「では、こちらのポケモン達はお預かりしていきますね」
「……はい」
ウネルミナモとテツノイサハが入ったボールを渡しながらユウは暗い表情で答えた。そしてボールを一つ取り出すと、それを見つめながら呟いた。
「シュリ……」
「シュリ、ユウとは一緒に戦えないし、今は頭の上よりもモンスターボールの中の方が居心地が良いって言って中に籠っちゃったからね。シュリ、今回の件でかなり怒ってるようだからしばらく出てこなそうだね」
「出てきたとしても話してくれなそうだよね。大好きなサンドイッチでも機嫌は直らないだろうから、ユウは当面は手持ちポケモン五匹でしかバトルが……」
「ううん、もうバトルはしないよ」
「え?」
ネモが驚き、ハルトやアオイの視線が集中する中、ユウは哀しそうな顔をした。
「今回のバトルで実感したんだ。僕は強さを、具体的には力を求めちゃダメなんだって。元々はライバルであるネモやハルト君、ついてきてくれるみんなのために強くなろうとしたけど、結果的に僕は力に溺れてウネルミナモ達を傷つけただけに終わった上にシュリの事を失望させてしまった。だから、僕はもうバトルをしない方がいい。ここからまた頑張れば良いと言われるかもしれないけど、僕自身がもう頑張れる気がしないし、また力や強さを間違った形で求めてしまうのが怖いんだ」
「そんな……」
「アカデミーまで辞めるとは言わないよね?」
「うん、辞めないよ。バトル学の授業にもちゃんと出るけど、キハダ先生には予め言ってバトルの時だけは見学させてもらおうと思う。それに、ポケモンとのふれ合い方はバトルだけじゃないし、料理は好きだからそっち方面に進路を決めてこれから勉強していこうかな」
「それじゃあジム巡りは? まだ半分まで来たばかりだよ?」
ユウは首を横に振った。
「僕のジム巡りはここまで。バトルをしない以上、ジムへの挑戦も出来ないし、ハイダイさんに勝ったのだって本当は無しにするべきだと思う。冷静になって思い返すと、本当に酷いものだったから」
「オイラは別にそう思わなかったが、ユウ本人からすればやはりそう思うんだなぁ。まあバッジはそのまま持っていてくれて構わないんだい。買ったのは間違いないんだからな」
「……わかりました。それと……ネモ、ハルト君、ライバルがこんな体たらくで本当にごめんね。ライバルにはなったけど、もう一緒にバトルは出来ないよ」
「ユウ……」
ネモが哀しそうな顔をし、ハルトが唇を噛む中、ユウは哀しげに微笑んだ。そして何かを言おうと口を開いたその時、ユウのスマホロトムが着信を報せた。