夜、ネモは室内を見回しながら嬉しそうに笑った。
「よし、それじゃあ夜の女子会を始めてこー!」
「おー!」
「あの……女子会というのは初めてなのですが、具体的には何をするんですか?」
ライラが不安そうにしていると、ネモは笑みを浮かべながら答える。
「女の子が集まってお菓子や飲み物を味わいながらお話を楽しめばそれが女子会だよ。まあ私も女子会らしい女子会なんてした事ないけど、アオイと一緒にテントで泊まってる時も同じ事してるもんね」
「うん。でも、なんだか不思議かも。ライラさんって親しみやすさあって友達も多そうだから、てっきり女子会はやってそうなのに」
「そんな事はありませんよ。ブルーベリー学園はバトルに特化した学園だからかバトルの強さに重きを置く人が多くて、バトルの弱い私は異性どころか同性からも声をかけられる事はほとんどありません。強いて言えば、同じくバトルの腕のせいでバカにされがちなクロスさんやブルベリーグ四天王のタロさんぐらいしかお話をする機会もありませんね」
「え、タロ!? そのタロってイッシュ地方のホドモエジムのヤーコンさんがお父様だったりする!?」
「そうですが……お知り合いだったんですね」
「うん。前にパーティーで一緒になって、その時にヤーコンさんにバトルを申し込んだんだ。あ、そういえば……ライラさんの事をパーティーとかでまったく見かけなかったから知らなかったけど、もしかしてそういうのって苦手な方?」
ライラは微笑みながら頷いた。
「はい。今後のために必要なのはわかっているんですが、あの空気や他の参加者からの品定めされるような視線はあまり好きではなくて……」
「まあそれなら仕方ないよ。さて、と……そろそろ参加してもらおうかな。出てきて、シュリ」
ネモはシュリが入っているモンスターボールを手に取ると、そのスイッチを押した。そして出てきた瞬間、シュリは怒号を上げた。
「アンノバカユウガー! ダシー!」
「わっ……」
「あはは、だいぶご立腹だね」
「トーゼンダシ! ジムバトルヤオモダカトノバトルノコトハショウジキモウドウダッテイイシ! ケド、シュリヤネモニタイシテキヅカッタリデキルノニジブンノコトハホウチナウエニバトルハモウシナイナンテイウンダカラソレハオコルニキマッテルシ! ショボクレタカオシテルヒマアッタラチカラヘノアコガレニノマレナイヨウニココロモカラダモキタエレバイインダシ! ナノニユウハ……アア、モウ!」
「でも、そこがユウの良いところであり、心配なところでもあるんだよね。自分よりも他人の事を考える事が出来て、その優しさで相手を包み込めるけど、純粋過ぎたり真面目過ぎたりして自分を追い詰めていっちゃう。それがユウなんだってわかってもちょっとね」
ネモが頬をかきながら言うと、ライラは上品な笑みを浮かべた。
「ネモさんは本当にユウさんが大好きなんですね」
「え? あ、うん……でも、それはみんなだって一緒でしょ?」
「まあね。だからこそ、ユウ君にはまた楽しくバトルをしてほしいし、シュリと仲良くしてもらいたい」
「私はまだご一緒して日が浅いですが、それでもユウさんが良い方なのはわかります。なので、私もお手伝いします」
「モウバトルヲシナイナンテミトメナイシ。リョウリノミチニススムノハダイカンゲイダケド、バトルヒトツデキナイリョウリニンハイロイロトアブナイシ。バトルフッキノタメニケツブッタタイテヤルンダシ!」
「よし……それじゃあユウのために頑張ろう! もちろん、ハルトやクロスとも連携して!」
ネモの言葉に頷いた後、四人は夜遅くまでユウの事について話し合いを続けた。