「ど、どういう事……? シン……はボールの中にいるから違うし、メタモンとか?」
「キタカミにもいるのかな……? でも、どうして私達の姿に?」
ユウとネモが困惑する中、じんべえ姿のネモはユウに近づくと、ユウに顔を近づけた。
「な、なに……?」
ユウが警戒しながらも顔を赤くしていると、じんべえ姿のネモはユウの鼻先をペロッと舐めた。
「わっ……!?」
「ちょっ……!?」
ユウとネモが驚いていると、じんべえ姿のネモは愉快そうにクスクス笑い、じんべえ姿のユウはネモのじんべえの裾を摘まみながら不安そうな顔で寝間着姿のネモを上目遣いで見始めた。
「なんというか……そっちの私はいたずらっ子な感じで、そっちのユウは弱気そうな感じだね。でも、正体までは……ん、あれ?」
「どうしたの?」
「そっちのユウのお尻のところ、何か出てない?」
ネモが指さした先にはふさふさとした白い尻尾のような物が出ており、それに気づいたじんべえ姿のユウはハッとして尻尾を押さえ、じんべえ姿のネモは残念そうにため息をついた。そして、二人の姿が軽く揺らぐと、そこにはユウとネモの姿はなく、足が赤い黒い子狐のような姿のポケモンと水色の毛並みをした白い子狐のような姿のポケモンの二匹が立っていた。
「キューン!」
「キュー……」
「これって……ゾロア? でも、もう一匹って……」
「ゾロア……みたいだけど、この姿って何だろ? ユウ、そっちの白い子と会話出来そう?」
「あ、うん。やってみるね」
ユウは白いゾロアに近づくと、その体に降れながら声をかけた。
「君もゾロアなの? どうしてここにいるの?」
『ぼ、僕もゾロアだけど……この子とはちょっと違うゾロアみたいなの。お母さんと一緒にいたと思ったらいつの間にか知らないところにいて、お母さんがいない怖さで泣いてたらこの子が話しかけてくれたの』
「そうなんだね。それで、どうしてここにいるの?」
『お話をしたら僕の故郷を一緒に探してくれるって言うから鳥ポケモンさんに乗せてもらってまずはここに来てみたの。それで、この子が夜のお散歩がしたいって言うからここら辺まで来てみたら貴方達を見つけてこの子が驚かしてみたいって言い始めたの』
「それで僕達に化けて近づいてきた、と……」
『うん……』
ゾロアがシュンとしていると、それを見ていたネモはクスクス笑い始めた。
「ふふ……なんだかその子、ユウみたいだね」
「え、そう?」
「自信なさげな感じもそうだけど、優しい雰囲気や穏和そうなところがユウっぽいかも。まあそうなるとこっちの子が私ってなるけど……」
「いたずらっ子なイメージはネモにはないかなぁ。まあそれは良いとして……ねえ、君達。良かったら故郷探しを手伝わせてくれない?」
『え、良いの?』
「うん。僕達、アカデミーの生徒だから色々な人に話を聞く機会があるんだ。だから、力になれると思うよ。ネモも良いかな?」
「うん、もちろん! 困ってるなら放っておけないよ!」
ネモの言葉を聞くと、ゾロア達は顔を見合わせた。そして頷き合うと、白いゾロアは頭を下げた。
『それじゃあ……よろしく、二人とも』
「うん、任せて。さて、そうなるとどっちがどっちをゲットする?」
「うーん……じゃあ私がそっちの白い子にしても良い? 未知数な部分もある分、面白そうだし!」
「じゃあ僕は黒い子だね。という事で、二人ともこれからよろしくね」
ユウの言葉にゾロア達が頷いた後、二人はそれぞれのゾロアにモンスターボールをぶつけた。そして二匹がボールに入ると、ネモは嬉しそうにボールを撫でた。
「これからよろしくね。さてと、そろそろ良い時間だと思うし、お互いに部屋に戻ろうか」
「うん、そうだね。ネモ、さっき言った事は本当だし、引っ込める気もない。だから、バトルは出来ないけど、ネモやハルト君にとって良いライバルであり続けるために頑張るよ。どっちもシュリがきっかけだったけど、それがライバルであり続けてくれる二人への恩返しでもあるから」
「……うん。それじゃあ私もその姿を隣で見させてもらうね。ライバルとしてクラスメートとして、そして友達として」
「うん」
ユウが嬉しそうに頷いた後、二人は部屋に戻るために公民館の中へと入っていった。
「ぽに……」
そしてその様子を大きな顔をした何かが静かに見ていた。