仮面ライダー電王LYRICAL A’s   作:(MINA)

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最新話を投稿します。


第四話 「乱戦!!俺達参上!!」

モニュメントバレーを髣髴させる荒野---『時の空間』

自分達の世界と別世界の時間を繋ぐ『橋』をデンライナーは走っていた。

「別世界の時間が滅ぶ」とオーナーから聞かされている野上良太郎、モモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロス、コハナはプレッシャーで引き締まった表情をしていると誰もが思うだろう。

だが、

「良太郎、アイツ等元気していると思うか?」

モモタロスはオセロ盤に白の駒を置く。

「アイツ等って、フェイトちゃんやなのはちゃん達のこと?」

良太郎は黒の駒をモモタロスが置いた白駒の前に置く。

「おうよ」

「多分、元気してるんじゃないかな」

良太郎とモモタロスはオセロをしながら、別世界の仲間達の近況を気にしていた。

 

「ユノ助(ユーノ・スクライア)やアルフはどっちで生活しとるんやろなぁ」

キンタロスは二つの姿を持つ二人のことを思い出していた。

「人間か動物かってこと?」

ウラタロスがトランプをきりながら一枚一枚テーブルに置いていく。

「僕は動物の姿の方がいいなー。カワイイし」

リュウタロスが自身の希望を打ち明けながら、トランプがすべてテーブルに並べられていくのを見ている。

「カメの字はどう思う?」

キンタロスはウラタロスに訊ねる。

「そうだねぇ。あの姿はいわば世を欺く姿みたいなものだからさ。アースラの中にいるのなら人の姿じゃないかな」

「なーんだ。つまんなーい」

リュウタロスはウラタロスの言葉にガッカリしていた。

 

コハナはカウンターでナオミやオーナーと雑談をしていた。

「オーナー、良太郎が持ってた写真に写ってる時の列車ってわからないんですか?」

コハナは良太郎から写真を見せてもらっている。

だから、自分が知る中で一番『時の列車』に詳しいオーナーに訊ねたのだ。

「ターミナルの駅長にも聞いてみたのですがぁ、正規の手続きで作られた物ではないようですからねぇ。時の列車の登録記録にも写真に写ったような時の列車は載っていないのですよぉ」

「そうですか……」

「ただ私が思うに、『ガオウライナー』や『ネガデンライナー』や『幽霊列車』とは違う事だけは胸をはって言えますがねぇ」

ガオウライナーもネガデンライナーも既に破壊されている。

幽霊列車は破壊しようにも半透明なものを破壊できる術はないので、破壊しようがない。

「はーい。オーナー」

カウンターで作業をしているナオミが挙手をした。

「何ですか?ナオミ君」

 

「壊れちゃった列車って直せないんですか~?」

 

ナオミがある意味尤もな事をオーナーに尋ねる。

「「あ」」

オーナーとコハナは間抜けな声を出した。

盲点だった。

壊れたものは直す。確かに、誰もがやることだろう。

時の列車も恐らく『改修』というものにはあてはまるだろう。

「盲点でしたねぇ。そこまで目が行き届きませんでした。至急、そのセンで調べてみましょう」

「ナオミちゃん!ナイス!」

コハナは笑顔でナオミに賞賛の言葉を送った。

「はい!あ、皆さーん。間もなく別世界の時間の十二月二日に到着しまーす」

ナオミは笑顔で答えた。

 

 

海鳴市市街地は現在、封鎖領域で覆われている。

その空間の中はごく限られた者しか存在できない場所といってもいいだろう。

その中で現在、激しい戦闘が行われていた。

高町なのはとヴィータの戦闘である。

ヴィータの放った弾はなのはを覆っている結界に直撃する。

爆煙が立ち、なのははその中にいた。

煙越しだが、明らかにこちらに向かって攻撃を仕掛けてくる影は見えたので、その場から離れる。

既に両足首付近には桜色の翼である『フライヤー・フィン』が展開されていた。

「りやああああああああああ」

ヴィータがグラーフアイゼンを上段に振りかぶって突進しながら振り下ろす。

斬ったのは煙だけだ。

なのはは煙を突き抜けて、左斜め上空に退避する。

「いきなり、襲いかかられる憶えはないんだけど!」

なのはは奇襲を仕掛けてきたヴィータを睨みながら抗議する。

向きを変えて飛行を停め、宙に留まる。

「どこの子?一体なんでこんな事をするの!?」

自分より下の位置で浮揚しているヴィータに訊ねる。

ヴィータはそれに答えることなく、左手に小ぶりな鉄球を二個出現させる。

「教えてくれなきゃわからないってばぁ!!」

なのはは右手をかざす。

 

ヴィータはその仕種で眼前の敵が何かを仕掛けたのか推測する。

仕掛けるチャンスがあったのは自分がシュワルベフリーゲンを放った際に生じた爆煙の中にいたときだ。

(あん時に何かしかけたな……)

顔を動かし、右目で後ろを見ると桜色の魔力球が二つだけ自分の後ろに移動し、向かってきた。

桜色の魔力球が二発襲い掛かってきた。

一発は何とかその場から後ろにそらして避けたが、もう一発がヴィータの位置に向かってきている。

「くっ!」

魔法陣を展開して、防ぐ。

見てくれに反しては、威力は高く防ぐヴィータは苦悶の表情を浮かべている。

「このヤロォォォォォォ」

後ろから前に向きを変えて、ヴィータはなのはのいる位置に向かってグラーフアイゼンを構えて飛翔する。

距離を詰めて、ヴィータは上段からグラーフアイゼンを振り下ろした。

 

レイジングハートが電子音声で発して、なのはの両足首にある桜色の翼が大きく展開して左斜め後ろへと瞬時に後退させた。

半年前まではこの急速な速度に体が適応しなかっただろうが、今なら十分に順応できていた。

『シーリングモード』

レイジングハートがデバイスモードから形態変化をする。

先端から桜色の翼が展開される。

必殺技

とっておき

を放つときの形態へとなる。

レイジングハート先端をヴィータに向ける。

「話を……!!」

レイジングハートの周りに桜色の円が出現する。

なのははヴィータを見据えて放つ準備をする。

『ディバイン……』

問答無用で襲い掛かる相手を黙らせるのはこの手しかない。

「聞いてってばぁぁぁぁぁぁ!!」

ヴィータを睨む。

『バスター』

レイジングハート先端に桜色の魔力が収束されていく。

ズドォォォンという音を響かせて、魔力による大砲---魔力砲がヴィータに向かって一直線に放たれた。

ヴィータを直撃させる気はなく、あくまで威嚇射撃だが。

 

ヴィータは直撃ではなく、『威嚇』で放たれた一発だと理解して内心ホッとした。

ディバインバスター

あんなもの

を直撃したら無事ですむとは思えないからだ。

だが、そんな安堵は今空に舞っているものを見て一瞬で消えうせた。

「あ……」

彼女がかぶっていた帽子が飛び、一部分が煤けていた。

その帽子は重力に逆らうことなく、地上へと落ちていった。

「くうぅ!!」

ヴィータの全身に『理性』というものが弾け、『野生』が支配していた。

なのはを睨みつけて、向き直る。

その気迫になのはは一瞬怯んだ。

(許さねぇ!!)

ヴィータはグラーフアイゼンを右斜めに振り下ろしてから魔法陣を展開させる。

「グラーフアイゼン!!カートリッジロード!!」

ヴィータの命令に応えるようにして、グラーフアイゼンのハンマー部分がヴィータに向かってスライドする。

ガシュンという音を立てながら。

冷却処理をするための通気口から蒸気が噴出す。

グラーフアイゼンはハンマーから削岩機の先端のような状態になった。

(潰す!!)

彼女はこのとき『修羅』となった。

 

「えええっ!?」

なのはは大きく目を見開き、グラーフアイゼンの形態変化に驚いた。

自分のレイジングハートも形態変化はするが、目の前で映っているそれとは何か違うように感じた。

自分の形態変化はいわば状況に応じた変化だ。

そのため、形は変わってもデバイスからあふれ出す魔力そのものには変化はない。

だが、明らかに眼前の少女が持っているデバイスは違っていた。

(何かくるのはわかってるけど、何なんだろ……。こ、怖いよ)

全身から震えが襲ってきた。

いくら半年前に『P・T事件』の解決に貢献し、今まで訓練を重ねてきた才能ある魔導師でも一つだけ習得していないものがあった。

相手となる存在が『物言わぬ者』ばかりではないということと、『物言う者』が持つ独特の不可視の力である『意(心の中の気持ち)』に対する処世術である。

『敵意』はともかく、眼前の少女が放つ『殺意』に対しての免疫がないため処世術を知らない。

レイジングハートが唯一教えなかったこと、いや教えることが出来なかった事である。

「ラケーテン!!」

グラーフアイゼンの尖った部分とは違う明らかに噴出口の部分が点火される。

ブシュウウウという音を立てる。

ハンマー投げのようにして、その場でヴィータはグルグルと回る。

ロケットの推進力を高めているのだろう。

やがて回転を終えると、こっちに向かってきた。

ロケットの出力で、その速度は普通に向かってくるより遥かに速い。

上段に構えて振りかぶる。

初撃は推進力に振り回されて当たらなかったが、二撃目はレイジングハートを捉えた。

なのはは魔法陣を展開させて防ぐ。

だが、グラーフアイゼンはそれで勢いは停まらない。

むしろ、削岩機のようにしてガリガリガリガリと音を立てながら、魔法陣を破壊し、レイジングハートに直接のダメージを与えてきた。

「ええっ!?」

なのはは目の前の現実に驚き、目を丸くする。

「ハンマアアアアアアアアア!!」

最後に大きくグラーフアイゼンを振り回した。

「あああああぁぁぁぁ」

なのはは後方のビルへと吹き飛ばされた。

ビルの外壁をぶち破り、内壁に叩きつけられた。

「げほ、ごほ、げほ」

煙か埃を吸ってしまったのか、なのははビル内で咽ていた。

「レイジングハート、大丈夫?」

破損した相棒に容態を尋ねる。

『次にこれ以上の一撃を受けると、大破します』

最悪だという事はわかった。

ヴィータが眼前に現れた。

なのははグラーフアイゼンを見る。

先程と同じ技を繰り出すつもりだろう。

その証拠にロケット部分が噴射していた。

「やああああああああ」

ヴィータはグラーフアイゼンをその場でくるりと振り回してから、なのはに振り下ろす。

先程と同じ、ラケーテンハンマーだ。

『プロテクション』

レイジングハートが主を守るために身を挺するようなかたちで魔法を展開する。

だが、万全の状態で発動させたものではないので出力は不安定なものになっていた。

両者の魔法と魔法がぶつかり合う。

「くっ、ううううう」

なのはが懸命にこらえる。

ヴィータがありったけの力で押す。

「くうううううううう。ブチ抜けぇぇぇぇぇ!!」

『了解』

グラーフアイゼンの出力が更に増す。

プロテクションに亀裂が走る。

そして、プロテクションを破壊した後、なのはのバリアジャケット上半身にグラーフアイゼンの先端が触れた。

バリアジャケットは破壊され、なのはは後方へと弾き飛ばされた。

壁に直撃し、もはやボロボロの状態だった。

 

ヴィータの『野生』はそこで身を潜め、『理性』がまた彼女の全身のイニシアチブを握った。

「はあ……はあはあ……はあはあ」

グラーフアイゼンから蒸気が噴出し、一部分がスライドすると、薬莢のようなものが二個排出された。

「行ったよな?あたしはギィガァ強いってな」

ヴィータはグラーフアイゼンを振り上げる。

(アイツ等に比べればてんで弱ぇな)

ヴィータは最近知り合った二人のことを思い出す。

一人は無愛想に見えるが、思いやりのある男。

もう一人は明らかに強面だが、面白い奴。

(これが終わったら、アイツのキャンディ食べよっと)

表情には出さない。

後は振り下ろすだけで全てが終わる。

 

「はあ……はあはあ……はあ」

なのははレイジングハートをヴィータに向ける。

ほとんどボロボロなので、向けるレイジングハートもカタカタと震えている。

戦わなければならない。

でも、身体が震えて気持ちについていかない。

(こんなので……終わり?嫌だ。ユーノ君、クロノ君、フェイトちゃん!デンライナーのみなさん!)

なのはは敗北を覚悟し、瞳を閉じたときだった。

ガキンという音が響き、なのはは無事だった。

なのはは閉じていた瞳を開くと、金髪に黒衣の少女が自前のデバイスでグラーフアイゼンを受け止めていた。

「ごめん、なのは。遅くなった」

なのはの肩に優しく手を置いたのはユーノ・スクライア(人間)だ。

「仲間か!?」

ヴィータはこれ以上の鍔迫り合いを避けるために、後方へと飛び退く。

少女は追いかけない。

デバイスを前に構える。

『サイズフォーム』

金色の鎌が出現する。

 

「……友達だ」

 

少女---フェイト・テスタロッサはバルディッシュを構えて、ヴィータを睨んだ。

 

「民間人への魔法攻撃。軽犯罪では済まない罪だ」

フェイトは眼前の少女---ヴィータに告げた。

「何だぁ?テメェ、管理局の魔導師か?」

ヴィータは物怖じせずにフェイトに訊ねる。

「時空管理局嘱託魔導師。フェイト・テスタロッサ」

告げると同時に左足を半歩前に出す。

「抵抗しなければ弁護の機会が君にはある。同意するなら武装を解除して……」

フェイトはバルディッシュを構える。

「誰がするかよ!」

交渉決裂となった。

ヴィータは後ろを振り向かずにそのまま後退し、ビルから抜けた。

「ユーノ、なのはをお願い!」

「うん」

フェイトは後方にいるユーノになのはの事を任せると、ヴィータを追いかけるようにしてビルを抜けた。

 

ユーノはなのはとレイジングハートの状態を見て、内心信じられなかった。

レイジングハートは中破し、なのははバリアジャケットの上半身を破壊されている。

「正直、疑いたくなるよ。なのはをここまで追い詰めるなんて……」

「凄く強かったよ。あと……」

なのはは右手をユーノに向ける。

ぶるぶると震えていた。

「凄く怖かったんだ。わたし、あの子が怖くて途中で身体が思ったように動けなくなったんだ」

「なのは……」

ユーノには、なのはの言いたい事が理解できた。

彼女は相手の魔法でここまで追い詰められたものではない。

相手の放つ『意』に気圧されて負けたのだ。

どんなに、なのはが才ある魔導師でもまだ成り立てでキャリアは薄すぎる。

対人戦闘の経験にいたっては数えるほどしかない。

「とにかく、回復するよ」

ユーノはなのはに向かって翡翠色の魔力光を注いだ。

なのはの外傷は消えていくが、破壊されたバリアジャケットまでは回復しなかった。

「フェイトの裁判が終わって、皆でなのはに連絡しようとしたんだ。そしたら通信は繋がらないし、局の方で調べてみたら広域結界ができてるし、だから慌てて僕達が来たんだよ」

「そっかぁ、ごめんね。ありがとう」

なのははユーノの説明を理解し、謝罪と感謝の言葉を述べた。

「なのは。僕から聞いていいかな?なのはを襲ったあの子はだれ?」

「……わかんない。急に襲ってきたの」

ユーノはなのはが嘘を言っているようにも思えないし、嘘をつく理由もないので、それが真実なのだと受け止めた。

「でも、もう大丈夫。フェイトもいるしアルフもいるから」

ユーノは自分のことはアピールしなかった。

「アルフさんも?」

ユーノは力強い笑みで首を縦に振った。

 

フェイトはヴィータの姿を捉えていた。

魔法陣を展開しているが、何をしようとしているかはわからない。

「バルディッシュ!」

『アークセイバー』

大きく振りかぶって三日月状の魔力刃をヴィータに向かって放つ。

「グラーフアイゼン!!」

ヴィータは左手に小型鉄球を四個出現させ、放り投げる。

『シュワルベフリーゲン』

四個同時に打ち付けて、フェイトに向けて放つ。

アークセイバーを避けて、四個はこちらに向かってくる。

(アークセイバーを防ぐ!?)

ヴィータが「障壁!」と発したのをフェイトは聞き逃さなかった。

アークセイバーは回転しながらヴィータを攻めようとするが、障壁によって完全に押さえられていた。

やがて、アークセイバーは消滅した。

「くっ!!」

フェイトは鉄球四個をどう巻くかを考えながら飛行していた。

一直線で射出されてそれで終わりというわけではないようだ。

その証拠に誘導弾のようにして、しつこくついてくる。

右へ左へと夜空を駆け回る。

(キリがない!アルフ!)

フェイトは使い魔に念話を送った。

「バリアァァァァァブレイクゥゥゥゥ」

陸地にいたアルフ(人型)が飛翔して、ヴィータに魔力を帯びた右正拳を放とうとする。

フェイトは追尾してくる鉄球をアルフの技で生じた魔力の余波で鉄球を粉砕させるように移動した。

目論見通り、鉄球はすべて破壊された。

ヴィータの障壁とアルフの魔力を帯びた右拳がぶつかりあって、ひしめきあっている。

ヴィータの障壁に亀裂が生じたのか、彼女は間合いを開くようにして退がる。

アルフの勝ち、といったところだろう。

(アルフ、来るよ!)

(わかってる!)

アルフに襲い掛かってくるヴィータをみて、フェイトは念話を送って注意を促す。

アルフは了承して、左手をかざしてオレンジ色の魔法陣を展開する。

グラーフアイゼンを力任せに叩きつけてきたヴィータによって、アルフは魔法陣を消された上に、地上に向かって飛ばされた。

フェイトはコレを勝機と睨み、バルディッシュ(サイズモード)を振りかぶって、ヴィータと間合いを詰める。

ヴィータの足元に恐らく高速移動系の魔法とも思われる小ぶりな竜巻が生じていた。

斬りつけるが、ヴィータはあっさりと上昇して避ける。

(フェイト!あたしが足止めする!)

体勢を立て直したアルフがヴィータの足元を狙って魔法を発動する。

ヴィータの足元の竜巻は消滅した。

「はああああああ」

移動速度が落ちたと判断すると、フェイトは距離を詰めてバルディッシュを振り下ろす。

グラーフアイゼンでバルディッシュを受け止めるヴィータ。

火花が飛び散りながらも、鍔迫り合い状態に持ち込まれる。

フェイトはヴィータを見る。

苦悶に満ちていたが、こちらに余裕があるわけでもなかった。

 

(ぶっ潰すだけなら、楽なんだけどなぁ……)

バルディッシュを受け止めながらもヴィータは目当てのものを回収する事を考えていた。

相手を潰すか、自分が潰されるかの単純な勝負なら決着は簡単につけられるだろう。

(それじゃ意味がねぇんだよ。魔力を持って帰らないと!)

バルディッシュを受け止めているグラーフアイゼンを見る。

(カートリッジはあと二発。やれっかぁ!?)

残り少ない隠し玉でこの状況を打破するか火花が飛び散る中で考えていた。

 

ユーノとなのははビルの屋上に移動していた。

なのははユーノに支えられながらここまで来ていた。

「クロノ達も、アースラの整備を一旦保留にして動いてくれてるよ」

「そうなんだ……」

ユーノにはまだ、なのはが言い様のない不安につかれているのではないかと考えずにはいられなかった。

(クロノ達がまだこない。結界の解除に手間取っているとなると、一人とはいえ相当厄介だ)

支えているなのはを見る。

ユーノの拳が強く握り締められ、震えている。

(僕に……僕にあの人達程の力があれば……!!)

ユーノは渇望した、半年前に出会ったあのデタラメな連中が持つ力を。

 

 

次元空間を航行しているアースラではというと。

ユーノの言う通り、現在海鳴市を覆っている封鎖領域の解除を行っていた。

メインモニタールームでリンディ・ハラオウンが焦りと現状打破のための思案がないまぜになった表情を浮かべていた。

別室ではクロノ・ハラオウンとエイミィ・リミエッタが難色の表情を浮かべていた。

「アレックス。結界の解析、まだできない?」

エイミィがアレックスという同僚オペレーターに対して情報の催促をする。

『解析完了まであと少し!』

二人が見ているモニターには幾多の文字が羅列していた。

「術式が違う……」

クロノはモニターに羅列されている文字を見て呟いた。

「ミッドチルダ式の結界じゃないな」

「そうなんだよ。どこの魔法なんだろ?コレ……」

解析されたからといって事態が好転したわけではない。

エイミィにいたっては難色の表情を浮かべる始末だ。

『結界内の空間の一部が歪み始めてます!』

アレックスがそう告げると、二人は顔を見合わせた。

「クロノ君!まさか……」

「そんなデタラメな事が出来る存在は僕等が知る限り彼等しかいないさ」

難色を浮かべていたエイミィが明るくなり、クロノも笑みを浮かべた。

 

 

フェイトとアルフ、そしてヴィータの戦闘はまだ続いていた。

互いにぶつかっては距離をとるという行為を繰り返していた。

フェイトが距離をとり、ヴィータが詰め寄ろうとしたときだ。

アルフが掌で展開した魔法陣を展開し、バインドでヴィータの四肢を封じたのだ。

ヴィータの四肢にはオレンジ色の輪が出現し、空に縫い付けられたようにしてその場で動きを封じた。

「うぐ、ううぅぅぅぅ」

必死でもがこうとするが、外れない。

「終わりだね。名前と出身世界、目的を教えてもらうよ」

バルディッシュを向けてフェイトは訊ねる。

訊ねるというよりは尋問もしくは詰問だろう。

アルフは魔法陣を閉じる。

「くううううう」

ヴィータは獣のような唸り声を上げる。

フェイトもアルフもこれで解決したと思った。

「何かヤバいよ!?フェイト!」

アルフは動物の本能のようなものが働き、主に警告した。

「え?」

フェイトの眼前に自分より遥かに身長の高い女性が現れ、バルディッシュを構えるが右手に持っている剣でバルディッシュごとフェイトを後方へと飛ばした。

「うあああぁぁぁ!!」

フェイトは自分を飛ばし、ヴィータを守るようにして立つ女性を見る。

騎士甲冑の衣装に長い桃色の髪をポニーテールにし、鋭い眼光を放つ。

八神はやてと共にいた女性---シグナムだった。

「ぬおおおおおおお」

女性ではなく、男性の声が獣のような叫びをしながらアルフに間合いを詰めてきた。

男は右回し蹴りを放つ。

アルフは左腕で防御をするが、それでも衝撃を完全に殺す事は出来ずに蹴り飛ばされた。

 

シグナムはヴィータを見ず、フェイトを見ていた。

ヴィータのバインドを解くにしても、フェイトは邪魔だ。

(まずは魔導師を片付けるか)

シグナムは手にした剣を斜め上に掲げる。

「レヴァンティン。カートリッジロード!」

紫色の魔法陣を足元に展開させている。

刀身の一部分が上下にスライドして薬莢を排出させながら蒸気を噴出させる。

剣---レヴァンティンを天に掲げる。

刀身に炎が灯ってから、振りかぶる。

「紫電一閃!!はあああああああ」

魔法陣から離れてフェイトへと間合いを詰める。

「!!」

フェイトはバルディッシュで防御を取るが、レヴァンティンはそんなバルディッシュをまるでチーズのようにスッパリと斬ってしまった。

シグナムは更にもう一回、レヴァンティンを振り下ろす。

『ディフェンサー』

バルディッシュがフェイトを覆うようにして防御魔法を発動させる。

しかし、

(甘い!!)

シグナムの一撃の方が上だった。

 

フェイトはシグナムの一撃に耐え切れず、地上に向かって落下していく。

(バルディッシュを一撃で、こんな状態に……)

いくら虚を突かれたといっても、ここまで見事にやられるとは思わなかった。

(駄目だ。いい案が浮かんでこない……)

瞳を閉じて、重力に逆らうことなく落下していく事を選んだ。

バリアジャケットを着ているとはいえ、相応のダメージは免れないだろう。

覚悟を決めて落下しようとしたときだ。

フェイトの耳に聞き覚えのある音楽が入ってきた。

でも、本来なら聞けないはずだ。

フェイトは閉じていた瞳を開く。

そこには『時の列車』デンライナーが結界内の一部の空間を歪めて現れていた。

デンライナーから誰かが降りて、こちらに向かってくる。

(良太郎だったらいいな……)

フェイトはそんな希望を持ってしまう。

どういう原理かはフェイトにはわからない。

自分が知る限り、チームデンライナーに単独飛行という能力はないはずだ。

それはどんどんこちらに向かってくる。

恐らく自分がビルに激突するのといいとこ勝負といった速度だ。

フェイトは、また瞳を閉じてビルに激突すると覚悟した。

だが、いつまで経ってもその衝撃が彼女に伝わる事はなかった。

瞳を開くと、ヘルメット(耳と後頭部を覆っているタイプ)をかぶった誰かに抱きかかえられていた。

 

「久しぶり。フェイトちゃん」

 

ヘルメット男の声がした。

聞き覚えのある優しい声。

自分が知る限り、優しくて強くて自分に生きる力を与えてくれた存在。

フェイトは抱きかかえられた状態で、ヘルメット男のシールドを開く。

 

「良太郎!」

 

フェイトを助けたのはデンバードⅡモード2(スライド変形した状態)に乗った野上良太郎だった。

 

デンライナーはなのはとユーノがいる方向へと走っていった。




次回予告

第五話 「誕生!仮面ライダー電王」
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