「はい、出来ました。いっぱい作ったので遠慮せずに食べてくださいね」
出発から数十分後、広い草原の上に組み立てられたテーブルの上にサンドイッチやおにぎりといった軽食、そして木製の椀に盛られたみそ汁などが並び、その出来映えにスグリとポケモン達は目を輝かせた。
「す、スゴい……! 目の前で作ってたから疑いようがないけど、こんなに美味そうな料理を一人で作るなんて本当にスゴいべ……!」
「ユウさんは他の成績も優秀ですが、特に家庭科の成績は学年トップですし、家庭科のサワロ先生も料理のレシピについて相談する事があるそうですから担任として本当に鼻が高いですう」
「サワロ先生と一緒に料理をするのは楽しいですし、色々勉強にもなりますよ。それじゃあそろそろ食べましょうか」
その言葉にスグリ達が頷いた後、ユウ達はいただきますと口にしてから料理を食べ始めた。
「……う、美味い! サンドイッチもそうだけど、おにぎりもみそ汁も本当に美味い! 別に作り慣れてるわけじゃないんだよな?」
「うん。自分で作れたら旅の中での献立も増やせるし、楽しそうだと思ったから昨日の夕食後や今朝の朝食前にスマホロトムで調べてたんだ。ネモも昨日の夕食や今朝の朝食は美味しかったって言ってたし、林間学校が終わっても食べる事が出来たら喜んでくれるかなと思ったしね」
ユウが少し照れ臭そうに言うと、ジニアは眼鏡の奥から優しい目を向ける。
「ユウさんはアカデミーにいる時もネモさんとよく一緒にいますし、生徒の中にはお似合いの二人だという人もよく見かけますよ」
「あはは……そう言ってもらえるのは嬉しいですけど、今の僕では到底釣り合わないですよ。でも、いつかはそうなれるようにします。その日だってそう遠くない日にするつもりですしね」
「そうですかあ。ユウさん達と出会ってからネモさんは毎日楽しそうなのでぼくも結構安心してるんです。ユウさんは今はバトルをしないと決めているようですが、自分とバトルをする事になっても嫌がらない上に思う存分戦ってもそれに対して全力で応えてくれる相手がいるというのはネモさんにとっては本当に嬉しい事なのだとぼくは思っています。だから、無理にとは言いませんが、またバトルをしたいと思えたらその時はネモさんと最初にバトルをしてあげて下さい。そうしたらネモさんは本当に喜ぶと思います」
「……わかりました。その時はそうしますね」
「はい、よろしくお願いしますねえ。さて、そういえばあれは……って、あれえ?」
「ジニア先生、どうかしたんですか……って、ん?」
ジニアの視線の先に顔を向けたスグリは首を傾げると、不思議そうな顔をしながらユウに話しかけた。
「ユウ、今の手持ちってホムラとシンを含めた六匹だったよな?」
「そうだけど?」
「その中に……“イーブイ”さいなかったよな?」
「え、イーブイ?」
ユウが驚きながらスグリ達の視線の先に顔を向けると、そこにはポケモンの卵が入ったバスケットとそれを前足でつつくイーブイの姿があった。
「き、君は……?」
「イッブイ!」
ユウやポケモン達の視線を浴びながらイーブイは笑みを浮かべた。