ポケットモンスター~偽竜の司令官~   作:九戸政景

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第二百四十話

「け、けっぱれ! ヤンヤンマ!」

 

 

 スグリが投げ上げたボールからはヤンヤンマが飛び出し、その姿にシュリはヒレを組んだ。

 

 

「ヤンヤンマカダシ。ヤンヤンマハスバヤサガタカイウエニトクシュコウゲキリョクモケッシテヒククナイポケモンダシ。モンダイハトクセイダケド……ソコハタタカイナガラカンガエルシカナイシ。ネモ、ケッシテユダンシテハイケナイシ」

「もっちろん! 先攻はあげるから遠慮なくかかってきて!」

「う、うん……! ヤンヤンマ、エアスラッシュ!」

「ヤンマ!」

 

 

 羽を動かす事で生まれた風の刃は真っ直ぐにシュリへと飛んでいき、それを見ながらネモは楽しそうな様子を見せた。

 

 

「いいねいいね! だったらこれはどう? シュリ、こごえるかぜ!」

「リョウカイダシ!」

 

 

 シュリの口から吐き出されたこごえるかぜはエアスラッシュとぶつかり合うと相殺され、キラキラと光の雨が降り注いだ。

 

 

「フム、ゴカクカダシ。サテ、モンダイハ……」

 

 

 シュリはヤンヤンマの姿に注目した。そしてヤンヤンマの動きが微かに速くなっている事に頷くと、ネモの事を見上げた。

 

 

「ヤンヤンマノトクセイハかそくデマチガイナサソウダシ。ふくがんノコウカニヨルさいみんじゅつノキョウフニハオビエナクテイイケド、ダンダンハヤクナッテイクノハヤッカイダシ。タイキュウリョクノヒクサヲツイテハヤメニケリヲツケタイシ」

「だね! となれば……シュリ、もう一度こごえるかぜ!」

「ショウチシタシ!」

 

 

 シュリが再びこごえるかぜを吐き出すと、スグリは焦りながら顔色を変えた。

 

 

「そ、それは受けちゃマズイべ……! ヤンヤンマ、むしのさざめき……!」

「ヤンマ!」

 

 

 ヤンヤンマがむしのさざめきで迎え撃ち、二つの技が相殺された事で小さな爆発が起きたが、スグリが腕で目を覆うのに対してネモは楽しそうにしながら指示を出した。

 

 

「油断禁物だよ! シュリ、そのままハイドロポンプ!」

「ワカッタシ!」

 

 

 シュリは返事をすると、爆発によって生じた煙の向こうへハイドロポンプを放ち、不意を突かれたヤンヤンマはそれを諸に受けた。

 

 

「ヤン……!」

「ヤンヤンマ……!」

「クリーンヒットダシ!」

「よし、これなら少しは安心していけるね!」

 

 

 シュリが勝ち誇ったような笑みを浮かべ、ネモがガッツポーズをする中、ゼイユは腕を組みながらその様子を見ており、スグリはハイドロポンプのダメージで弱るヤンヤンマを見てオロオロし始めた。

 

 

「ど、どうしよう……このままじゃ負けちまう……」

「スグリ君……」

 

 

 心配そうにスグリを見ていたが、ユウは覚悟を決めた様子で前に進み出ると、スグリの隣に立った。

 

 

「え?」

「ユ、ユウ……?」

「これは公式戦じゃないし、シュリはトレーナー代わりになれるポケモン。だったら、実質トレーナー二人でポケモン一匹の指示をしているような物だよね?」

「フム、タシカニダシ。ソレジャアユウモバトルニサンカスルンダシ?」

「参加はするけど、バトルをするわけじゃない。バトル自体はスグリ君がやってこそ意味があるから」

「ナラ、ユウノイミハナンダシ? ナンノカンガエモナクキタワケジャナインダシ?」

「うん、もちろん。僕がいる意味、それは……」

 

 

 ユウは小さく息をついてから言葉を続けた。

 

 

「もう一人の偽竜の司令官としてスグリ君のサポートをする。それが僕が隣に立つ意味だよ」

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