一つだけ聞きたいことがある
皆はもし、時間を自由に動かせたらどうしたい?
人の役に立てることをしたい?それとも、ちょっと悪い事に使いたい?はたまた、過去や未来に飛んでみたい?
きっといろんな使い方をしたがる人がいるだろう。
でも、俺だったら、面倒事回避のことに使いたいな。例えばこんな感じにね
「おはよう!凪砂君(なぎさ)っ・・」
朝っぱらから騒々しい先端緑に声をかけられたな…これは今日は嫌な予感が…
突然だが、たった今俺に話しかけてきたやつの動きが止まった。
他の人はそいつが急に固まった事に違和感を持つこと無く、通り過ぎていく
もちろん、俺も素通りをする。石像に話しかける趣味なんて俺には無いからね。
そして、通り過ぎた3秒後くらいに…
「ってあれ…凪砂君は?!さっきまで私の目の前に絶対にいたはずなのに」
お分かり頂けたと思うが、俺は自分の意思で自分以外の人間の時間を止めることが出来る。
長い時間のタイムスリップとかは出来ない事は無いが行き来出来るのは2日前が限界、相手の時間を自由に動かしたり止めたりすることは出来る。
そして俺のこの能力を知ってる人は俺以外に存在しない。
そして自己紹介をし忘れてたね。
俺の名前は、結城 凪砂(ゆうき なぎさ)だ。一応ニジガクに通ってる、善良な高校生だ。部活は特に入ってないが、子供の頃から今に至るまでずっと格闘技やスポーツをやっているから運動は得意だ。
「おはようございます、結城さん」
うげっ…でた、生徒会長の三船…
朝っぱらから、先程最初に声を掛けてきた先端緑こと、高咲に続き同じ同好会で活動しているバカ真面目の三船に絡まれるとは今日の運勢は最悪かもしれんな…
「今、ものすごく失礼な事を考えてましたよね?」
「いや別に」
おっといけない、顔に出てしまっていたか。 しかし、コイツは真面目なのは良いが逆に真面目すぎて俺はあんまり好きでは無い。
…過去に屋上で昼寝してたのがバレて担任に密告されたりした事もあるしな。
「で、結城さん挨拶は?」
「ちゃーっす」
俺はいつものノリで、三船に挨拶をしたが…
「はぁ…挨拶の仕方も知らないのですか?先ず人に朝挨拶されたらおはっ・・」
突然三船の動きが止まり、そのまま瞬き一つせず固まった。 と言うのも正確には俺が止めたんだけどね
ちなみにだが、時を止められてる間の相手の記憶は時を止められる直前で意識とかも全て止まっているため、時が止められてる間の記憶は無い。
「ったく…うるさいね。そんなんだから堅物って言われんだよ、バーカ」
故に、こうやって悪口を言っても聞かれることは無い
俺はそのまま三船の横を通り、少し離れた場所で奴の時間を動かした。
「先ずおはようございますって挨拶するのが基本…ってあれ?結城さんはどこへ…って、私は一体一人で何を…」
まぁ、こんな感じにテンパる人が大半だろう。
そして俺はそのまま自分の学科の教室へ向ったが…その道中
「あー!凪砂せんぱっ…」
「ちっ…今日の運勢は大凶かな!」
こいつが一番めんどくさい、中須かすみ。俺の一個下の後輩に当たる奴だ。 多分この学校で俺の唯一三船に匹敵する天敵だと思う。
だから、俺は出会い頭に速攻でやつの時間を止め、そのまま走って逃げ、また離れた所でやつの時間を動かした。
「凪砂先輩っ!ってあれ?!どこ?!」
正直この反応は今日で三回目で飽きているから、そのまま教室へ向かわせてもらうぞ!
と、朝から散々な目に会いながら俺は何とか二年の教室へ辿り着くことが出来た。
すると、教室に入った途端…
「凪砂君っおはよっ」
「っ……はぁ…はいはい…おはよ、上原さん」
ライトピンクの髪の色をした女の子、上原歩夢に声をかけられた。 流石に俺も、ここまで近くで声を掛けられたら返事をするしかない。
「凪砂君、昨日の課題しっかりやってきた?途中誰も気付かないで急にいなくなってたけど…」
課題?昨日?あぁ、そういやなんか言ってたな…なんか急に授業がめんどくなって、クラス全員の時間を少しだけ止めてそのまま帰ったんだっけか
余談だが俺は一応不特定多数の人の時間を止めることが出来る。しかし、その分代償としてめちゃくちゃ体力使うのとクラス全員+先生だと良くて三十秒が限界だ。
「凪砂くん?聞いてる?」
「あぁ、ごめん、途中から聞いてなかった、課題提出の事だっけ?」
まずいまずい無意識に自分の世界だけ止めてたわ
「で、提出日が今日で途中でいなくなってたけど大丈夫?って」
「ふーん、なるほど…ね」
心配する上原さんを横目に、ここで俺は悪知恵を働かせた、つまりこのままだと俺は昨日授業から抜け出したことになって課題をやり損ねたことになってるわけか。
なら、この方法を使うかな
俺は一瞬力強く目を閉じ、少しだけ軽い念をした。
すると、あら不思議、なんと、さっきいた時間の一日前に戻ってきているではありませんか。
そう、俺は長時間のタイムスリップは無理だが、二日前くらいなら全然余裕である。
そして俺は、スマホを取り出しそのまま学校の電話にかけた。
「あ…ごほごほ…もしもし…虹ヶ咲学園普通科二年の結城 凪砂です…ごほっ…ちょっと体調優れないので今日は休みます…ごほ…担任によろしく伝えといてください…ごほごほ」
と、仮病の連絡を入れて俺はそのままベッドに向かい、そのまま布団に入り睡眠の世界へ旅立った。
と、したのだが
\ワクワク叶えるストーリー/
と、突然俺の携帯から、相手の呼び出し音が流れた
恐る恐るスマホを見ると、見覚えのある人物から電話がかかってきた。
それも俺からすればついさっきぶりの人間だ
メッセージアプリの名前はaymuとローマ字と如何にも女子風
俺は恐る恐る電話に出た
「もしもし凪砂くん?!体調悪いってホント?!今から家行くけど大丈夫?!」
と、開口一番に意味不明なことを言ってきた。もちろん入れるわけないし、正直あんまり話す気もない。
「ごほ、ごめん、遠慮しとくよ、それにごほ移したらごほ、まずいし、そ、それじゃごほ、また!」
「あ、ちょっ」
俺はそのまま、上原さんとの電話を切った。 そう、この力にはすこーしだけデメリットが存在する。
それは、本来通るはずの時間をタイムスリップして改変しようとすると、こうやって本来起きるはずのない事が起きるのだ。
まぁ、別に人が死ぬとかそういうのは無いから安心して。
「さてと、眠くなってきたし…おやす…」
\ピンポーン/
「…………あぁ?」
流石にこれは予想していなかった。俺は渋々玄関のインターホンのカメラを見に行った。
すると……
「凪砂くん!いる?!いたら開けて欲しいな!」
と、上原さんからの 声が聞こえた。
「oh……」
ここで無視したら確実にサボったと怪しまれる…大人しく家に上がらせた方が…くそ…万事休すか…
そうこうインターホンの前で一人で戦ってたら…
「私…凪砂くんに元気になってもらいたくて…だから渡したい物が…」
破壊力満点の上目遣いをカメラの前でして来た。 しかも、声的に今にも泣きそうだった。 まずここで、涙を流されたら流石に面倒だし、シャーなしで入れざるを得なくなってしまった。
そして、そのまま玄関の鍵を開け
「上原さん…何しに来たんだよ…」
と、露骨に嫌な顔を上原さんにしながらそう言った。
すると
「風邪大丈夫?その…体にいい物持ってきたから…上がっていい?」
「なっ…どうしてそこまで…」
「当たり前だよ!お友達が風邪ひいて心配するのは当然だよ!」
この目…結構本気で心配してんのか…まずいな、急に俺の中の良心が
しゃーない、元の日に戻るか…
そう思った俺はまた目を閉じ本来通る時間の世界へ戻った