「行け、ライチュウ!」
「出番だ、ヘラクロス!」
「ラーイ!」
「ヘラッ!」
ライチュウとヘラクロスが姿を現すと、スグリは一瞬怯んだ。
「つ、強そう……でも、ユウのエースも借りてるんだ。このバトル、負けられねぇ! ホムラ、にほんばれ! オオタチはこのゆびとまれ!」
「グルォ!」
「オッタ!」
オオタチが後ろ足で立ちながら片方の前足を天高く掲げ、ホムラが両腕を上に伸ばすと、日差しは強くなり、その様子にライキリはほうと息を漏らした。
「どちらも良い技を持っているな。だが、このゆびとまれはタイミングが早かったな。ライチュウ、ひかりのかべ」
「ヘラクロス、つるぎのまいだ!」
「ライ!」
「ヘラ!」
ライチュウとヘラクロスの目の前に透明な壁が現れ、ヘラクロスの周囲に光の剣が出現すると、スグリはハッとした。
「あっ……」
「このゆびとまれは自分に注目を集めて攻撃技を自分に向かわせる技。でも、攻撃をしてこないと意味がない……」
「その通り。にほんばれを使うポケモンを守るためにこのゆびとまれを使うのは本来ならば良い作戦であり、その後の展開を考えるとこちらはより注意を払わなければいけない。だが、攻撃をする前にこのゆびとまれを使ってきたのが見えたならわざわざ攻撃をする必要はなく、ステータスアップや受けるダメージの減少に意識を向ければ良い。攻撃技を指示した後に使われたのなら厄介だったが」
「ダブルバトルが主流のブルーベリー学園に行っているだけあって技選びは中々だった。だけど、友達のために頑張ろうとして気合いが入りすぎたな。おかげで、そっちのリザードが晴れの状態をメインにして戦うサンパワー持ちの個体なのがわかったからお礼を言いたいくらいだ」
「ぐぅ……!」
スグリが悔しそうな顔をする中、ユウは覚悟を決めたような顔をした。そして一歩前に進み出ようとしたその時、スグリは勢いよく腕を横に伸ばしてそれを止めた。
「大丈夫だから!」
「スグリ君……」
「たしかに状況はあんまり良くないし、ユウが不安なのもわかる。でも、ここでユウに戦わせたら一人でけっぱるって決めた意味がなくなるんだ!」
「それはそうだけど……」
「それに、おれはなりたいんだ。鬼さまみたいな強さとカッコよさを持ったトレーナーに。だから!」
そう言うと、スグリは前髪を上げ、ヘアバンドで括り纏めた。
「スグリ君……」
「やってやる! “俺達”の勝利のためにけっぱるんだ!」
スグリは拳を固く握りながら大きな声で言った。