「あー……なるほど、それは悪い事をしたな」
ペパーが歩いてきた方向にあった洞窟の中、ペパーは申し訳なさそうな顔で頭をかく。その視線の先には警戒した様子で穴の中から少しだけ顔を覗かせるミミズズがおり、その姿を見ていたユウは苦笑いを浮かべた。
「いや、仕方ないよ。ペパー先輩がこっちに来るなんて予想してなかったし、ペパー先輩だってミミズズを怖がらせたり追いかけたりするつもりはなかったんだから」
「そりゃあな。スパイスだけ欲しかったわけだし、必要以上に傷つける気はねぇよ。まあヌシ達には悪い事をしたと思ってるけども……」
「ヌシタチカラスレバペパータチハシンリャクシャダシ。ソシテ、ソノアトニキテヤサシサヲミセルシュリタチモペパーノナカマダトワカラレタジテンデアヤシイヤツラダシ。コレハココロヲヒライテモラウノニジカンガカカルシ」
「そうだね……それで、この洞窟は?」
「ここはスパイスがあったとこだよ。奥にスパイスがあるんだが……ミミズズは持っていかせたくないだろうしな」
ペパーが再びミミズズに視線を向けると、ミミズズは目の奥で怒りの炎を燃やしながら睨み付けた。
「ミズ……!」
「ミミズズハオイカリダシ。トリアエズデモハナシハキイテモラエナサソウダシ」
「それなら仕方ないよ。僕達は宝探しのために冒険してるのであって、スパイスを求めてるのはペパー先輩だから。それに、ペパー先輩も……あ、そういえばマフィティフのためにスパイスを集めてるんだよね? 三つ目のスパイスを食べた後はどうだった?」
「また少し元気になったぜ。まあ、さっきボールから出したから、疲れさせないためにすぐには出せないけどさ。でも、吠えるくらいには回復したんだぜ……!」
目を輝かせながら言うペパーの姿にネモはクスリと笑った。
「本当に嬉しいんだね。でもまあ、その気持ちはわかるなぁ……私だってニャローテ達が元気を無くしたり怪我をしたりしたら心配だもん」
「僕もシュリやホムラがそうなったら……」
「ソノトキハキッチリカンビョウシテモラウシ。秘伝スパイスモリモリノオカユヲナベイッパイデショモウスルシ」
「もう、シュリってば……そうやってスパイスを独り占めするような事をしちゃダメだよ?」
「ヌシタチガコレマデヤッテキタコトヲスルダケダシ。ケド、ヒトリジメシテモオイシクナイカラヤメトクシ」
「それならよし。さて、それじゃあそろそろ行こうか。ミミズズの手当ても終わったし、スパイスも放っておく事にしたしね」
そう言いながらユウがリュックを持ち上げようとしたその時、ミミズズは穴から体を出し、ユウの制服の袖を腕で引っ張った。
「ミズ……」
「ん、どうしたの?」
「ミズミズ、ミズズ」
「スパイスハヤッテモイイ。ケド、ジョウケンガアル」
「条件?」
その問いかけにミミズズはユウに背負われているミカヅチを見ながら答えた。
「ミズミズミズ。ミズズ」
「ソノポケモントイッショニワタシニカテ。ソレガジョウケンダ」