「え?」
「ミカヅチの声って……」
「私達にはいつも通りの鳴き声にしか聞こえなかったけど……」
「え、でも……今、ミカヅチがシンに何かされたのかって……」
『さっきおでこをごっつんこしたのが原因じゃない? シン、どうなの?』
ミカヅチが首を傾げると、シンはクスクス笑った。
『だーいせいかーい。さっき、ユウとおでこをくっつけた時にサイコパワーを使ってユウの事を覚醒させてユウがボク達の声を聞き取れるようにしたり気持ちを感じ取れたり出来るようにしたんだ。でも、誰でも出来るわけじゃないし、ユウだってそれがいつだって出来るわけじゃないよ』
「そうなの?」
『うん。ユウ、とりあえずネモにミカヅチを渡してちょうだいな』
「え? うん、わかった……ネモ、ちょっとミカヅチの事を抱き上げてくれる?」
「うん。ミカヅチ、ちょっとごめんね」
ネモがミカヅチをユウから離すと、ミカヅチは目を潤ませながら悲しそうな声を上げた。
「ピカァ……ピカ、ピカチャア……」
「あれ……また鳴き声しか聞こえなくなった。ただ、悲しそうにしてるのだけはハッキリわかるとわかるなぁ……」
「ミカヅチ、ピチューの頃からユウにベッタリだからね。でも、どうして聞こえなくなったんだろ……?」
『声に関してはユウがボク達に触れてないと意味ないし、気持ちに関してはユウが感じ取ろうと集中してたりもっと強い感情じゃないとまだ感じ取れなさそうだからねぇ~。とりあえずミカヅチがそろそろボロ泣きしそうだから背中貸してあげようっかなぁ~。ネモに一回離れるからミカヅチを背中に張り付かせてあげてって伝えてもらって良い? ユウ』
「あ、うん」
ユウは返事をすると、それをネモに伝えた。そしてネモが頷いてからミカヅチをユウの背中に近づけると、ミカヅチはユウにおぶさりながら甘えた声を出した。
『えへへ、ユウだぁ……』
「か、可愛い……ユウ、そのピカチュウさ撫でても良い?」
「うん。でも、ほっぺたとかしっぽは触られるのがあまり好きじゃないみたいだから、毛並みの向きに沿って背中を優しく撫でてあげてね」
「う、うん……!」
スグリが嬉しそうに答え、ユウに甘えるミカヅチを撫でていると、それを見ながらゼイユはため息をついた。
「はあ……もうすっかりピカチュウにメロメロじゃない。まあスグは友達少ないし、ポケモンきっかけで友達増えたらあたしとしても助かるわね」
「俺やライラ、リーグ部の四天王やチャンピオンくらいしか話しかけないもんなぁ……」
「その上、そういった方々から目をかけられているという状況が他のリーグ部の方からすれば面白くないようですし、中々うまくはいきませんね」
「そんな事になってるんだ……」
ユウがスグリを心配そうに見る中、シンはため息をついた。
『人間っていっつもめんどくさい事で悩んだり争ったりしてるよね。他の伝説達ともたまに話してたよ。人間達って変わってるよねぇって』
「そんな事話してるんだ……というか、なんで君達の声が聞こえたり気持ちを感じ取れたりするようにしたの? 最初のと今のはテレパシーだろうけど……」
『ん? 面白そうだったからだよ。今はシュリいないからコミュニケーションに困るだろうし助かったでしょ?』
「それはそうだろうけど……どうして僕だけが出来るの? やっぱりシンも何か知ってるの?」
『知ってるけどぉ……それはまた今度。今はユウの事について話してあげなよ。ほら、ハリーハリー!』
「あ、うん……」
少し納得出来ていないような顔をしながらもユウはふうと息をつくと、カラフシティでの出来事についてゼイユ達に話し始めた。