「バトル……」
「ん、もしかしてバトルに自信ないのか?」
「そ、そうじゃなくて……ユウはちょっと事情があって今はバトルが出来ないんだ」
「バトルが出来ない、か……他の課題は用意していないがそれなら仕方ないか」
「あ……でも、バトルをしようと思えば別に出来ま──」
「だ、だから! おれ一人でダブルバトルをする!」
スグリが拳をギュッと握りながら言うと、ユウは驚いた顔でスグリを見た。
「ス、スグリ君……?」
「お、おれだって強く……なりたいし、ユウが今バトルをしない事情だってわかってるから、ユウのために、友達のために頑張りたい……!」
「スグリ君……」
「べ、別に良いよな……?」
スグリが恐る恐る聞くと、鬼面衆の一人は頷いた。
「ああ。それは良いけど……相手が誰だろうと手加減はしないぞ」
「も、もちろんだべ……! さあ、早くバトルを……!」
スグリが緊張した面持ちで言い、オオタチがやる気に満ちた顔をしながら後ろ足で立って威嚇をする中、ユウはスグリを見ながらモンスターボールを一つ取り出した。
「スグリ君、だったらこの子にも手伝わせて」
「え?」
「僕の相棒役になっていたシンは別の場所に行ってるからその間のポケモンだって必要だし、そもそもルール的に相棒以外のサブポケモンはオリエンテーリングで捕まえたポケモンだけって感じなんじゃないかな?」
「う、そういえば……」
スグリが俯いていると、鬼面衆の一人は腕を組んだ。
「まあその通りだな。ただ、最初とその次に来たペアも特例にはなったけどな」
「そうなんですか?」
「ああ、相棒ポケモンがわけあって戦えないと言っていたから代わりのポケモンを出して良い事にした。その結果、普通に負けたわけだが、流石にこうも続けて負けては鬼面衆の名が廃る。二人とも、私達は容赦はしないぞ」
「わ、わかってる……! とりあえず……出てきてくれ!」
スグリがモンスターボールを投げ上げると、中からはホムラが現れた。
「グルォ……!」
「わっ……リ、リザード……?」
「うん。僕の最初のポケモンで、手持ちの中のエース的な存在だよ。ちゃんとはわかってないけど、オオタチはサポートが得意そうに思えたから攻撃が得意なホムラを選んだんだ。今の手持ちの中にはダブルバトル向きで攻撃が得意な子はいなかったしね」
「そっか……ホムラ、おれの指示でも聞いてくれるか?」
スグリが自信無さそうに聞くと、ホムラはユウをチラリと見た。それに対してユウはコクンと頷いてからホムラの頭に手を置いた。
「ホムラ、不満はあると思うけど今はスグリ君の指示を聞いてあげて」
『……わかった。でも、ユウと一緒にバトルをするのは諦めてないから。僕だけじゃない、さいきょうの証持ちのみんなやヌシのみんな、他のみんなやシュリだってそう。それだけは忘れないで』
「……うん。それじゃあ行ってきて、ホムラ。君の熱い闘志を見せつけてきて!」
『オッケー! バッチリ勝ってくるよ!』
ホムラがユウから離れると、鬼面衆の一人はモンスターボールを取り出した。
「不思議な光景を目にした気がするが……まあ良い。さて、では勝負を始めよう。ルールは至ってシンプルだ。一匹ずつ繰り出すダブルバトルで、どちらかのポケモンが先に全て戦闘不能になった時点で試合終了だ。スグリ、問題はないか?」
「う、うん……!」
「では、行こう。鬼面衆が一人、ライキリ。いざ参る!」
「鬼面衆のコテツ、ガンガン行くぜ!」
ユウとスグリが身構える中、ライキリとコテツは揃ってモンスターボールを投げた。