「し、知らねぇ人だ……」
「そう、だね……あの貴女は?」
「ああ、自己紹介がまだだったね。私はサザレ、写真を撮るのが好きな旅人さ。君達は……このキタカミの里の子達かな?」
「えっと……こっちのスグリ君はそうですけど、僕は他の友達と一緒にパルデア地方から林間学校のために来ているアカデミーの生徒です」
「へえ、パルデア地方。パルデア地方も良いところだと聞くからいつか行ってみたいな。もっとも、その前にやらないといけない事があるけどね」
「やらないといけない事?」
ユウの問いかけに対してサザレは頷く。
「そうさ。このキタカミの里にいると言われているポケモンの撮影、それがやらないといけない事だよ」
「ポケモン……もしかして鬼さまの事?」
「鬼さまって?」
「鬼さまはこれから巡る看板さ書かれてる昔話に出てきて、ともっこって呼ばれてるポケモン達に一人で勝っちまうくらい強いんだ。鬼さまは昔話の中だと悪者だって言われてるけど、おれ、鬼さまカッコいいって思ってるし、鬼さまみてぇに強くなりてぇって思ってっけど、中々なれなくて……」
「鬼、か……それも気になるけど、私が追っているのは違うよ。その昔、シンオウ地方がヒスイ地方と呼ばれていた時に生きていたと言われているポケモン、ガチグマだよ」
「ヒスイ……あ、そういえば歴史の授業で習った気がします。たしかモンスターボールも木材が使われていて、通常のポケモンよりも強い力を持っていて大きな身体を持ったオヤブンって呼ばれるポケモンがいたって」
「オ、オヤブン……!? な、なんか話だけでも強そうだ……」
「よく勉強しているね。因みに、このガーディもヒスイ地方で生きていたと言われる個体と同じ種類なんだ。タイプも少し違っていて炎/岩タイプなんだよ」
「へえ……あ、それならもしかしてこのゾロアもそうですか?」
ユウがスマホロトムで撮影していた白いゾロアの写真を見せると、サザレはほうと声を漏らした。
「よく見つけたね、その通りさ。君のポケモンなのかな?」
「いえ、友達がゲットした子です。普通のゾロアと一緒に来たので仲良くなった後に僕が普通の子を、友達がその子をゲットしたんです」
「そうか。このゾロアはノーマル/ゴーストタイプで、自分の持つタイプ二つとかくとうタイプの三つを物ともせずに戦うからとても心強いはずだよ。特性のイリュージョンも相まってね」
「あはは……その子、バトル好きなのでそれを聞いたらスゴくはしゃぐと思います。さてと……僕達、そろそろ行きますね」
「うん、用事がある中で引き留めてすまなかったね。私はもう少しこの里に滞在しているからまた会う事があるだろう。その時を楽しみにしているよ。それじゃ」
そう言ってサザレが歩いていくと、スグリは緊張が解れた様子でユウに話しかけた。
「この辺じゃ見ない程に綺麗な人だったから緊張した……ユウ、よく話せたな。もしかしてそんなに人見知りしない方?」
「僕も人と話すのはそんなに得意じゃないけど、ネモ達と一緒に旅をしている内に慣れてきたのかもね。昔みたいに不安や緊張をなくそうとして料理を作るみたいな事もしなくなったし」
「そ、それは独特すぎると思うべ……」
「あはは、たしかにね。さて、それじゃあ今度こそ行こうか。早く行かないと日が暮れちゃうからね」
「ん、んだな……! 早く行こう……!」
ユウが頷いた後、二人と二匹はオリエンテーリングのために歩き始めた。