歩き始めてから数分が経った頃、ユウは物珍しそうに辺りを見回した。
「なんだか都会って感じの街だね……なんか気後れしちゃうなぁ……」
「あははっ、大丈夫だよ。まあテーブルシティの次に大きいイメージはあるし、ユウが言うように都会感は強いけどね」
「ヒトノカズモオオイシ。アトハ……デンコウケイジバンモオオイキガスルシ、アレデイロイロセンデンスルノカシ?」
「そういう事だね。例えば……ほら、あそこの電光掲示板を見てみて?」
ネモが指差した電光掲示板にユウとシュリは視線を向ける。そこには化粧をした褐色の女性が映し出されており、それを見ながらユウはボーッとしていた。
「綺麗な人……あの人は女優さん?」
「ううん、違うよ。あの人はリップさん、ベイクタウンっていう町のジムリーダーもしてるんだけど、本業はメイクアップアーティストなんだ」
「へー……ネモはリップさんにメイクをしてもらった事はあるの?」
「あはは、流石にないよ。因みに、バトル学の先生のキハダ先生とは小さい頃からの仲良しみたいで、キハダ先生が格闘タイプ好きなのに対してリップさんはそれと相性が良いエスパータイプの使い手なんだ。それに、バトルの腕も本当にスゴいから、七番目に選ぶ人が多いかな」
「エスパータイプ……それじゃあ悪タイプを持ってるクロハやクロエの方が有利だし、それまでには進化や育成を出来る限り済ませておいて……」
繋いでいない手で顎に振れながらユウがブツブツ言い始めると、それを見たネモはクスクス笑い始めた。
「もうリップさんとのバトルの事を考えてるの? だいぶ気が早いね」
「まあね。でも、ネモの隣に立つにはこれでも遅いくらいだよ」
「……え?」
「ネモノトナリダシ?」
「うん、そう。昨日のバトルでネモに負けて思ったんだ。僕はトレーナーとしてまだまだだって」
「オシカッタケドタシカニマケハマケダシ」
シュリが頷きながら言う中、ユウは悔しそうな顔をした。
「うん……正直悔しい気持ちでいっぱいだったから、シュリがネモの様子を見に行くって言って女子組のテントに行った後、ハルト君にも相談したんだ。今の実力でネモと一緒にいても良いのかって」
「そんなの……別に良いに決まってるよ。だって、ユウと旅をする事にしたのは私だもん」
「けど、このままの実力だとネモには勝てないし、バトルでネモの事を満足させてあげられない。ジムを八つ突破したりチャンピオンクラスになったりした後もネモの隣にいる事もネモのライバルとしてネモが胸を張る事も出来ない。そう感じたんだ」
「ユウ……」
「まあだからと言ってライバルを解消したいとは言わないよ。でも、このままだとネモの隣に立ってられないとも思ってる。だから、僕はもっと強くなるよ。これからもネモのライバルでいたいし、ネモの隣にいても恥ずかしくないようにしたいから」
ユウが微笑みながら言うと、ネモは一新驚いたが、すぐに頬を赤く染めた。
「そっか……」
「ユウ、イイケツイヒョウメイダケド、ハンブンクライハジッシツテキナコクハクミタイダッタシ」
「こ、告白って……!」
「デモ、ネモノコトハカワイイオンナノコダトオモッテテ、イッショニイテタノシイトオモッテルンダシ? ダッタラコウサイヲハジメテモモンダイナサソウダシ」
「シュ、シュリ……!」
ユウが顔を赤くし、道行く人々がユウ達を微笑ましそうに見ていたその時だった。
「おはこんハロチャオー! そこのお二人さん! ちょっと良いかなー?」
その声にハッとしながらユウ達が視線を向けると、そこには緑色のポケモンを連れたナンジャモが立っていた。