家庭科室に到着すると、中から授業を終えた生徒達が出てきており、それが終わってから中へ入ると、そこにはサワロと話をするペパーとボタンの姿があった。
「あ、ペパー先輩にボタンさん」
「ん? おっ、お前達か! お疲れちゃんだぜ」
「お、おつー……」
「ペパーハマダシモボタンヲカテイカシツデミカケルノハメズラシイシ。カテイカニキョウミガデタノカシ?」
「興味というか……少しは必要かなと思ったん。ユウから貰ったサンドイッチは美味しかったし、ウチのブイブイ達もこれまで見たことのない顔で喜んでたからレトルト食品や冷凍食品以外も食べさせてあげたいと思って……そしたらコイツと、ペパーと同じ班になったん」
「ユウ達の知り合いって言ってたし、ポケモンに良い物を食べさせたいっていう気持ちは本当みたいだったからな。それで、今日の授業についてボタンと一緒に質問してたんだが……お前達とキハダ先生はどうしてここに?」
その質問に対してユウはグラウンドでの出来事を話した。
「……っていう事なんだ」
「キハダ先生が料理についての質問を……まあそれならユウは適任だな」
「私も同感だな。それでキハダ先生、その質問というのは?」
「はい……実はどうすれば料理を上手く作れるのか聞きたかったんです」
「料理を上手く……料理自体はどの程度作れるんですか?」
「人並みには作れると思うんだが……では、ちょっと作らせてもらおうか。サワロ先生、良いですか?」
その問いかけに対してサワロが頷くと、キハダは一礼をしてから調理に取りかかった。そしてキハダはユウ達が見守る中で調理をしていたが、その光景を見たシュリは顔をしかめた。
「……コレ、リョウリダシ? アバレマワッテルヨウニシカミエナイシ……」
「うむ……」
「ま、まあ……あくまでも経過は経過で、大切なのは結果だから」
そう言うユウの表情も少し不安そうであり、ネモやペパー達も苦笑いを浮かべたり諦めたりしたような顔をしていた。そして数分後、テーブルの上にはサンドイッチが一つ置かれたが、それは肉ばかりが挟まれたボリュームだけが目立つサンドイッチだった。
「出来たぞ!」
「う……これは見た目のインパクトがヤバイな」
「誰でも体が資本だからな! たんぱく質が多くなるようにしてみたぞ!」
「いや、それでもこれは偏りすぎだし……肉だけで腹一杯になるってこれは」
「あはは……それはたしかに……」
「ユウ君とサワロ先生はど……ユウ君?」
アオイが首を傾げながら見る先ではユウがにこにこと笑っていた。しかし、目はまったく笑っておらず、その冷たくそして穏やかさが欠片も感じられない雰囲気にユウ以外の全員が戦慄した。
「ユ、ユウ……?」
「ユウ、その……」
「キハダ先生。相手が先生なのはわかってますけど、ちょっとだけお説教しますね」
その後、家庭科室内ではユウの静かな説教が始まり、漏れ出す圧に通りかかった生徒達は震え上がっていた。