「……え? 手持ち……一匹!?」
「そうだ。手持ちポケモンを一匹に絞り、その上で勝利を収める。それが最初の試練だ」
「ノッケカラナカナカヘビーダシ。チナミニ、ソノシレンハトウゼンジムセンダシ?」
「当然だ。そうでなければ意味はないからな」
ミュウツーが腕を組みながら頷く中、ユウはナンジャモに話しかけた。
「ナンジャモさん……流石に手持ち一匹でジムを突破するのって無茶ですよね?」
「まあレベチなトレーナーやポケモンがいるならあり得るけど、最近だとネモ氏が達成したくらいだよ」
「え!? ネモ、一匹だけでナンジャモさんを倒したの!?」
「あはは……まあね。でも、ハルトはここまでの二つをラウドボーン一匹で突破してきたわけだし、タイプ相性が有利だったりとっても育成したりすれば出来ない話ではないよ?」
「それはたしかに……」
「それに、まだ話題になってないユウ氏がジムリーダー相手に手持ち一匹で無双したとなれば、画面の前の皆の者もテンアゲ間違いなしだし、僕的にはガンガン来てほしいな。まあ新人トレーナーの料理教室ってな感じでこのユウ氏のサンドイッチの腕前を配信のネタにさせてもらっても良いんだけどね」
ナンジャモが袖で口元を隠しながらクスクス笑っていると、それを見たメロコはやれやれといった様子で首を振った。
「アンタ……とことん配信の事ばっかなんだな」
「それはストリーマーだからね。さってと、今日は予定があるみたいだから、ジム戦はまた明日だね。ユウ氏、アオイ氏、そしてハルト氏。三人にも楽しんでもらえるようなジムテストを用意しておくから楽しみにしておいてね~」
「はい。あ、そうだ……」
そう言うと、ユウは手早くサンドイッチを一つ作り、それをナンジャモに手渡した。
「良かったらどうぞ。ナンジャモさんが好きそうな食材を多めに使って作ってみたので」
「おおー、ありがとうね。それじゃあお言葉に甘えて貰ってくよ」
「はい。明日のジム戦、よろしくお願いします」
「うんうん、こちらこそよろしくね~」
そう言いながらナンジャモが歩いていった後、ユウはミュウツーに視線を向けた。
「ねえ、ミュウツー?」
「……なんだ」
「ミュウツーは僕がその試練をクリア出来ると思う?」
「思うどうかではない。するのだ」
「そ、そっか……」
ミュウツーの返答にユウが少し哀しそうな顔をしていると、それを見ながらネモはクスクス笑った。
「大丈夫だよ、ユウ。そもそも試練を課してくれてる時点でそこまでは出来るだろうと思ってくれてて、期待をしてくれてるわけだから。もちろん、私もユウならやれるって信じてるよ」
「ネモ……うん、ちょっとプレッシャーは感じるけど、せいいっぱい頑張ってみるよ。いなくなる前も言ったけど、もっと強くなりたい気持ちはあるからね」
「うん! けど、一匹選ぶとしたら誰が良いんだろう……」
「相手は電気タイプでエースポケモンはこれまでの感じから考えるに電気タイプにテラスタルする事で真価というか更に力を発揮する系だよね。となると、電気タイプが弱点のタイプのポケモンなのかな……」
「まあ可能性は高いよな。あと考えられるとすれば……ふゆう持ちとかか。電気タイプは地面タイプしか弱点がねぇ。そうなれば、地面タイプの技を無効に出来るふゆう持ちを電気タイプにするっていうのは中々の試練にならねぇか?」
「なるほど……あの、メロコさん。ちょっとお願いがあるんですけど……」
ユウが少し不安そうにする中、メロコはニッと笑った。
「どうせ特訓だろ? いいぜ、こっちの用事を手伝ってもらうんだ。お互いに燃えっかすになるまでやろうぜ」
「ありがとうございます。よし……みんな、ハッコウジム突破のために頑張ろう!」
その言葉にネモ達が頷き、改めてメロコの買い出しのために準備を始める中、ミュウツーは静かにその様子を見ていた。