看板の昔話を読み終えた後、ユウは心配そうな顔でオーガポンを見た。看板を見るオーガポンは複雑そうな表情だったが、その表情はやがて哀しそうな微笑みに変わった。
『そうかい……あの時の出来事はそんな風に語り継がれてるのかい』
「鬼さま、大丈夫か?」
『アタシは大丈夫だよ。自分でもあの時の自分の様子は傍目から見たらだいぶ怖いものだっただろうと思うし、それだったらあの三匹の方が悪い奴には見えないだろうからね』
「そっか……このイイネイヌとマシマシラ、キチキギスっていうのがスグリ君が言っていたともっこなの?」
「うん。それでここはそんなともっこの名前を冠してるともっこプラザで、これがともっこ達を祀ってる石像だ」
「へー……ん、シン。ともっこの石像を見る目がなんだか怖いけどどうしたの?」
ユウが不思議そうに見る中、シンは石像を睨んでいた。
『……なんか嫌な予感がするんだ。コイツらが戻ってきそうなそんな嫌な予感が』
「戻ってくるって……い、生き返るって事か!?」
『ないと思いたいけどね。でも、もしそうなったら間違いなく鬼ちゃんのところに来るよ。自分達を倒した相手だからっていうのもあるけど、探し物があるからね』
「探し物って?」
『それについては後で言うよ。全部まとめて話したって頭に入らないだろうし、今はオリエンテーリングの方が大事だから。という事で……二つ目に向けてレッツゴー!』
「う、うん。あ、それならホムラは一度戻さないといけないね。シンがいなくなってる間の相棒枠だったわけだから。という事でホムラ、一度戻って」
ユウがホムラをボールに戻すと、シンは宙に浮かびながら頭の後ろに手を回した。
『ホムラには後で何か振る舞ってあげなよ~? 一番頑張ってくれたのはオオタチだけど、ホムラだって頑張ってたんだからさ』
「それはもちろん。あ、せっかくだから少し休憩するついでにピクニックでもする? オオタチだって傷ついてるし、スグリ君もバトルで気疲れしてるだろうからさ」
「ん、んだな……! でも、ここだと鬼さまが落ち着けないだろうからもう少し離れてからにしよう。それに、村のみんなだってここには来るだろうし」
「そうだね。それじゃあ早速──」
「……おやあ? そこにいるのは、もしかしてユウさんですかあ?」
「え? あ、ジニア先生」
ニコニコ笑いながらジニアはユウ達に近づくと、オーガポンに視線を向けておやと声を漏らした。
「流石はユウさん。これはまた珍しそうなポケモンと出会ってますねえ」
「あはは……ところでジニア先生はどうしてここに?」
「このキタカミのポケモン達の観察がしたくてフィールドワークをしに来ちゃいましたあ。それで少しデータをまとめるついでにピクニックをしようかなと思ったんですが、ユウさん達も良かったら一緒にどうですかあ?」
「僕は良いですけど、スグリ君達はどう?」
ユウの問いかけに対してスグリ達が頷くと、ジニアはニコリと笑った。
「決まり、ですねえ。では、行きましょうかあ」
その言葉にユウ達が頷いた後、一行はピクニックが出来る場所を探しながらゆっくり歩き始めた。