野上良太郎達が時空管理局本局であれやこれやとしている時間帯での八神家。
私服姿のヴィータと八神はやては獣姿のザフィーラにもたれてテレビを見ていた。
シグナムもまた私服姿であり、新聞を読んでいた。
デネブと私服姿のシャマルはキッチンで料理の談義をしていた。
談義といってもこの場合、シャマルがデネブに教えてもらっているというのが正しい。
「風呂沸いたぞ。入るヤツはさっさと入ってくれ」
先程まで風呂場にいた桜井侑斗がリビングに顔を出して、リビング内にいる者達全員に聞こえるように告げた。
「うん、ありがとう。侑斗さん」
はやては侑斗に感謝の言葉を送る。
「それじゃはやてちゃん、ヴィータちゃん。行きましょうか?」
シャマルがエプロンを外して、はやてとヴィータに呼びかける。
「はぁーい」
ヴィータは素直に返事した。
「明日は朝から病院です。あまり夜更かしされませんよう」
シグナムは新聞を畳みながら明日の事を告げる。
「はーい」
はやては笑顔で返事する。
「よいしょっと。シグナムはお風呂どうします?」
シャマルがはやてを抱きかかえる。
「私は後からでいい」
「そぉ」
「お風呂好きが珍しいじゃん。誰かに一番風呂許すなんてよ」
シャマルもヴィータもそのような会話をするが、シグナムが何故このような事を言うのかは理解できた。
「たまにはそういう日もあるさ」
「ほんならお先にー」
「はい」
はやて、シャマル、ヴィータが風呂場に向かうとシグナムは先程とは違って真剣な表情をしていた。
「桜井、デネブ。少しいいか?」
「何だよ?」
「どうした?シグナム」
シグナムに呼ばれた侑斗とデネブは彼女の近辺のソファに座る。
「今日、デンライナーの連中と交戦した」
「野上達が来たのか。でも、普通なら交戦するはずないんだが……」
侑斗はシグナムの報告に疑問を持つ。
良太郎は電王。つまり自分と同じ様に『時の運行』を守る者だ。
普通に考えるならばシグナム達と交戦する理由はない。
彼女達が『時の運行』を妨げる存在でない限りはだが。
「ヴィータが襲撃した魔導師とその魔導師を助けた管理局に縁のある者達と繋がりがあったみたいだ」
「そうか……。野上達が来るってのはわかっていたが、まさかこんなかたちになるとはな」
侑斗は後頭部に手を回して指を絡めて、支えを作ってから天井を見上げる。
「侑斗。どうしよう……」
デネブは侑斗に今後の方針を尋ねる。
「なるようにしかならないだろ。ただハッキリしている事は野上は俺達がお前達と繋がっていると考えている、それだけは確かだな」
「すまない」
シグナムは謝罪するが、侑斗は首を横に振る。
「気にするな。お前達が『時の運行』を乱すか野上の仲間と戦わない限りは、あいつから手を出すことはないさ。それにお前が野上個人と戦っても負けたりはしないだろ?」
侑斗は一度だけ、シグナムと手合わせをしたことがある。
竹刀を用いての手合わせだ。
勝敗はつかなかったが、侑斗自身は長引けば長引くほど自分が不利になることを直感していた。
ゼロノスに変身すれば勝てるかというと、確実に勝てるとは言いがたいだろう。
『運がよければ勝てる』に持ち込めるだけで、『絶対に勝てる』というわけではない。
それだけシグナムと戦う場合には相応のリスクを覚悟しなければならないということだ。
自分よりも個人としての戦闘能力が劣る良太郎が彼女と戦って勝てるはずがないというのが侑斗の持論だ。
「……いや、負けた」
シグナムの答えは侑斗とデネブを驚愕の表情に変えた。
「野上がお前に勝った?」
「そんなことって……」
「だが事実だ。私は電王いや野上と一対一で戦って負けた。お前の予想は覆されたという事だ」
シグナムが嘘を言う必要性はないのだから、本当の事だろう。
「野上個人の電王がシグナムに勝った……」
侑斗が知る限り、良太郎が主人格となる電王は二種類しかない。
電王の中では最低クラスのプラット電王。
そして、電王クライマックスフォーム(以後:クライマックス電王)と同等のスペックを持っているが、良太郎が主人格であることでクライマックス電王より戦闘力が下がってしまうライナー電王の二種類だ。
シグナムに勝つ可能性があるとすればライナー電王だろう。
(野上があの電王の力をモノにしつつあるということか……)
侑斗はライナー電王は全電王の中では最も未知数だと考えている。
モモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロスの力を使うことが出来る。
クライマックス電王と違い、純粋に能力のみを使用できるというのがライナー電王の最大の利点だ。
だが、使用者である良太郎はその能力を持て余している傾向がある。
それは、まだ誰もライナー電王の最大限の力というものを見たことがないということになる。
「桜井。今後の電王への対策とするならば何かあるか?」
ザフィーラが侑斗に助言を仰ごうとしている。
「………」
侑斗は今度は両腕を前に組んで考える。
「ひとつだけある」
そう切り出したのはデネブだった。
シグナムとザフィーラはデネブに視線を向ける。
「野上を怒らせてはいけない」
「「………」」
デネブの言葉は一人と一匹を黙らせる効力はあった。
それが有意義な情報かどうかは別としてだが。
侑斗はデネブの発言に呆れて、頭を押さえた。
シグナムは窓越しに夜空を見上げる。
そして、先の戦闘のことを思い出していた。
誰かに抱きかかえられた事は初めてのことだ、と。
*
時空管理局本局。
「養子?フェイトちゃんが?」
「うん。リンディ提督にね。そう言われたんだ。養子に来ないかって」
廊下を歩いていた良太郎とフェイトはそんな会話をしていた。
良太郎はフェイトの表情を見る。
考えが決まったわけではないようだ。
それで自分に相談してきたのだろう。
「良太郎はどう思う?」
「そうだね。僕個人の意見としては養子縁組の話はフェイトちゃんにとってはいい話だと思うよ」
良太郎はプレシア・テスタロッサの言葉を思い出していた。
「フェイトは別の所で養子に貰われ、幸せに暮らしているという未来も見たわ」
今がプレシアが見た未来が現実になり始めている瞬間ということだろう。
「急いでいるわけじゃないんでしょ?その話」
「うん。でも、先延ばしにしていいわけでもないから……」
「じっくり考えてさ。納得いく答えを出せばいいと思うよ。リンディさんもそう望んでると思うしね」
「うん。ありがとう良太郎」
フェイトは笑みで答えた。
「やっぱり、笑ってる方がいいね」
「え?」
「怒ったり、泣いたりよりさ。フェイトちゃんは笑顔が一番だと思ってね」
良太郎の嘘偽りのない言葉にフェイトは顔を真っ赤にして俯く。
「あ、ありがとう良太郎」
しばらくして、とある部屋のドアが開く。
「あらぁ、フェイトさんに良太郎さん」
「リンディさん」
「リンディ提督……」
三人はクロノのいる場所へと向かうことになった。
「ふえ!?親子ってリンディさんとフェイトちゃんが……」
「フェイトがハラキラレルンの養子になるってことかよ……」
「フェイトは天涯孤独の身やからなあ。そういう話が出ても不思議やないな」
エレベーターの中にはなのは、モモタロス、キンタロスはエイミィからフェイトの身の上の話を聞いている最中だった。
ちなみにユーノ・スクライア、アルフ、ウラタロス、リュウタロス、コハナは別に行動している。
「あ、ハラキラレルンじゃなくてハラオウンね。まだ本決まりじゃないんだけどね」
エイミィが笑いをこらえて、モモタロスに訂正する。
「プレシア事件でフェイトちゃん、キンタロス君の言うように天涯孤独になっちゃったし、艦長の方からウチの子になる?、て。フェイトちゃんもプレシアの事とか色々あるし、今は気持ちの整理がつくのを待っている状態だね」
「そうですか……」
なのはとしてみれば自分では手に余ることなので何とも言えない。
「………」
「………」
モモタロスとキンタロスも何も発さない。
「なのはちゃん達的にはどう?」
エイミィが切り出した。
「えと。何だか凄くいいと思います!」
なのはは少し考えてから自分の素直な意見を出した。
「オバサン(プレシア・テスタロッサのこと)もその方が喜んでるんじゃね?」
モモタロスも良太郎同様に『P・T事件』の真実を知っている身であり、無責任にプレシアの名を言ったわけではない。
「確かにな。ええかもしれんな」
キンタロスもモモタロス同様に知っているので首を縦に振って腕を組んで、エレベーターにもたれた。
「そっか」
一人と二体の回答にエイミィは笑みを浮かべた。
満足しているという事だ。
エレベータが指定の階に停まって全員降りる。
廊下を歩きながらもフェイトの養子縁組話は続いている。
「でも、そうなるとクロノ君。お兄ちゃんになるんですよね?」
なのはは、養子縁組した場合のごく当たり前のことを言う。
「何か想像つかねぇよな」
モモタロスはフェイトがクロノに対して、「お兄ちゃん」と呼ぶ姿を想像してみるがどこかぼやけた感じがする。
「養子縁組の話が成立したら、クロイノはフェイトの兄貴になる。てことはや、フェイトにとって良太郎は何になるんやろ?」
キンタロスは良太郎がフェイトの兄貴分というポジションだと今まで認識していたらしい。
そのポジションが養子縁組成立によって、良太郎からクロノに替わるのだ。
良太郎とフェイトの関係を危ぶんでいるのだ。
「フェイトちゃんは良太郎君のことをお兄さんとしては見てないと思うよ」
エイミィの言葉に、なのは、モモタロス、キンタロスが「え?」という顔をする。
「じゃあ、何だよ?」
「そうですよ。一体どういう風に見ているんですか!?」
モモタロスとなのはは興味深深にエイミィに詰め寄る。
「お前等、そんなに詰め寄るもんやないで。エイミィ、ビビってるやないか」
キンタロスが一体と一人に注意する。
「うーん、多分だけどね。フェイトちゃんは良太郎君のことを一人の男性として見てると思うよ」
イマジン二体と少女は?顔になった。
エイミィはそんな顔をしている二体と一人を見て、判断した。
ウラタロス君とハナちゃんとアルフ以外は色恋話には鈍いんだろうな、と。
「クロノ」
整備中のアースラを見ていたクロノはリンディの声に反応して、前を向いた。
「艦長。フェイトに良太郎も一緒か」
「うん」
「まあね」
フェイトと良太郎も返事する。
「今回の事件資料。もう見た?」
リンディがデータが入ってるパッドのようなものをクロノに見せる。
(資料が紙じゃない時点で進んでるよね……)
つくづく文明の差を見せ付けられているようだと良太郎は感じた。
「はい。さっき全部」
クロノは決意を持った表情で頷いた。
四人は近くの座席に座っていた。
席の位置としては良太郎とフェイトが同席で、その対面にリンディとクロノということになっている。
「なのはの世界を中心に起こっているんですよね?魔導師襲撃事件って……」
フェイトは確認するように訊ねる。
(魔導師まで襲われてるんだ。でも何のために……)
良太郎は黙って聞き、頭の中で情報を整理して自分なりに解釈しようとしている。
「そうね。なのはさんの世界から個人転送で行ける範囲にほぼ限られているわ」
リンディがこれまでのことで明らかになったことを打ち明けた。
「あの、個人転送って何ですか?」
良太郎が訊ねる。
「ええと、個人の転送魔法で行く事、かな」
隣にいるフェイトが解説してくれた。
「あの辺りは本局からだとかなり遠くなりますね。中継ポートを使わないと転送できない」
「遠いの?」
「貴方が距離感を感じないのも無理はない。なのはのいる世界と本局ではかなり距離があるんだ」
良太郎がそのように問うのも当然だとクロノは思い、説明してくれた。
「アースラが使えないの痛いですね」
「空いている艦船があればいいんですが……」
フェイトとクロノの証言から察するに、最速で対処する移動手段がないということだ。
「長期稼動できる艦は二ヶ月先まで空きがないって……」
「そうか」
「結構色々あるんだね」
クロノはフェイトの補足に頷くしかなく、良太郎としてはそんな感想しか出ない。
「フェイト、君はいいのか?」
「何が?」
フェイトはクロノが尋ねる意図がわからないらしい。
(ああ、なるほど……)
良太郎はクロノの意図が大まかにだが理解できた。
「嘱託とはいってもあくまで君は外部協力者だ。今回の件まで無理に付き合わなくても……」
「クロノやリンディ提督が大変なのに、のんきに遊んでなんかいられないよ。アルフも付き合ってくれるって言ってるし、それに……」
フェイトは良太郎を見る。
「良太郎達のお手伝いもしたいし……、お願い。手伝わせて」
良太郎もクロノもフェイトの本心の言葉に似たような表情をする。
「ありがたくはあるんだが……」
クロノのは渋っている。
「イマジンと出くわすかもしれないし、下手をすれば命の危険に直面する事もあるよ。それでもいい?」
対して良太郎はフェイトの覚悟を確認する。
「良太郎だって命がけで、わたしを助けてくれたんだ。その覚悟はできてるよ」
フェイトの決意は固い。
「わかった。クロノ、無理だよ。フェイトちゃんの決意は固い。僕達が下手な事を言っても動かないよ」
「……貴方がそう言うなら仕方がないな」
クロノは渋々承知した。
「良太郎さん。今度は貴方に訊ねてもいいかしら?」
今まで三人のやり取りを黙って聞いていたリンディが切り出した。
「はい。何でしょう」
「貴方が今回、ここに来た目的は何かしら?フェイトさんは貴方がこれからしようとすることを手伝うと言っている以上、聞いておきたいしね」
「そうですね。前回と違って今回は目的がハッキリしていますから、皆さんにもお伝えできますから……」
良太郎はその直後に、真剣な表情になる。
それはまぎれもなく、『時の運行』を守る使命を持った野上良太郎の面構えだった。
フェイトもリンディもクロノも良太郎が放つ雰囲気に呑まれていた。
「今月のいつになるかは、わかりませんが別世界の時間が滅ぶ事がわかったんです」
「「「………」」」
フェイト、リンディ、クロノは口をぽかんと開けてしまう。
あまりに突飛な話だからだ。
「まあ、そういう顔をするのも当然といえば当然かな」
良太郎は特に気にする様子はない。
自分だって、いきなり世界崩壊の宣告を聞けばそんな顔をすると思っているからだ。
「良太郎さん、その時間が滅ぶっていうのはどういうことかしら?」
リンディとて次元世界の崩壊というものは資料などで見たことがあるが、生でその手のモノを見たことがないため、ピンとこないのかもしれない。
「簡潔に言いますと、辺り一面が砂漠になるんです。何もないし誰もいない、本当にただの砂漠になるんです」
良太郎はその状態になった時間を見たことがある。
何度思い出しても、やりきれない気持ちが浮かび上がってくる。
「そうなったら、元には……」
クロノが対処方法を訊ねる。
「崩壊が起こった時間から翌日以降に特異点がいれば、その記憶を支点にして人々の記憶を使って修復する事が出来るんだ。でもね……、それは完璧に出来るわけじゃないんだよ」
「どういう事だ?」
良太郎は続ける。
「特異点や人々が記憶していない事は修復されないんだ。人の記憶って確実に見えて曖昧な部分があるからね」
「崩壊が起これば、そんなギャンブルに頼らなければならないのか……」
「普通ならね。でも、僕達は今から十年後の別世界
ここ
も見てるんだよ。どうなってたと思う?」
三人はごくりと喉を鳴らして、良太郎の答えを待つ。
「僕がさっき言ったとおりのまんまだったよ。つまり、ここには特異点がいなかったってことになるね。もしくは、いたとしても既に死んでいるのかもしれない……」
「良太郎、聞いていい?特異点って何なの?」
フェイトが良太郎の台詞の中で聞き覚えのない単語に質問する。
「あらゆる時間の干渉を受けない人間、かな。さっきで言えば時間が滅んでも、特異点となる人間は消滅する事はないんだ。でもね、物理的干渉を受けるから不死身とは意味合いが違うけどね」
「何か特徴はないのかしら?その人物も保護しておく必要はあるしね」
リンディは『特異点』と呼ばれる人間の特徴を訊ねるが、良太郎は首を横に振るだけだ。
「外見特徴は期待しない方がいいですよ。アザがどこかにあるから特異点とかいう、妙なものはないんですから」
「でも、良太郎はどうしてそんなに特異点に詳しいの?」
フェイトは良太郎に訊ねる。
「それはね、僕が特異点だからだよ。だから外見特徴で判断するのは無理って言ったんだ」
「「「なるほどぉ」」」
特異点本人が語るのだから三人は頷くしかない。
「で、これからどうするんですか?本局から海鳴までは距離がありすぎるし、アースラは整備中で使えない。代わりとなる艦は二ヶ月先までいっぱいとなってる、何か対処はあるんですか?」
良太郎は今後の活動の障害となる部分を全て語ってから、リンディに訊ねる。
リンディは笑みを浮かべて、左掌に右拳を打ちつける。
「やっぱり、あの手で行きましょうか」
「「「?」」」
良太郎、フェイト、クロノはリンディの意図がわからなかった。
休憩場にはアースラスタッフ(この場合、なのは、ユーノ、フェイト、アルフを含む)とチームデンライナーが揃っていた。
座れる席が少ないので、立てる者達は立っていた。
「さて、私達アースラスタッフは今回ロストロギア『闇の書』の捜索及び魔導師襲撃事件の捜査を担当する事になりました。また前回の事件で大変お世話になったチームデンライナーの方々の事件捜査にも尽力するという方針になりました。ただ肝心のアースラがしばらく使えない都合上、事件発生時の近隣に臨時作戦本部を置く事となります」
リンディの言葉に誰もが真剣に聞いている。
「分割は観測スタッフはアレックスとランディに」
リンディは二人に視線を向ける。
「「はい!」」
二人の青年は即座に返事をする。
「ギャレットをリーダーとした捜査スタッフ一同!」
リンディがさらに後ろにいる多数のスタッフに視線を向ける。
「「「「「「はい!」」」」」」
全員が揃って返事をする。
「そして、司令部は私とクロノ執務官、エイミィ執務官補佐、フェイトさん。以上三組に分かれて駐屯します。ちなみに司令部は、なのはさんの保護も兼ねてなのはさんのお家のすぐ近所になりまーす」
えええええええええええ!?
その場にいる誰もが驚きの声を上げた。
「では、良太郎さん。チームデンライナーのリーダーとして一言どうぞ」
リンディは立って今までのことを聞いている良太郎に視線を向けた。
良太郎はリンディが立っている場所まで移動してから、軽く会釈をしてから周囲を見回してから口を開く。
「どうも、こんにちは。野上良太郎です。今回僕達が来た目的はこの世界の時間の破壊を防ぐために来ました。僕達が追いかける事件が闇の書や魔導師襲撃とどのように繋がりがあるかはわかりません。もしかしたら、全く繋がりがないのかもしれません。でも、この世界の『今』と『未来』を守るために皆さんの力が必要です。どうかよろしくお願いします!」
良太郎はそう告げると、深々と頭を下げた。
フェイト、モモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロス、コハナが拍手をしだした。
なのはがユーノがアルフがクロノがエイミィが拍手をしだした。
アースラスタッフが拍手をしだした。
アースラスタッフは今後の方針に向けて行動するため、散り散りになった。
休憩場に残ったのはチームデンライナーとフェイト、アルフ、なのは、ユーノだ。
「海鳴に行くってのは決まったけど……」
「俺達、住む場所ねーじゃん」
良太郎とモモタロスは海鳴での自分達の身の振り方を考えていた。
「オーナーがアジト、提供してくれてるはず……ないよね」
「そういう時はナオミが案内してくれるはずやからなあ」
ウラタロスとキンタロスも真剣に考え込む。
「なのはちゃんの家にお世話になるってのはぁ?」
「いくらなんでも図々しすぎるわよ。それ……」
リュウタロスが今のところ一番ベストの案を出すが、コハナがストップをかけた。
「あ、あの皆さん」
なのはが深刻に悩んでいるチームデンライナーの前におずおずと立つ。
「よかったら、また来ませんか?お父さんやお母さん、お兄ちゃんもお姉ちゃんも喜ぶと思いますよ。ユーノ君もウチに来るんだよね?」
「そうだね。またお世話になります」
「うん!」
ユーノはなのはの厚意に素直に甘える事にした。
「「「「なのは様!ありがとうございます!!」」」」
「ふえええ!?皆さん、どうしたんですか!?」
イマジン四体が土下座して、なのはに感謝の言葉を述べた。
なのはとしてみれば、感謝されるのは嬉しいが居心地の悪さを感じていたりする。
「何があったの?皆に……」
「さあ。時間警察に捕まった時にでも学んだんじゃない?感謝の仕方ってヤツを。なのはちゃん、本当にいいの?」
「はい!大丈夫です!」
なのはは笑顔で即答する。
「じゃあ、お言葉に甘えます。ありがとう」
コハナも頭を下げて、感謝の言葉を述べた。
「良太郎さんはどうするんですか?」
なのははまだ決まっていない良太郎に顔を向ける。
「さすがにこれ以上、居候の数を増やすのはね……」
高町家に居座る事は簡単だが、良太郎はそれを良しとはしなかった。
「そうですか。わかりました。皆さんの事は任せてください!」
「お願いします」
良太郎はなのはにイマジン四体とコハナを任せることにした。
時間が時間なので、なのは、モモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロス、コハナは海鳴へと戻っていった。
良太郎、フェイト、アルフが休憩場に残っていた。
「どうすんだい?良太郎」
アルフは天井を見上げている良太郎に訊ねる。
「僕、どこで生活すればいいのかな……」
良太郎としても八方塞になっていた。
「だったらさ、わたし達と一緒に住めばいいよ」
フェイトが良太郎の前に立って言った。
フェイト達と住む。それはハラオウン家に厄介になるということだ。
「いいのかな……」
「大丈夫だよ。リンディ提督ならきっと受け入れてくれると思うよ」
フェイトは笑みを浮かべる。
良太郎にはこの時、フェイトが天使に見えた。
次回予告
第九話 「新結成!D・M・CwithR」