「料理……」
「それならユウの得意分野だね。これは結構楽なんじゃ……!」
「……ううん、たぶんそう上手くはいかないよ」
「え?」
ネモが不思議そうな顔をすると、ユウはハイダイに視線を向けた。
「ハイダイさん、料理のテーマ、それと食べさせる相手を教えてもらえますか?」
「テーマは自由、食べさせる相手は……オイラが選んだ審査員だい!」
「やっぱりそうなりますよね……」
ユウの反応を見たネモはわけがわからないといった様子で首を傾げる。
「ユウ、一体どうしたの?」
「……テーマは自由、つまり何を作るかは僕が決めないといけない。でも、食べさせる相手はハイダイさんが選んだ人。シュリ、たぶん君ならこの難しさがわかるよね?」
「……アイテノコノミ、タベラレナイモノガワカラナイノニメニューヲキメナイトイケナイ。ソウイウコトダシ?」
「うん……作る側にとって何でもいいっていうのは結構困る言葉だし、食べる人の情報もないとなれば作る側はもっと困る。その中で考えないといけないから、このジムテストは本当に難しいよ……」
「タシカニダシ……ハイダイ、ドウシテコンナジムテストニシタンダシ?」
ハイダイは難しい顔をするユウを見ながらニヤリと笑う。
「ユウの手を見てこれにしようと思ったんだい」
「手?」
「ユウの手は一見すると綺麗だ。恐らく、ハンドクリームなんかでしっかりと手入れをしてるんだろう。けれど、よく見ると包丁などを使っている事で出来た手のマメや水仕事を続けてきた証拠の微妙な手荒れが見受けられる。そこからユウはよく料理をするタイプだと思ったんだが……どうだい?」
「……はい。料理は僕の趣味ですし、一緒に旅をしてるネモやシュリ達、時にはハルト君やアオイちゃんにも食べてもらったりしています」
「そうだと思ったんだい。まあたとえ趣味の領域だったとしてもその腕はお目にかかりたいものなんだい」
ハイダイがニッと笑い、ユウが軽く俯いていると、シュリはハイダイをジロリと見た。
「ソレデ、ジムテストハイツゴロヤルンダシ? マサカイマカラヤルトカダシ?」
「いいや、作る物を考える時間も欲しいだろうからジムテストは明日行おう。チナミニ、作るのはユウだが、ポケモン達の知識や力を借りるのはもちろん構わないんだい。むしろそれが見世物みたいになって面白くなりそうだしなぁ!」
「ダッタラユウトシュリタチノチカラヲケッシュウシテハイダイニオイシイリョウリトハイボクヲアジアワセテヤルシ! ユウ、ヤッテヤルシ!」
「あ、うん……」
ユウが答えるとハイダイは笑みを浮かべた。
「決まりなんだい。それじゃあまた明日、楽しみにしているぞ、ユウ」
「はい……」
そしてユウ達が見つめる中をハイダイは大きな身体を揺らしながら歩いていった。