前は責任持って肉焼いて食ってろ!」と言われてしまう。駿にまで「俺の肉も焼いて~♡」と甘えられたら諦めざるを得ない。

 

ニコニコしながら車に乗り込む2人を横目で見て、やけ食いしてやる!と陸樹は心の中で嘆いた。

 

 

END

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