「やっぱり……昨日の夜も来てくれてたけど、君は誰なの? なんだか不思議なお面を被って──」
『あ、鬼ちゃんじゃん。やっほー、久しぶりだね~』
「あれ、知り合いなの……って、鬼!?」
「お、鬼って……お、鬼さまか!?」
ユウとスグリが揃って驚くと、シンは大きく頷く。
『そだよ~。名前はオーガポンっていうんだけど、昔このキタカミの里に他所から来てて、被ってるお面によってタイプを増やしたり特性を変えたり出来るんだよ。不思議だよね~』
「そうなんだ……って、どうしてシンがそれを知ってるの?」
『ボクとミュウツーはここに来たことあるからね~。その時は鬼ちゃんももう一人と一緒だったんだけど……あの件は本当に残念だったね』
「残念って……何かあったの?」
『それは昔話を追っていけばいずれはわかるよ。とりあえず鬼ちゃんと話してあげなよ。わざわざ夜にも会いに来てくれたんだしさ』
「あ、うん」
『ちゃんとスグリにも通訳したげるんだよ。仲間はずれはダメ、絶対!』
「わかってるよ。それじゃあちょっとごめんね」
ユウはオーガポンに近づくと、その手に優しく触れた。
「初めまして、オーガポン。僕はユウ、それでそっちは友達のスグリ君だよ。よろしくね」
『わざわざ自己紹介してくれてありがとう。スグリ君は知ってるよ。小さい頃からずっと好きだと言ってくれてるし、何度もアタシの住みかまで来ていたから危ないといつも思っていたよ』
「えっ!? 鬼さま、おれの事知ってたのか!?」
『もちろん。夜の山はポケモンだけじゃなく足元だって見えづらくて事故に遭う可能性だってあるからねぇ。いっその事、驚かせて帰らせるか姿を見せて送り届けるかしようかとも思ったけれど、どっちもちょっとりすくがあるから止めておいたんだよ。スグリ君、変わらずアタシを好きでいてくれて本当にありがとうねぇ』
「お、鬼さま……にへへ、そう言ってもらえて嬉しいべ」
「良かったね、スグリ君。それで、どうしてここに?」
「そ、そうだべ! 鬼さま、昔話のせいで村のみんなから悪者扱いされてるのにここにいたら誰かに見られて騒ぎになるんじゃ……!」
スグリが焦りを見せる中、オーガポンはユウに視線を向けた。
『この子、ユウ君の事がちょっと気になって、ここで待っていたのよ。貴方、力を求めて暴走しかけ、大切な仲間と仲違いしてしまったでしょう?』
「そうだけど……でも、どうしてそれを?」
『里のポケモン達が教えてくれたの。村の人達がすぐに情報を共有してしまうようにポケモン達も里であった事をすぐに伝えあってしまうし、それを定期的に報告してくれるからアタシも知っているのよ。それで、二人に少しお願いがあるんだけれど良い?』
「良いけど……」
「なんだべ? 鬼さま……」
ユウとスグリが不思議そうにしていると、オーガポンはお面を取りながら素顔でニコリと笑った。
『貴方達についていかせてほしいの』