圧倒的な強さを見せるユウ達に歓声が上がる中、バトルを観ていたネモは難しい顔をした。
「あのウネルミナモってポケモン、本当に強いね。バトルしてみたい気持ちはあるけど、今のユウとはバトルしたくないかな……」
「いつもみたいに楽しそうにバトルをしていないからね。あのポケモンの強さにただ酔っているだけというか、それ頼みにしてるだけって感じだから、戦術面もシュリしか意識してないし、そのシュリだってユウの様子が気になっているようだね」
「ユウ君、本当にどうしちゃったんだろう……」
「そういえば、セルクルタウンに到着する前も様子がおかしい時がありましたね。あの時は雰囲気が少しカッコいいかなと思いましたけど、今はただ怖いだけですね……」
「あのポケモン、なんか危険な奴じゃないよな……?」
「それもわからないし、これが終わったらちゃんと話を……」
その時、ネモの肩が静かに叩かれた。そして叩いた人物の姿にネモ達が驚く中、ハイダイはぺリッパーをボールにしまい、困ったような顔をした。
「うーむ、そうか……ここまで圧倒されるのは久しぶりだな。だが、ジムリーダーである以上、最後まで諦めずに行くんだい。因みに、ポケモンの交代は良いか?」
「……このままでも良いですけど、もう一匹の仲間にも出番をあげたいので交代します。戻って、ウネルミナモ」
淡々と言いながらウネルミナモをボールに戻すと、ユウはテツノイサハが入ったボールを手にしながらシュリに話しかけた。
「シュリ、テツノイサハの技は?」
「…………」
「シュリ?」
「……ナンデモナイシ。ワザハ……」
シュリから技を聞くと、ユウは無表情でボールを投げ上げた。
「行ってきて、テツノイサハ」
「コロロ!」
そして現れたテツノイサハの姿に観客がざわめく中、ハイダイは腕を組みながら驚いた様子を見せた。
「また見た事がないポケモンなんだい……だが、だからといって恐れる気はないんだい! さあ、行くぞ! ケケンカニ!」
ハイダイはモンスターボールからケケンカニを繰り出すと、それと同時にテラスタルオーブを取り出した。
「最後の一匹だ、盛大に大変身するんだい! さあさ、お立ち会い! 水もしたたる良いポケモン、その味をご賞味あれなんだい!」
「…………」
そしてハイダイがテラスタルオーブを投げ上げ、ケケンカニが水タイプにテラスタルする中、ユウは焦る事なく口を開いた。
「テツノイサハ、エレキフィールド」
「コロロ!」
テツノイサハが雄叫びを上げると、辺りに電気が走り、テツノイサハが黄色いオーラを纏う中でその様子にハイダイは辺りを見回し始めた。
「これは……だいぶ厄介そうだな」
「たぶん厄介じゃすみませんよ。テツノイサハ、くさわけ」
「コロロ!」
テツノイサハは軽快な足取りで動くと、そのままケケンカニに向かっていった。
「くさわけか……だが、受け止めれば良いんだい! ケケンカニ、力比べだ! クラブハンマー!」
「ガニ!」
ケケンカニはハサミを光らせると、テツノイサハのくさわけを受け止めたが、ユウは何も反応する事なく指示を出した。
「テツノイサハ、サイコブレイドで終わらせて」
「コロロ!」
テツノイサハは返事をすると、首から赤い剣を突きだし、その剣は勢い良くケケンカニへと突き刺さった。
「ガニ!?」
「ケケンカニ!」
サイコブレイドが直撃したケケンカニはよろめき、それを見たユウは邪悪な笑みを浮かべた。
「これでとどめだ! テツノイサハ、せいなるつるぎ!」
「コロロォ!」
テツノイサハは雄々しく鳴き声を上げると、首元から光り輝く剣を出現させ、ケケンカニを勢い良く切りつけた。
「ガニ……!」
傷ついたケケンカニはその場に倒れ、テラスタルが解除されてハイダイが悔しそうな顔をする中、ユウは勝ち誇った笑みを浮かべ、審判は信じられないといった様子で旗を掲げた。
「け、ケケンカニ戦闘不能。テツノイサハ……の勝ち。よって勝者……チャレンジャー、ユウ……」