仮面ライダー電王LYRICAL A’s   作:(MINA)

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第六十一話 「 決着 」

NNデンライナーが現在、モニュメントバレーを髣髴させる一面の荒野を線路を敷設しながら走っていた。

制御の役割を担っている一両目にはネガNEWデンバード(以後:NNデンバード)に跨ってNNデンライナーを操縦しているネガNEW電王がいた。

モニターが画面から赤表示で『緊急事態』と表示されていた。

ネガNEW電王はモニターを操作すると、後ろにはゼロライナーが追走していた。

「チィ!しつこい奴等め!」

ネガNEW電王は吐き捨てるように言うと、NNデンバードのグリップを握って左に傾けた。

NNデンライナーは左に円を描くようにして線路を敷設していきながら走る。

「ゼロライナーだけなら問題ねぇ!ぶっ潰す!」

ネガNEW電王はNNデンバードのキーボックスの横にあるボタンを押す。

一両目の屋根の一部が回転して四連装の大砲が出現し、二両目にはドギーランチャーの中から舌の様にギガンデスハデス(以後:ハデス)が出現し、後部の右部分からもハデスが姿を現していた。三両目にはモンキーボマーの代わりにギガンデスヘル(以後:ヘル)が出現し四両目にはバーディミサイルの代わりにギガンデスヘブン(以後:ヘブン)が搭載されていた。

反時計回りになるようにしてネガNEW電王はNNデンバードを使ってNNデンライナーを操縦する。

NNデンライナーは向かってくるゼロライナーの外を外周するように線路を敷設していた。

 

ゼロライナーは先に『時の空間』に逃げ込んだNNデンライナーを追いかけていた。

搭乗しているのはZゼロノス、デネブ、八神はやて、ヴォルケンリッターの計七人である。

ゼロホーンが格納され、ゼロライナーの制御者となっている一両目にはZゼロノスが一人ゼロホーンに跨って操縦していた。

「あいつ、俺達を潰してから逃げるつもりか!?」

ZゼロノスはネガNEW電王の真意を推し測ってからゼロフォーンのグリップを噴かしてから左に傾けながら空中へと線路を敷設させる。

線路は空中に敷設され、乗せられるようにしてゼロライナーは走る。

相手に攻撃をさせないようにわざと複雑に敷設させて走っているのだ。

二両目に乗っているデネブを始めとする面々はというと、

「デネブちゃん!この電車、シートベルトかなんかあらへんの!?」

いきなり激しく揺れるような怖い思いをした八神はやてはデネブに拘束具のようなものは搭載されていないのか訊ねる。

「ごめん八神、みんな。ゼロライナーにはそういったものはないんだ。だからさっきみたいな揺れや動きになったら何とか自分達で身を守ってほしい!」

デネブが謝罪しながら今後の揺れなどの対策は本人任せによると素直に打ち明ける。

「ザフィーラ。主はやてを頼む。私達は各自で対処する。いいな?」

状況を理解したシグナムはリーダーらしくザフィーラ、ヴィータ、シャマルに指示する。

「心得た」

「へーい」

「わかったわ」

それぞれがそれぞれの返事で了解する。

ザフィーラは獣型から人型へと切り替えて、はやての側に寄る。

『今からかなり揺れるから何かにしっかりと捕まってろよ!』

Zゼロノスのアナウンスで全員が警戒する。

一両目にいるZゼロノスはゼロホーンのキーボックスの横にあるボタンを押す。

二両目のナギナタの屋根からプロペラが出現して、回転し始める。

「な、何か浮いてへん?」

はやての言うとおり、ナギナタの車輪は線路から離れていっていた。

ナギナタはドリルから連結解除してそのまま空中へと移動する。

「空飛んでる!」

「自分達以外の力で空の風景を見るのって随分新鮮よね……」

ヴィータとシャマルはナギナタの車輌後部のデッキに出て、周囲を見回していた。

ナギナタはドリルの前に立ち、タイミングを見計らって着陸しようとしていた。

ドリルがブレーキをかけずにグリップを回すのをやめて減速していく。

ナギナタがドリルより数十メートル前の敷設された線路に着陸する。

プロペラはまだ展開したままだ。

ナギナタの後部とドリルが連結した。

「「おおー!」」

デッキにいるヴィータとシャマルが声を合わせて何故かはわからないが感動の声を上げていた。

ドリルを連結させたナギナタはプロペラを回転させながら、今度は二両で空へと足場を変えた。

『ヴィータ、シャマル。そろそろ動きが激しくなるから中に入ってろよ』

Zゼロノスのアナウンスを聞いて、ヴィータとシャマルはデッキからナギナタ内部へと戻っていった。

空で行動しているゼロライナーは線路を走っているNNデンライナーと違って、上下などの融通が利く。

また『線路を敷設する』という行為がないため、移動パターンが読まれないという利点もある。

ゼロライナーはNNデンライナーの背後に回ろうとする。

「さすがに簡単には取らせてくれないか……」

Zゼロノスはモニターに映っているNNデンライナーの動きを見ながらぼやく。

ゼロライナーは二輌ともデンライナーのような飛び道具は具わっていない。近接戦闘向けに設計されているからだ。

いざ攻撃となるとNNデンライナーに正面からぶつかるか背後に回って突くか側面から突くか空中から一気に急降下してのプレス攻撃などがある。

確実にダメージを与えるとならば『背後から突く』なのだが、この方法は相手の線路に侵入しない限りは成功しない。

今それを実行するためにゼロライナーは空中で右往左往しながら出方を窺っていた。

NNデンライナーの左側面に入っていないため、攻撃は受けないが線路の軌道を見極めないといつまで経ってもこのままだ。

モニターに映っているNΝデンライナーは螺旋状に線路を敷設しながら走っている。

NNデンライナーは左側面にゼロライナーが向くように走っているのだという事はすぐにわかる事だ。

「こっちも相手に攻撃させてないだけまだマシか……」

こっちも攻撃していないが向こうも攻撃できない状態なのでとりあえずは『良し』とZゼロノスは考える事にした。

 

ゼロライナーとNNデンライナーが膠着状態に陥っている頃、一台の『時の列車』が線路を敷設・撤去を繰り返しながら戦場へと向かっていた。

デンライナーである。

一両目の本来ならばデンバードが格納されているが現在はデンバードⅡがデンライナーのコントローラーの役割を担っていた。

操縦しているのはライナー電王である。

現在、デンライナーは戦闘車輌の四輌編成で走っている。

ライナー電王は一輌目で操縦しており、残りのイマジン四体(変身は解除している)、コハナ、フェイト・テスタロッサ、高町なのは、ユーノ・スクライア、アルフ、クロノ・ハラオウン、オーナー、ナオミは二輌目に乗っている。

「ここが『時の空間』なんだぁ……」

「凄く広いね」

なのはとフェイトは窓から見える景色を見て、その広大さに目を奪われていた。

「コーヒーお持ちしました~」

ナオミが人数分のコーヒーを持ってくるが、当然のように受け取ってゴクゴク飲んでいるイマジン達とは違い、ユーノやクロノは恐縮していた。

というよりも、目の前のコーヒーカップに入っているものが本当にコーヒーなのかどうか疑いたくなるものだが。

「これはリンディさんの以上だね……」

「ああ……」

ナオミのコーヒーはリンディ・ハラオウン特製の緑茶と同類だとユーノとクロノは思ってしまった。

モモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロスはおかわりしていた。

「飲んでるね……」

「彼等が飲んでいるから飲めるなんて考えるなよ」

ユーノとクロノはナオミコーヒーを飲もうという気にはなれなかった。

その後景はコハナは見て教えてあげたかった。

ナオミコーヒーから逃げる事は決して『臆病』ではないという事を。

「あ、前に見た事がある電車が横に走っている!」

なのはやフェイトとは違う窓で外を眺めていたアルフはデンライナーの横に三台の『時の列車』が併走しているのが見えた。

青色がメインカラーのデンライナー・イスルギ(以後:イスルギ)。

金色がメインカラーのデンライナー・レッコウ(以後:レッコウ)。

紫色がメインカラーのデンライナー・イカヅチ(以後:イカヅチ)。

敷設されている線路を一つにしてイスルギ、レッコウ、イカヅチの順番に縦に並んでいく。

デンライナーの後部にイスルギが連結され、その後ろにレッコウで最後にイカヅチが連結された。

そしてデンライナーよりも一回り以上大きい巨大な赤い何かがデンライナーの前を走っていた。

赤い何か---ライナーモードで走っているキングライナーだ。

前部、横部に装備されたキングランチャー、キングファイアが展開され、デンライナーを収めるように巨大な口のように開かれる。

ステーションモードに変形したのだ。

連結キングライナーはキングライナーの中へと収納されるようにして入っていく。

キングライナーはデンライナーの一両目を固定する。

デンライナーの『最強』といってもいい連結形態(以後:オウカセキレツデン)の完成である。

「モモタロスさん」

「何だよ?」

なのはは窓の景色を見ることから妙な席に座っているモモタロス達を見ていた。

全員が背を向け合ってそれぞれのメインカラーとでもいうべき椅子に座っているのだ。

「その席はなに?」

フェイトが代表して訊ねた。

「この席はね。良太郎が持っている剣と繋がっているんだよ」

ウラタロスがこの座席がデンカメンソードと連動している事を打ち明ける。

「俺等が良太郎にアドバイスをすることもできるんやで」

キンタロスが席から離れずに言う。

「回しすぎると気分悪くなるんだよ~」

リュウタロスがこの席のデメリットも打ち明けた。

デンバードⅡに跨っているライナー電王はグリップをまわしてアクセルを噴かす。

「だからオメェ等。いくら座りたいといっても譲らねぇからな。オイ良太郎。まだかよ?」

モモタロスが釘を刺しながら、操縦席のライナー電王に訊く。

「見えた!」

ライナー電王はモニターに映っている光景を見て、そこが戦場だと判断できた。

線路を敷設して相手の出方を窺っている状態になっているNNデンライナーとゼロライナーがいた。

デンバードⅡのアクセルを思いっきり回す。

オウカセキレツデンは線路を敷設、撤去する工程を早めながら速度を上げていた。

 

「痺れを切らせたか。また揺れるぞ!」

ドリルでモニターを見ながら操縦しているZゼロノスは一両目になっているナギナタの乗員に告げながら、ゼロホーンのボタンを押す。

線路を敷設しながら着陸してナギナタとドリルが連結解除される。

そして、ナギナタとは違う線路でドリルがナギナタに先行する。

ドリルの後部にナギナタが連結された。

「来い!」

後ろを取られる事を警戒する事をやめたNNデンライナーは正面から戦うように線路を敷設しながらゼロライナーへと向かっていく。

ゼロライナーとNNデンライナーは互いに譲らずに真っ直ぐに向かっていく。

こうなると怖気づいた方が負けになる。

ゼロライナーは速度を落とさない。

だがNNデンライナーはゼロライナーの右側に線路を敷設して衝突を避けた。

「正面からを避けた?」

NNデンライナーの行動に操縦者であるネガNEW電王が臆病風に吹かれたのかと思ったのか何か咲くがあるのではとZゼロノスは勘繰る。

「しまった!」

Zゼロノスは自分がネガNEW電王の策略にはまった事に気がついた。

NNデンライナーは右側に避けたのだ。

つまり、それはNNデンライナーの武装の射程範囲内に入ってしまったことになる。

「衝撃に備えろ!!」

Zゼロノスはナギナタにいる全員にアナウンスで注意を促す。

直後、NNデンライナーの一両目の大砲と二両目にいるヘルからのスパイクボール攻撃を食らってしまう。

ドリルとナギナタ、両方に食らってしまう。

直後ゼロライナーは左右に激しく揺れてしまう。

「くっ!あの武装を何発も食らったらいくらゼロライナーでもひとたまりもないな……」

飛び道具相手では分が悪い。

しかもさっきの攻撃でNNデンライナーは完全に有利な距離に立っていた。

「こっちの利点を使わせてもらうぜ」

ドリルの頭部が牛頭からドリルへと切り替わり、そのまま先端を地面に向けて回転を始めた。

キュィィィィィィンと音を立ててゼロライナーは地中へと潜っていった。

土を抉ってゼロライナーは停車した。

Zゼロノスはモニターを見て、タイミングを見計らう。NNデンライナーは空中に線路を敷設してグルグルと円を描いていた。しかも反時計回りだから今、巨大な円の中から顔を出せば間違いなく集中砲火を受けるだろう。

「あいつの右側に出て武装車輌を破壊するしかないか」

『侑斗』

モニターに別のウインドウが開き、ライナー電王が映った。

「野上。来たのかというのは野暮だったな」

彼が中途で終わらせるような人間ではない事を承知している。

『で、相手はどうなの?』

「スピードはデンライナーやゼロライナーよりは上だろうな。攻撃力は以前あいつが乗ってた『時の列車』とさほど上がったとは思えないがな」

『改造は外見だけでパワーアップはあまりしていないって事?』

「確信はないがな。それに『時の列車』を改造するというのが今までに前例はなかったし、仮にやったとして改造前より改善されたという例があるんだったら誰もがやるだろうしな」

『確かにね。オーナーも前例がないから何とも言えないって言ってたしね』

「修理は動きを見ればわかるとおり、成功しているけどな」

『僕達で総攻撃をかければ倒せると思う?』

「ああ。あと以前は列車ごとまとめての破壊で逃がしたけど今回は俺達が直接倒すんだ。しくじるのは一回で十分だろ?」

『もちろん』

ライナー電王が映っているモニターがぷつりと消えた。

同じ事を何度も失敗するような趣味人はいないだろう。

ゼロライナーはドリルを回転させて地上に出た。

出た地上はNNデンライナーの真後ろだった。

ドリルを回転させながら速度を上げて、NNデンライナーの四両目をぶち抜こうとする。

しかし、NNデンライナーは更に速度を上げて逃げる。

NNデンライナーに向けてフリーエネルギーの大砲が数発発射された。

NNデンライナーも負けじと一両目の大砲、二両目の二頭のハデスが口から火球を吐き出し、三両目のヘルがスパイクボールを投げ、四両目のヘブンが翼を羽ばたかせて針のような弾丸を射出していた。

相殺され、爆煙が立ち込める。

爆煙を突っ切ってNNデンライナーに立ちはだかるのはオウカセキレツデンだった。

「やっと来たか……」

Zゼロノスがモニターに現れた姿を見て、笑みを浮かべた。

 

「キングライナーとデンライナーの正面からの飛び道具を防ぎきるなんて……」

ライナー電王は先ほどの攻撃を完全に防いだNNデンライナーの火力は馬鹿に出来ないと判断した。

「でも今度こそ終わらせるんだ!」

デンバードⅡのグリップを回して、アクセルを噴かす。

オウカセキレツデンはゴウカノンとキングランチャー、キングファイアから一斉にフリーエネルギーの大砲を発射させる。

NNデンライナーも正面を向く。

二頭のハデスが左右に顔を出して、中央にNNデンライナーがいる事で三つ首竜のように思わせる。

二つの火球とフリーエネルギーをチャージしてレーザー砲を放つ。

火球は相殺できたが、レーザー砲は相殺できなかったのかキングライナーのボディに直撃する。

「ぐっ!」

直接食らったわけではないが、デンライナーで操縦しているライナー電王にも衝撃による震動が襲い掛かる。

二両目からも似た様な声が聞こえてきたが、可哀相だが聞き流す事にした。

後からいくらでも怒られようと覚悟を決めてライナー電王は更に攻撃を始める。

反時計回りをして、武装をフルに活用しているNNデンライナーに向けてオウカセキレツデンは一両ずつ破壊する事にした。

同じ轍を踏まないためにも列車破壊とネガNEW電王を倒す事は別物と考えなければならない。

前回は同一視したから生かす結果を作ってしまったのだ。

列車破壊はまず武装車輌のみを破壊する事を重点に置く事にした。

つまり、二両目から四両目の破壊だ。

一両目がNNデンライナーの制御車となっているため、一両目は破壊しないように照準には注意を払わなければならない。

といっても直接車輌を破壊するのはゼロライナーであり、自分はNNデンライナーの攻撃を一手に引き受ける事だ。

なおこの手はずは打ち合わせをしたわけではなく、自然とそうなっていた。

強い信頼関係がないと出来ない芸である。

オウカセキレツデンはひたすらに一斉砲撃を繰り出す。

大砲、ハデス、ヘル、ヘブンの総攻撃で返してくる。

砲弾が。

火球が。

スパイクボールが。

針が。

一斉にオウカセキレツデンに向かっていく。

いくらキングライナーも連結しているといっても『バリアー』という防御武装はないのが欠点だ。

向かってくる武器は撃ち落していくしかない。

それでも線路を敷設して反時計回りに走りながら攻撃しているので照準がずれてしまう。

ずれた武器がオウカセキレツデンに直撃する。

そのたびに衝撃が走る。

ゼロライナーがドリルを回転させながら、NNデンライナーの四両目をつついていた。

つつくたびに火花が飛び散っている。

ドリルの先端がギュィィィィンという音を鳴らしながらNNデンライナー四両目に食らいついた。

NNデンライナーの速度がダウンする。

それを好機と捉えてオウカセキレツデンはゴウカノン、キングファイア、キングランチャーを一斉に発射させる。

三両目のヘルが何発か食らって仰け反り、四両目のヘブンも食らって攻撃をやめざるを得ない状態になっていた。

ガッコンという音が鳴った。

四両目が切り離され、NNデンライナーが逃亡したのだ。

「えっ!?」

電車なら取れて当たり前の行動なのに『時の列車』というだけで、失念していた。

 

「切り離した!?」

NNデンライナーの行動に最も驚いたのはZゼロノスだった。

「しかもオマケつきかよ……」

ネガNEW電王が残した置き土産にZゼロノスは毒づくしかない。

ただ単に切り離したのではなく、自爆装置まで起動させていたのだ。

ゼロライナーのモニターにも爆発までのカウントが表示されていた。

「爆発の威力がどんなものかはわからないから退がるしかないか……」

ゼロライナーをバックさせる。

車輪が逆回転する。

突き刺していた抉った穴からドリルも離れていく。

線路の路線を変えて、ゼロライナーはNNデンライナーを追いかける。

その直後、ドォォォンという音を立てて切り離された車輌は爆発した。

爆煙が立ち、残骸が飛び散っていた。

威力を目測で

「残りの三輌にも搭載されていると考える方が自然だよな」

ZゼロノスにはNNデンライナーが歩く爆弾に見えた。

 

「チィ!まさかのために搭載させてたモノまで使うとは思わなかったぜ!」

ネガNEW電王は四両目を切り離してから、自分が『奥の手』まで使わなければならないほど追い詰められている事を自覚した。

この『奥の手』は『自己防衛』のためならば後二回は使える。

ただし『道連れ』ならば三回だ。

「クソォ!!」

何が何でも倒さなければならない。

ネガNEW電王は三輌になったNNデンライナーを走らせながらプランを立てる。

一輌失った事で速度は更に上がったが、火力はダウンしている。

オウカセキレツデンの攻撃を相殺できるとは思えなかった。

「あいつ等は間違いなく俺に直接止めを刺しに来る……」

それを見越して返り討ちにすることも可能といえば可能だ。

だがそれよりも先にネガNEW電王の脳裏に過ぎるものがあった。

先程まで戦っていたライナー電王だった。

デンカメンソードを振り上げ、殴り、蹴飛ばしてきたものがハッキリと浮かび上がっていた。

「!!冗談じゃねぇ!俺があんな奴にビビってるだとぉ……」

それだけは認めてはならない。

『完全な悪の組織』を立ち上げるという目標を潰され、『復讐』もままならないまま『恐怖』まで植えつけられたなんてことを。

NNデンバードのグリップを握る力が更に強くなる。

「あってたまるかよぉ!!」

グリップを回してアクセルを噴かす。

NNデンライナーは針路をオウカセキレツデンに向けて一両目の大砲をチャージしてフリーエネルギーのレーザー砲を撃つ。

オウカセキレツデンも負けじと打ち返してきた。

互いの攻撃がぶつかり、爆煙が生じる。

NNデンライナーはそのまま空に線路を敷設して走る。

モニターを見るとゼロライナーが追走していた。

「しつこい奴め……」

憎憎しげに吐き捨てながらネガNEW電王はゼロライナーを無視する事を決めこみ、そのまま速度を上げる。

線路を螺旋に敷きながら、こちらに向かってくるオウカセキレツデンにひたすら攻撃をする。

オウカセキレツデンの攻撃が三両目に集中される。

ヘルはフリーエネルギーの大砲を食らい続けている。

頑健なヘルでも許容量を越えているダメージなのでスパイクボールを投げることもできず、悲鳴を上げながら爆発した。

三両目から爆煙が立つがヘルの姿がなくなっただけで、他に変化はなかった。

「三両目切り捨て!」

『自爆装置作動します』

モニターにメッセージが表示され、ネガNEW電王は返答としてNNデンバードのキーボックスの横にあるボタンを押す。

『爆発まであと十秒』

アナウンスが流れ、切り離された三両目が追走しているゼロライナーに向かっていく。

『九、八、七、六、五、四、三、二、一』

アナウンスはカウントを進めていく。

『「ゼロ」』

アナウンスとネガNEW電王が同時に言うと、ゼロライナーに向かっている三両目が爆発した。

爆煙が立って屋根や壁、車輪などの残骸が飛び散って地上に降っていく。

ゼロライナーとの距離は開けれたが、NNデンライナーは残り二輌となっていた。

爆煙を突っ切るようにして走ってくる様子はない。

「ん?空に逃げやがったか……」

ネガNEW電王の予測どおり、ゼロライナーはナギナタのプロペラを展開して空へと避難しながらこちらへと向かっていた。

ゼロライナーに飛び道具がないだけまだマシだと思うことにした。

 

「危ねぇ。もう少しで巻き添えになるところだったな」

Zゼロノスにしても自信があって取った行動ではない。

殆ど『賭け』の領域だった。

「だがあいつは虫の息だ。車輌も二輌しかない……」

ゼロライナーのモニターには二頭のハデスの頭部がオウカセキレツデンの放ったフリーエネルギーの大砲を食らって吹っ飛んだ。

頭部がなくなったことで残った体も連鎖するようにして爆発していった。

しかも大砲の一発がNNデンライナーの二両目の前輪と後輪に直撃してバランスを崩して脱線し、二輌まとめて地面に向かって落下していった。

ドシャァァァと砂塵が舞い、NNデンライナーはずるずると滑るようにして停まった。

空中にいるゼロライナーはそのままゆっくりと地上に着陸する。

車輪が地上に敷設した線路に触れると、ゼロライナーは停車した。

ドリルの頭部が緑の牛に戻り、ナギナタのプロペラも閉じられていた。

Zゼロノスは二両目のナギナタへと移動する。

ナギナタに乗っていた乗務員はというと、デネブを除く全員が眼を回していた。

「侑斗、みんな眼を回してる」

「みたいだな……」

デネブのいう様に全員が眼を回してグッタリと床に倒れていた。

車椅子に乗っているはやてもザフィーラに支えてもらいながらも眼を回していた。

胃袋の中のモノを嘔吐しなかっただけマシと思うことにした。

「これからあいつの所に直接乗り込む。デネブ、来い!」

「了解!デネビックバスター!!」

Zゼロノスの言葉に従い、デネブは両腕を構える『了承』のポーズを取ってから全身をフリーエネルギー状にしてからDバスターへと姿を変えた。

Zゼロノスの右手に握られる。

「侑斗さん。行くん?」

眼を回してはやてがまだ頭をクラクラさせながらもZゼロノスに訊ねる。

「リィンフォースを連れてきてやるからな」

そう告げるとZゼロノスはゼロライナーを出た。

 

オウカセキレツデンも停車していた。

ライナー電王は二両目へと移動する。

ゼロライナー同様に乗りなれているイマジン四体、オーナー、コハナ、ナオミを除く面々はグッタリとして眼を回して倒れていた。

デンカメンソードと連動している座席に座っているモモタロスが中に入ってきたライナー電王を見て凡その事情を把握した。

「行くんだな?」

「うん。これで終わりにしてくるよ」

「おう。行ってこい!」

背を向けたライナー電王をモモタロスは短く彼らしい激励を送った。

砂地に足を踏みしめ、右手にデンカメンソードを携えてライナー電王は停車しているNNデンライナーに向かって駆け出す。

砂地で走る事はアスファルトで走るよりも体力を消耗するが、今の彼にはそんな計画性はない。

あるのはただNNデンライナーに入り込んでネガNEW電王を倒すという事だけだった。

NNデンライナー二両目---敵が待ち構えている入口まで着くと先客がいた。

Dバスターを持ったZゼロノスだった。

「遅いぞ」

「ごめん」

「行くか?」

「うん」

短いやり取りを終えて二人の仮面ライダーは入口へと足を踏み入れた。

 

足を踏み入れてすぐにネガNEW電王が待ち構えていた。

「よぉ。よくもここまでやってくれたじゃねぇか……」

ネガNEW電王が睨みつけながらも殺気を飛ばすが、ライナー電王もZゼロノスも正面から受け止めていた。

「観念するんだ。君はもう終わりだ」

ライナー電王が事実を告げる。

「へっ。もう勝った気でいるのかよ?」

ネガNEW電王は負けじと言い返すが、負け惜しみにしか聞こえない。

「まだ手があるのか?新しく得たその姿は野上にぶちのめされ、新しく得た魔法は欠点が丸わかり。改造した列車はこの通りのボロボロ。今のお前は丸裸だぜ?」

Zゼロノスのいうことは正鵠を射ていた。

ネガNEW電王は指をパキポキ鳴らし始める。

「俺もテメェ等から学んだ事があるんだよ。諦めなければなんとでもなるってなぁ!」

言うと同時に駆け出す。

ライナー電王がデンカメンソードを放り投げて走り出す。

走りながら右腕を横に伸ばしたネガNEW電王の隙間を潜って足を滑らせるようにして背後に回りながら、ケータロスのチャージ&アップスイッチを押す。

『フルチャージ』

左足にフリーエネルギーが伝導される。

『俺の……』

「僕の……」

モモタロスが同時に言っているように感じた。

バチバチバチバチと左足にフリーエネルギーが纏っている。

 

『「超必殺技ぁぁぁ!!」』

 

ライナー電王が全身に襲い掛かる痛みをこらえながらも右足を軸にして左後ろ回し蹴りをこちらに振り向いたネガNEW電王の左側頭部に狙いをつけて繰り出す。

「がっ!」

そのまま勢いを殺さずに半周してから左足と右足を軽くぶつけて纏ったフリーエネルギーを右足へと伝導させる。

左足を軸にしてフリーエネルギーを纏った右上段回し蹴りを繰り出す。

そのまま停まることを知らない勢いでライナー電王は素早く回る。

「ぶっ!」

右足に纏っているフリーエネルギーが雷のようなエフェクトを演出していた。

そして、その場で軽く跳躍してからネガNEW電王を正面に捉えると同時にフリーエネルギーを纏ったままの右足を繰り出す。

「がああっ!」

バチバチバチとネガNEW電王の全身にフリーエネルギーが叩き込まれて、金縛り状態になる。

ライナー電王は背を向けた状態で着地する。

「野上!どけぇ!!」

Zゼロノスに従い、ライナー電王は右に飛びのく。

『フルチャージ』

Zゼロノスがゼロノスベルトの左上にあるフルチャージスイッチを押してから、Dバスターのガッシャースロットに挿し込む。

DバスターをネガNEW電王に向ける。

「おりゃあああああああ!!」

そして、ぎゅっと引き金を絞る。

ゴルドフィンガーからフリーエネルギーのレーザー砲が一直線に発射された。

「ぐうおわああああああああ!!」

金縛り状態のネガNEW電王は避ける事などできるはずもなく、直撃する。

余波として、一両目にあるNNデンバードも木っ端微塵になっていた。

撃ち終えるとそこにはネガNEW電王が立っており、全身から火花を散らしてあお向けになって倒れた。

ネガNEW電王の身体が光りだし、リィンフォースへと姿が変わる。

同時に一つの光球が宙に浮かび上がってそのままNNデンライナーを透過して逃げていった。

「がほっ……げほっ……、私は……」

リィンフォースは目を開き、ぼやけた意識で天井を見上げていた。

「侑斗」

「わかってる。後は任せろ。お前はあいつを……」

リィンフォースを抱きかかえているZゼロノスの言葉にライナー電王は首を縦に振った。

デンカメンソードを拾い上げてNNデンライナーを出た。

 

NNデンライナーを透過して逃げた光球---全身に傷がくっきり残って右側の角が折れたネガタロスさしずめRネガタロスは身体をヨロヨロさせて砂地を歩いていた。

「はあ……はあはあ……」

武器も身体も心もボロボロだ。

仮に生き残ったとしても、リベンジにはかなりの時間を要するだろう。

足元に黄金のオーラレールが敷かれていた。

何かがこちらに向かってくるのがわかった。

それが誰なのかも瞬時に理解できた。

理解すると恐怖が襲い掛かってきた。

後にも先にも一人しかいない。

「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」

獣のような咆哮を上げながら、Rネガタロスは向かってくるものに対して迎撃するように走り出す。

向かってくるもの---オーラで形状された『時の列車』を纏い、併走させながら向かっているライナー電王が見えた。

互いの距離がゼロになる。

 

電 車 斬 り!!

 

Rネガタロスの耳に聞こえた単語だ。

ライナー電王が走り抜け、黄金のオーラレールも消える。

Rネガタロスは振り向かない。

いや正確には振り向く力もないのだ。

バチッと身体から火花が散る。

 

「今度こそ完全に……うおおおおおおおおおお!!」

 

全身から火花が走り出し許容量を超えた攻撃に耐え切れなくなり、やがて……

ドオォォォォンという爆発音と爆煙を立たせた。

 

「終わった……。やっと……」

立っていたライナー電王もフラついてから右手に握られていたデンカメンソードを落とし、両膝を地に着けてからうつ伏せになって倒れた。




次回予告

       はやてはリィンフォースと別れを告げる。

       そしてZゼロノスから侑斗へと戻る。

       奇跡は起こるのか?

       そして一人の少女はある決断をする。

       第六十二話 「夜天がもたらすゼロの奇跡」
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