夜、テントの中でユウが腕を組みながら難しい顔をしていると、それを見たクロスが声をかけた。
「ユウ、明日のジムテストの件でまだ悩んでるのか? まあ何を作ったら良いのかわからないし、悩むのも仕方ないか」
「それも悩んでるけど、悩んでる事は他にもあるんだ」
「他にも? 何かあったかな……」
ハルトが顎に手を当てていると、シュリはユウの頭の上からユウに話しかけた。
「ドウシテハイダイガコノジムテストニシタノカ、ダシ?」
「ジムテストの理由? ユウが料理得意だからその味を確かめたいとかそういうんじゃないのか?」
「タブンソレダケジャナイシ。ユウハドウカンガエテルシ?」
「……料理とポケモンバトルが似ているから……かなと思うんだ」
「料理とポケモンバトルが似てる? どういうところがだ?」
「似ているところ……たしかにパッとは思いつかないね。ユウ、説明をお願いしても良いかな?」
ハルトの言葉に対してユウは頷く。
「今回、食べさせる相手はわからないから作る料理のアイデアに困ってる。そこまでは良いよね?」
「そうだな。作るのはユウだけど、本当に大変そうだよな」
「でも、それはポケモンバトルも同じなんだよ。食べさせる相手は対戦相手、手持ちポケモンが食材でパーティは料理そのもの。そんな感じに思えるんだ?」
「はあー、なるほど。食べさせる相手がわかんないのは対戦相手が常にわかんないのと同じってわけか。俺には中々難しい話だけど、アカマツならわかってくれるかもな」
「アカマツ?」
「ダレダシ?」
「ブルーベリー学園の生徒で、ブルベリーグの四天王だよ。同じ一年生だからっていうのもあるけど、結構気が合う奴なんだ」
そう言うクロスの表情は穏やかであり、それを見たユウとハルトは共に微笑んだ。
「本当に良い友達なんだね。僕達もいつか会ってみたいなぁ……」
「ああ、是非会ってみてくれ。特にユウとは気が合うだろうしな」
「うん、そんな気がする。さて、結局何を作ろうかな……」
「ユウの言葉通りならこれは料理という名のポケモンバトルだからね……いつもとは勝手が違うし、本当に難しいだろうね」
ハルトが考え込み、クロスも同様に顎に手を当てていたその時、ユウは何かを思いついたような表情を浮かべた。
「……そうか、別に悩む必要なんて無かったんだ」
「え?」
「どういう事だ?」
「変に奇をてらう必要もなくて自分達の全力を出すしかないって気づいたんだよ。だから、メニューもこれしかないっていうのが決まったよ」
「ヘエ? チナミニ、ソレハナンナンダシ?」
シュリからの問いかけに対してユウはニコリと笑いながら答えた。
「基本的なもの。それが今回作る物だよ」