「さて、と……それじゃあ僕達もそろそろ出発しようか。ただ、その前にちょっと寄りたいところがあるんだけど良いかな?」
他三組が出発した直後、ユウはスグリに聞いた。それに対してスグリは驚きながら頷く。
「う、うん……けど、どこさ行きたいんだ?」
「ちょっと買い物がしたいんだ。僕もカントー出身だから和食を食べる機会はあったんだけど、せっかくだから自分でもこの林間学校中に作ってみたくて。ほら、さっきの説明的に日中の食事は各自でって感じだったでしょ? だから、スグリ君やオオタチとも一緒にピクニックがしたいんだ」
「ピ、ピクニック……! おれ、誰かとピクニックした事ないから、ユウ達と一緒にやってみたい! な、オオタチ!」
「オッタチ!」
スグリが嬉しそうな笑みを浮かべ、オオタチが同じように笑みを浮かべていると、ユウは安心した様子で息をついた。
「それならよかった。それで、この近くにお店ってないかな?」
「店なら桃沢商店があるべ。小さな露店でパルデアの店に比べたら品揃えは良くねぇかもしれないけど、和食を作る材料だけじゃなくモンスターボールやきずぐすりもあるから最低限の買い物は出来ると思う」
「そっか。でも、買い物が出来るだけありがたいよ。そこまで案内してもらっても良いかな?」
「もちろんだ。こっちさ来て」
スグリの案内に従って公民館の右手へ歩いていくと、桃沢商店の店先が見え始めた。そして店の前でユウ達が足を止めると、店主の老齢の女性が声をかけた。
「あら、スグリ君じゃないの。隣はこの辺りじゃ見かけない子だけどお友達?」
「う、うん……それで、ユウが和食を作って見たいって言ってるんだけど、材料さあるか?」
「あら、そうなの? そうねえ、今あるのは……」
店主の女性が品物を出し始める中、シンは店内に置かれた桃色の置物をジッと見ていた。
「ミュ……」
「シン? それが気になるの?」
『それ、桃の奴だよ。今はジッとしてるけど、後でたぶん面倒な事になるよ』
「え、どういう事?」
『今は気にしなくてたぶん大丈夫。ただ、この桃の奴にとって機が熟したら動き始めてかなり危険な存在になると思うからこの事は覚えといて。一応、ユウも関係する事だから』
「う、うん……?」
ユウが不思議そうに答えていると、スグリは首を傾げた。
「ど、どうかした? シンが何か言ってた?」
「うん……どうやらこの桃の置物が気になるみたいなんだけど、僕にもよくわからないんだ。まあ今は気にしなくて良いみたいなんだけどね」
「そっか……それなら良いか。とりあえず早く買い物さ済ませてオリエンテーリングに戻ろ。ねーちゃん達、もしかしたらもう一つ目の看板のとこさ行ってるかも……」
「そうだね。おばあさん、おいくらですか?」
店主の女性が答えた代金を支払い、品物を受け取った後、ユウ達は歩き始めた。そして再び公民館の前に戻ってきたその時、ユウ達を強い光が照らした。
「わっ……!?」
「ま、眩しい……!?」
「ああ、ごめんね。珍しいポケモンを連れてたからついシャッターを切っちゃったよ」
そう言いながら近づいてきたのは、ガーディに似たポケモンを連れた上下セパレートのタンクトップにダメージジーンズという格好のショートカットの女性だった。