「もう……みんな揃って何してるの……」
およそ一時間後、バトルコートにやってきたユウはムッとしていた。その横では頬を掻きながらネモが少し恥ずかしそうにしており、頭の上に載ったシュリはユウ達を見下ろしながら口を開いた。
「トレダカハバッチリダッタシ。シュリモトチュウカラミテタケド、セイシュンゼンカイデシチョウシャモマンゾクソウダッタシ」
「私も観ていましたよ。とても微笑ましく、なんだか見ているこちらも若くなったようでした」
「校長先生まで……まあ、それは一度置いておくとして、これでジムテストは完了ですよね?」
ユウが問いかけると、ナンジャモは満面の笑みで頷いた。
「うんっ! シュリ氏が言ってたように撮れ高はバッチリだったし、ちゃんと番組自体も成功してたしね。さあ、誰からバトっちゃう?」
「それなら……ユウからが良いんじゃないかな?」
「うん、私も賛成。ユウ君が一番気合いが入ってるはずだし、私達も観てみたいかな」
「二人とも……うん、わかった」
「それじゃあまずはユウ氏とコラボっちゃおうか。ルールは手持ちが二匹ずつのシングルバトル、どちらかが先に全て戦闘不能になった時点で試合終了なんだけど、ユウ氏はたしか一匹での挑戦なんだよね?」
「はい。そのためにシュリと今回出すポケモン以外はボックスに預けましたから。不安はありますけど、試練を乗り越えるために頑張ります!」
ユウがやる気に満ちた様子で言っていると、その姿を見たナンジャモは八重歯を光らせながら笑った。
「いいね! それじゃあ早速始めていこう! 配信、スタート!」
ナンジャモは声を上げると同時に配信をスタートさせた。
「おはこんハロチャオ~! 皆の者、ドンナモンジャTVの時っ間っだぞ~!」
『ジムバトルの時間だー!』
『この挑戦者は一匹での挑戦って概要欄に書いてたけど中々強気だな』
『ルールは把握したよ、ナンジャモちゃーん!』
『¥5000』
『どっちも頑張れー!』
「あははっ、皆の者も楽しそうだね~! あ、エレキン氏。また投げ銭ありがとー。さあ始めるよ、ユウ氏! お互いにビリビリ痺れるバトルにしよう!」
その言葉に対してユウが頷いた後、二人はモンスターボールを投げ上げた。
「行っくよー、ハラバリー!」
「全力で行くよ、ホムラ!」
「ラバリ!」
「グルォ!」
ナンジャモのボールからハラバリーが、そしてユウのボールからホムラが現れると、ホムラの姿にナンジャモは目を輝かせた。
「おー! リザードじゃん! それも、色違いだ!」
「僕の最初のポケモンであり、今回の秘策です!」
「ソコニシュリノソノズノウモクワワルシ。ソウカンタンニハマケナイシ!」
「いいねいいね! そのやる気、見てて気持ちが良いよ! さあ、かかってこーい!」
「はい! ホムラ、まずはにほんばれ!」
「グルウォ!」
指示に従ってホムラが両手を掲げると、日差しは強くなった。
「にほんばれ……って事は、特性はサンパワーっぽいね。ハラバリー、まずはじゅうでん!」
「バリ!」
ハラバリーが電気を纏い始めると、その様子にシュリはヒレを組んだ。
「じゅうでん……トクシュボウギョモアゲルシ、ツギニツカウデンキワザノイリョクヲアゲルワザダシ」
「それじゃあ相手の攻撃には気を付けないとだね。ホムラ、距離を取りながら行くよ! きあいだま!」
「グルォ!」
ホムラがきあいだまを放つと、ナンジャモはニヤリと笑った。
「良いきあいだまだけど、せっかくだからもっと映えさせようか! ハラバリー、スパーク!」
「ラバリ!」
ハラバリーが体に電気を纏いながらきあいだまに突進すると、きあいだまは大きく弾け、まるで小さな花火がいくつも上がったかのようになった。
「わざわざスパークで相殺を……?」
「綺麗でしょ? 他にも狙いはあるけど、僕はストリーマーだからね。やっぱり魅せるバトルにしたいんだ。そのためにホウエン地方やシンオウ地方のコンテストバトルの動画をたっくさん観たんだ。さあ、もっと見せてあげるよ、表現者ならではのバトルを!」
ユウ達が警戒する中、ナンジャモは上着の袖で口元を隠しながら愉快そうに笑った。