「よし、早くネモ達のところに──」
「ちょ、ユウ……! 先に鬼さまをどうにかしないと……!」
スグリが声を潜めながら自分達の後ろにいるオーガポンに視線を向けると、ユウはしまったという顔をした。
「あ、そうだった……シン、お願いしても良いかな?」
『ラジャ! 鬼ちゃん、行くよ~』
「ポニ!」
シンとオーガポンが姿を消し、ユウとスグリがホッとしてからオオタチと共に近づくと、ネモは嬉しそうな笑みを浮かべたままでユウに話しかけた。
「ユウ達も一つ目の課題を突破したんだね。でも、課題ってバトルだったよね?」
「バトルはスグリ君が代わりにやってくれたよ。ホムラやオオタチと一緒に頑張ってくれたんだ」「え、ホムラ? 相棒枠はシンのはず……って、そういえばシンは?」
「さっきまでいたのは見えたのにね。それに、スグもなんだか焦ってたように見えたけど……あんた達、もしかして何か隠してるの?」
「そ、それは……」
スグリが困ったような表情を浮かべていると、ユウは笑みを浮かべながら代わりに答えた。
「実は少し恥ずかしがりな友達が出来たんだ。僕達にはどうにか慣れてくれたんだけど、他の人には中々慣れないみたいでシンがテレポートでどこかに一緒に行ってくれてるんだ」
「あ、そうなんだ。それなら仕方ないかぁ……ところでそのイーブイとタマゴは? イーブイはまだわかるけど、タマゴなんて歩いてて見つかるものじゃないよね?」
「タマゴはフィールドワークに来ていたジニア先生から貰った物で、イーブイはジニア先生を交えてピクニックをしていた時に寄ってきた子だよ。楽しい事が大好きみたいでついてきたいって言うから一緒にいるんだ。因みに、この子もさいきょうの証持ちだよ」
「あはは、また寄ってきたんだね。ユウは本当に好かれてるなぁ」
「そういう証持ちなんて早々出会うものじゃないでしょ。ユウ、あんた本当にどうなってるのよ?」
「なんだか寄せ付けちゃうみたいなんです。そういえばネモ達の相棒枠は? 姿が見えないようだけど……」
ユウとスグリが不思議そうにしていると、ネモは少しばつが悪そうな顔をした。
「あー……それなんだけど、実は私達の相棒枠達は倒れちゃったんだ」
「た、倒れた? 大丈夫なの?」
「安心しなさい。バトルをした時に体力が尽きて瀕死状態になっただけだから。ただ、そのバトルっていうのが……」
「課題がまったく関係ないものなんだよね。一つ目の看板の時の興奮が中々冷めなくてゼイユにバトルを申し込んだら相討ちになっちゃって少し休んでもらってるんだ」
「もう……ネモ、何やってるの?」
ユウがジトッとした視線を向けると、ネモは小さく息をついた。
「流石に私も反省してるよ。因みに、道中でも他のトレーナーや野生のポケモンともバトルをしたから他の子達も少し疲れ気味。新しい技も覚えたり進化したりもしたけど、ポケモンセンターに行ってからじゃないとバトルは出来ないかな」
「それじゃあオリエンテーリング中は本当に困るべ? 連続でバトルの課題があるとは思えないけど、課題はポケモンに協力してもらわないと難しいものだろうし……」
「そうだね。ネモ、良かったら僕の手持ちの内の一匹に協力してもらおうか? もちろん、ボックスを使うっていう手もあるけど……」
「まだ一匹元気な子がいるから大丈夫。大丈夫なんだけど……ユウにとっては少し気まずいかな」
「え、それってまさか……」
ユウがハッとする中、ネモは取り出したモンスターボールのスイッチを押した。そしてモンスターボールの中から出てきたポケモンの姿にその顔は曇る。
「シュリ……」
出てきたシュリの姿にユウは辛そうにその名前を口にした。