「たぶん……?」
「ジブンノコトナノニワカラナイノカシ?」
「あはは……まあ、ね……」
ハルトは寂しげに笑うと、表情を暗くする。
「僕さ、どうして自分がここにいるのかすらわからないんだ。 気付いたらミライドンやこのポケモンと一緒にいて、キミ達が来るまでミライドンに起きてもらうために声をかけていたんだよ」
「このポケモン、ミライドンって言うんだ……」
「ナンカメカメカシイシ。モシカシテネンリョウギレダシ?」
「カゲ……?」
ホムラが首を傾げると、ハルトは首を横に振った。
「いや、普通に食べ物を食べるけど……って、あれ? もしかしてさっき飛んでいったのはキミ?」
「ソウダシ。ハルトタチガオチテキタショウゲキデトバサレタンダシ。スッゴクビックリシタシ」
「そうだよね、ごめん…….あのさ、もしキミ達さえよかったら、ミライドンとこの子を起こすのを手伝ってもらえないかな?」
ハルトが不安そうに聞くと、ユウ達は顔を見合わせたてから静かに頷いた。
「それは良いけど……」
「ドウスレバイイシ?」
「そこは僕もわからない。だから知恵を貸してほしいんだ」
「知恵を……うん、わかった。でも、どうすればいいんだろ?」
ユウが頭を悩ませ始めたその時だった。
「ギャウン……?」
ミライドンの目に光が灯り、それに続いて赤いポケモンを小さく唸り声を上げ始めた。
「ミ、ミライドン!」
「コッチノモメヲサマシタヨウダシ。デモ、スコシゲンキガナサソウニミエルシ?」
「カゲ……」
「もしかしたら、お腹が空いてるのかな。それじゃあこれをあげるよ」
そう言って、ユウはバスケットを開け、中からサンドイッチを一つ取り出した。
「それは……キミが作ったの? すごく美味しそうだけど……」
「うん、そうだよ。後でみんなで食べる用だったけど、僕の分で良かったら……」
「でも、本当に良いの?」
「うん。僕の分はまた後で作れば良いからね」
「……わかった」
ハルトはユウからサンドイッチを受け取ると二つに分け、それをミライドンともう一匹のポケモンに渡した。ミライドン達は軽く匂いを嗅いでからサンドイッチをパクリと食べた。その瞬間、二匹は目を見開き、揃って大きな鳴き声を上げた。
「アギャース!」
「アギャアンス!」
「ゲンキ、デタミタイダシ?」
「そうみたい。ユウ、本当にありがとう。キミのおかげだよ」
「そんな事……でも、本当によかった。これでどうにか──」
ユウが安心しきっていたその時、ミライドン達は再び大きなき声を上げ、二匹は目映いほどの光を放ちながら変化を遂げ、ミライドンは脚をしまって宙に浮いた姿に、赤いポケモンは力強く直立した姿へ変わった。
「こ、これは……!?」
「ハイパーゲンキニナッタシ!?」
「カゲ……!」
「バトルフォルム……」
「バトルフォルム……?」
「あ、うん。そんな言葉が浮かんだんだ」
微笑みながらハルトが説明していると、二匹はゆっくりと近くの崖へ近づき、その壁に自身の尾を力強く叩きつけた。 すると、そこには先へ通じる穴が開き、ユウとハルトは揃った安堵したような顔をした。すると、穴の奥から何かが駆けてくるような足音が聞こえ、ユウ達が何事かと身構えていると、穴からはダークポケモンに分類されるデルビルを四匹連れた同じくダークポケモンのヘルガーが姿を見せた。
「ヘルガー!?」
「コ、コイツアキラカニツヨイヤツダシ……!?」
「そ、そうだね。早く逃げ──」
「その必要はないよ」
「え?」
その静かな声にユウが疑問を抱いていると、ハルトはユウ達を庇うようにして立ち、腰のベルトからモンスターボールを一つ外した。
「助けてもらった分、今度は僕が助けていく番だ」
「ハルト君……」
「記憶はさっぱりだけど、キミ達の事は覚えているよ。さあ、力を貸してくれ、ウェーニバル!」
その言葉と同時にモンスターボールのスイッチを押した。すると、 中からは頭や背中から水色の羽の飾りを生やした青色のポケモン、ダンサーポケモンのウェーニバルが姿を現した。