「コノポケモンハ……」
「たしかミュウだったかな……って事は、ここはミュウの住み処なのかな。でも、どうしてミュウは僕達をここに連れてきたんだろう?」
ユウが首を傾げる中、ミュウはそれを真似るように首を傾げ、口に手をあてながら愉快そうに笑い始めた。
「ミュミュミュ」
「……コノミュウ、ユウノウゴキヲマネシテオモシロガッテルシ。ナカナカセイカクワルイシ」
「まあまあ。ねえミュウ、どうして僕達をここに連れてきたのか教えてくれない? いきなりいなくなったから、友達もビックリしてるだろうし、きっと心配もしてると思うんだ」
「ミュ……」
ミュウは考え込むような素振りを見せた後、ユウの背後にまわり、背負っていたバッグを叩き始めた。
「ミュ! ミュ!」
「え、なに?」
「サンドイッチヲクワセロトイッテルシ。コノミュウ、ダイブクイイジハッテルシ……」
「食い意地が張ってるのはシュリもなんじゃ……」
「シュリハクイイジガハッテルワケジャナイシ! シュリハセイチョウキノウラワカキオトメナダケダシ!」
「い、痛い! 痛いって!」
ミュウがバッグを叩き、シュリがユウの頭を叩き続けていたその時だった。
「うるさいぞ、ミュウ」
静かな声が聞こえると同時にユウの目の前には一匹のポケモンが現れた。そのポケモンはミュウと似たような姿をしていたが、その体はユウよりも大きく、鋭い眼光はユウの体を恐怖で震わせた。
「ミュウツー……!?」
「ミュウダケジャナクミュウツーマデイルシ!? イッタイナニガドウナッテルシ!?」
「騒がしいぞ、小娘。目の前の状況に対して騒ぎ立てるだけがお前のやる事か? それならば、ドラゴンタイプトップクラスの知能というのも大した事がないな」
「ナッ……! ミュウツー! ソノハツゲンヲトリケスシ!」
ミュウツーの発言に対してシュリが怒りを見せる中、ユウは頭の上のシュリを撫で始めた。
「シュリ、落ち着いて……あの、ミュウツーさん。ここはミュウやミュウツーさんの住み処なんですか?」
「さん付けも敬語も不要だ。そしてここは我々の住み処ではない。我々は旅をしているだけなのだからな」
「旅……僕達も旅の途中で、それで……!」
ユウが必死そうな顔で言う中、ミュウツーはそれを手で制した。
「わかっている。ミュウが逐一情報を運んできたからな」
「ミュウが?」
「そうだ。ミュウはカントーにいた頃からお前の生活をずっと見守ってきた。お前が生まれ、周囲からの心ない言葉に苦しみ、他の地方へと渡り、様々な出会いを果たしてきた様子も全て見てきたのだ」
「……ナルホド、ソウイウコトカダシ」
「シュリ、何かわかったの?」
シュリは静かに頷く。
「ミュウハタブンマッテタンダシ。ユウガポケモントレーナーニナッテジブントデアウトキヲ。ダカラ、スガタヲケシテユウノチカクニイテ、テレポートヲツカッテマデココニヨンダンダシ。ミュウハメズラシイポケモンダカラ、アノママスガタヲアラワシタラサワギニナルシ」
「たしかに……」
「ミュウ!」
ミュウは鳴き声を上げると、ユウの制服の裾を捲り、ベルトについているモンスターボールを叩き始めた。
「ミュ!」
「え、今度はなに?」
「ウーム、ミュウツー……ホントウニイインダシ?」
「構わん。我も時は満ちたと思っているからな」
「ソウカダシ……」
「もう……僕だけ置いてけぼりにしないで教えてよ」
ユウが少しむくれる中、ミュウツーは静かに口を開いた。
「ユウ、我々もお前の旅に同行させてもらうぞ」