ユウの勝利が決まり、バトルフィールドが静まり返る中、ユウは何も言わずにテツノイサハをボールにしまった。
「……勝った。うん、勝ったんだ」
表情を柔らかくしたユウだったが、その目に光はなく、どこか物足りなさを感じさせる表情をしていた。
「……ユウ」
「なに? シュリ」
「ヒトツイッテオクコトガアルシ」
「言っておく事?」
「ソウダシ。ユウ、ウネルミナモタチハ……」
「勝利おめでとうございます、チャレンジャーユウ」
その言葉を聞いてユウやハイダイが視線を向けると、そこには拍手を送りながら歩いてくるオモダカの姿があった。
「お、オモダカさん……!?」
「おお、オモダカ嬢! これは格好の悪いところを見せてしまったんだい!」
「いえ、ジムリーダーとして素晴らしかったですよ。もっとも、私が視察に来た際に手心は加えませんが」
「はっはっは、当然なんだい。さて、バトルに勝った証としてバッジを渡すんだい。ユウ、そのポケモン達とこれからも一緒に頑張るんだぞ」
「はい、もちろんです」
答えながらユウがバッジを受け取っていると、シュリはオモダカを見上げた。
「オモダカ、チョウドヨカッタシ。ユウノコト、グタイテキニハアタラシイナカマノコトデハナシガアルシ」
「ふふっ、奇遇ですね。私もですよ。チャレンジャーユウ、貴方の先程のバトルでの勝利は見事ではありました。しかし、少々貴方らしさが欠けていたようにも感じました」
「僕らしさ……」
「はい。以前、アカデミーで見せて頂いた時のバトルはポケモン達との絆が強く感じられ、これはパルデアの未来も明るいと感じる物でした」
「…………」
「しかし、先程のバトルはトレーナー同士の対話というよりはただ力で捩じ伏せようとする一方的な物に感じました。故に、見事だったのは勝利をした事のみであり、内容その物についてはお粗末と言わざるを得ないでしょう。たとえ負けそうになったとしても最後まで諦めずに頑張る貴方の姿の方が私もチャンピオンネモ達も好ましいと思っていますよ」
それを聞いたユウがネモ達に視線を向けると、ネモは哀しそうに頷き、ハルトやアオイも表情を暗くしながら俯いた。
「そんな……どうして、勝ったのにどうして……!」
「これが貴方の大切な方々の感じた物だからですよ。さて、そんな貴方に面目躍如のチャンスを与えましょう」
「面目躍如の……」
「チャンス、ダシ?」
オモダカは微笑み、静かに口を開いた。
「チャレンジャーユウ、私とポケモンバトルをしましょう」