「はあ……なんとか勝ててよかったぁ」
決着から数分後、ペパーと一緒に調理をしていたユウが呟くと、頭の上からシュリが話しかけた。
「なみのりサクセンデキセキテキニみずびたしミタイニナッタノガショウインダシ。ジャナイト、フルパワーノかみなりデモサスガニチカラブソクダッタシ」
「みずびたし……ああ、相手を水タイプにするっていうあれか。というか……ユウ、重くないのか? それ」
ペパーは不思議そうな顔をする。その視線の先にいるユウの背中にはニコニコ笑うピカチュウとミュウが捕まっていた。
「まあミカヅチが進化した分があるから重いけど、このくらいへっちゃらだよ。ようやく進化してくれた嬉しさがあるからね」
「シンカサセルキッカケモナカナカナカッタカラヨロコビモヒトシオダシ」
「まあそうだよな……よし、出来た。そっちはどうだ?」
「うん、こっちも大丈夫だよ。さて、並べようか」
「ああ」
ペパーが頷いた後、ユウ達は作った料理を並べ始めた。並べ終わり、ユウ達が自分達のポケモンを出し始めると、ペパーは他のポケモンを出す中である一つのモンスターボールを大事そうに握った。
「……出てこい、マフィティフ」
その声と同時にボールからは黒い大型犬のようなポケモンが現れ、ペパーはテーブルの上からサンドイッチを一つ手に取り、それを小さく割ってからマフィティフに渡した。
「ほら、マフィティフ。ゆっくり食えよ」
「バフ……」
渡されたサンドイッチをマフィティフがゆっくり食べ、その様子をペパーが優しい目をしながら見ていると、ユウは心配そうに声をかけた。
「マフィティフ、大丈夫そう?」
「ああ、さっきよりも具合が良さそうだ。それにしても、ユウって本当に料理する時は違って見えるよな。家庭科の授業の時も思ってたが、普段やバトル中と違って料理中の雰囲気や立ち姿は自信満々ちゃんだしさ」
「ネモ達からもそれは言われたよ。料理してる時は雰囲気とかが変わるって。自分では気付いてないんだけどね」
「まあ良いんじゃねぇか? 自信無さげに料理される方が見てる方も不安になるしな。そういえば、結局スパイスはどうするんだ?」
「スパイス……ミミズズ、本当に貰って良いの?」
ユウが問いかけると、サンドイッチを食べていたミミズズは頷いた。
「ミズ。ミズ、ミズミズミズーズ」
「イイ。ケド、ジブンモツレテッテホシイ、トイッテルシ」
「ミミズズも……うん、もちろんだよ。よろしくね、ミミズズ」
「ミズ!」
ミミズズが嬉しそうに返事をしていると、シュリは軽く首を傾げながらユウに話しかけた。
「ソレデ、ニックネームハドウスルシ? ミュウノモマダダシ?」
「そうだね……因みにミミズズはメス?」
「メスダシ」
「それじゃあ……ミミズズは名前の前の方をそのまま使ってミミ、ミュウは分類のしんしゅポケモンから取ってシンにしようかな。僕の名前と合わせるとシンユウになるし、ミュウともそれくらい仲良くなりたいからね」
「良いと思うよ。私もそうなりたいしね」
「ふふ、だよね。という事で改めてよろしくね、ミミ、シン」
その言葉にミミとシンは嬉しそうに頷き、ユウも安心したように微笑んだ。そして、洞窟内にユウ達の賑やかな声が響く中、その様子を入り口からミュウツーが覗いていた。
「新たな仲間を得たか。そして、やはりその名前を……だが、その名前の真実はまだ話せぬな」
そう言った後、ミュウツーはその場から静かに姿を消した。