「……うん、これできのみは全部だ。これは課題の達成を認めざるをえないね」
スグリ達が戻ってきた後、ポケモンをしまい終えきのみを受け取ったムネチカが微笑みながら言うと、ネモは嬉しそうにユウに話しかけた。
「やったね、ユウ! 頑張って料理を作り続けた甲斐があったね」
「まあね。シュリの発案で料理を作る事にはなったけど、あんなに美味しそうに食べてくれるとやっぱり嬉しいし、あまり作ったことのない料理を作る機会に恵まれた形になったから今回の課題を考えてくれたムネチカさんとカネチカさんには本当に感謝しかないよ。ムネチカさん、カネチカさん、本当にありがとうございます」
「どういたしまして、と言っても良いのかな、これは」
「どうだろうな。だが、結果的に喜んでもらえたのなら良かった。それに、戻ってきたポケモンや他のポケモン達にまで料理を振る舞ってもらえたからこちらこそ感謝をしたい」
「そうだね。さて、私達はそろそろ行くよ。管理人に全ペアが二つ目の課題をクリアした事を伝えないといけないからね」
「そうだな。それではみんな、気をつけてオリエンテーリングを続けてくれ」
ムネチカとカネチカが歩き去っていくと、シュリはスグリの腕の中にいるポッチャマに視線を向けた。
「ソレデ、ソノポッチャマハドウシタンダシ? モシカシテモッテタタマゴカラカエッタンダシ?」
「うん。ねーちゃんやポケモン達と一緒に追いかけていたらいきなりタマゴからこのポッチャマが孵って、おれから離れなくなっちまったんだ」
「ポチャ。ポチャポチャ、ポッチャマ!」
「トウゼンダヨ。スグリガボクノトレーナーダシ、ココガイチバンオチツクカラ! トイッテルシ。スグリ、ダイブポッチャマカラキニイラレテルシ」
「そうみたいだね。スグリ君、ポッチャマもトレーナーとして認めてるみたいだし、このままゲットしてあげたら? ジニア先生には僕から言っておくから」
「え? お、おれがゲットして本当に良いのかな……ポッチャマはめんこいし、気に入られているのは嬉しいけど、バトルが得意なネモさんとか美味しい料理を作ってくれるユウの方が良いんじゃ……」
スグリが自信なさげに俯くと、ゼイユはスグリの肩に手を置いた。
「あんただからポッチャマがトレーナーに選んだんでしょ」
「ねーちゃん……?」
「たしかにバトルで強くなりたいならネモが最適だし、ユウのとこだって悪くない。けど、そんな中でもポッチャマはあんたがトレーナーだと言っている。タマゴから孵って最初に見たのがあんただったからというだけじゃなく、ポッチャマなりにあんたに良いところがあると感じたからあんたが良いって言ってるんでしょうから自信持ちなさい。プライドが高い事で有名なポッチャマに気に入られてるんだしね」
「自信を……」
「まあそんなちっこい癖にプライドが高いポッチャマとちっこい上に自信のないあんたなら好相性でしょ。ちっちゃい者同士仲良くしてなさい」
ゼイユがクスクス笑いながら言うと、スグリはムッとする。
「珍しく良い事言ったと思ったのに……」
「珍しくってなによ! まあ良いわ、とりあえずボールの中に入れてあげなさい」
「う、うん。ポッチャマ、こんなおれだけどこれからよろしくな」
「ポッチャマ!」
ポッチャマが答えた後、スグリは空のモンスターボールを取り出し、ポッチャマにコツンとぶつけた。そしてポッチャマがボールの中に入ると、スグリはボールを優しく撫でた。
「ポッチャマ、これからよろしくな」
「よかったね、スグリ君」
「うん。さて、そろそろ鬼さま達と合流し──」
「え、鬼さま?」
「鬼って昔話の? ちょっとスグ、どういう事よ?」
「え、あ……その……」
失言に気づいたスグリが焦り始める中、そこにオーガポンを伴ってシンが姿を現した。
『やっほー、みんな~。おっつかれちゃーん』
「あ、シン……って、知らないポケモンがいる!?」
「スグ! どういう事か説明しなさい!」
ユウがため息をつき、スグリが頭を抱えた後、二人はここまでの経緯についてネモ達に説明を始めた。