「なんだかごめんね、道案内してもらって」
数分後、ヘルガーの後に続いて洞窟の中を歩きながらユウが声をかけると、ヘルガーは歩きながらユウを振り返った。
「ヘルガ」
「キニスルナトイッテルシ」
「ヘルガ、ルガルガァ」
「コッチカラオソイカカッタノニタベモノマデモラッタカラニハシッカリトオンハカエスベキダ、トイッテルシ」
「……うん、わかった」
洞空の中を進みながらユウが頷いていると、その様子で見ているハルトは少し驚いた様子を見せた。
「まさかサンドイッチでここまで心を許してもらえるなんて……」
「サンドイッチガオイシカッタノモアルケド、キケンヲカエリミズニテキイガナイコトヲショウメイシタノモタブンアルシ」
「僕はハルト君と違ってバトルが強くはないし、そこまで 傷ついているのに追いうちもかけられないよ」
「それはたしかにね。それにしても……このヘルガーはやっぱりここのボスなのかな」
ハルトは周囲を見回す。デルビルとユウ達を連れたヘルガーの歩みを野生のポケモン達は遠巻きに見ており、ヘルガーが チラチラと見ているからか他のポケモン達も近づけずにいた。そうしてヘルガーに先導されながら歩いていくと、ユウ達の目の前には眩い程の光が見え始め、その先の先に出たユウの目には外の光景が広がった。
「ここは……外?」
「そうみたいだね。そしてあれは灯台かな……?」
「灯台……それじゃあ、ここって……!」
出て来た場所がわかった事で、ユウが嬉しそうな顔をしていたその時だった。
「ユウ!」
自分の名前を呼ぶ声が聞こえ、ユウがハルト達と共にそちらに視線を向けると、そこにはユウ達へ向かって走ってくるクラベルとアオイ、そしてその後ろから少しバテた様子で走ってくるネモがいた。三人はユウの目の前で足を止め、無事である事を確認すると次にハルトやヘルガー、そしてミライドン達に視線を向けた。
「これは一体…」
「なんだか知らない人がいるし.......というか、そのヘルガーとかその見たことないポケモン達すごく強そう! ねえ、その子達と戦らせてくれない!?」
「.....ネモ、サッソクネモイシ...」
「まあ、勝負はあれとして……落ちてからこんな事があったんです」
ユウはハルトと共にここまでの経緯を話し始めた。そして話が終わると、三人は驚いた様子を見せた。
「なんと、記憶の大部分が….....」
「そういえば、その格好もウチの学校の制服にかなり似てるけど、学生なのかもわからないの?」
「うん、そこもまったくわからないんだ……わかってるのは、自分や手持ちのポケモン達の名前、そしてミライドンの事と日常生活に必要な事やバトルの事くらいで、自分が何者で家族や友達がどんな人だったかも手持ちポケモンやミライドンとの出会いもわからなくて……」
「そうですか......わかりました。一先ず貴方の事は保護して、しばらく我が校の寮で生活をしてもらいましょう。ユウさん、急で申し訳ないのですが、貴方と同室でも構いませんか? 寝具等は連絡をして急いで準備しますので」
「はい、大丈夫ですよ。ハルト君は大丈夫?」
「もちろん。 クラベルさん、本当にありがとうございます」
「いえいえ。では、まずはユウさんのお家に戻りましょうか。 荷物を持ってこないといけませんからね」
「そうですね」
微笑みながらユウが言ったその時だった。
「デルビ」
「え?」
ユウが不思議そうな声を上げる中、突然デルビルの内の一匹がユウの目の前へと進み出た。