数分後、一軒の家に着くとゼイユは縁側に並んで座っている老夫婦に声をかけた。
「じーちゃん、ばーちゃん、友達連れてきたわよ」
「おお、ゼイユにスグリ。そしてゼイユとスグリの友達のみんな、改めてキタカミの里にようこそ。ワシはユキノシタ、そして隣にいるのが妻のヒエだ」
「初めまして。林間学校で来ていると聞いているけれど、キタカミの里は楽しめているかしら?」
「はい。とても空気も澄んでいる上に景色も綺麗で食べ物も美味しいですし、雰囲気も良い感じでとても良い場所だと思ってます」
「パルデアでは見ないポケモンもいっぱいいますし、林間学校で来られて本当に良かったと思ってます!」
「そうか、それなら良かった。さて、これからオモテ祭りに行くために着替えるのだったね。ゼイユ、スグリ、二人で手分けして手伝ってあげなさい。もちろん、ワシらも手伝うけどな」
ゼイユとスグリは頷くと、ユウ達を連れて家の中に入っていった。そしてそれから十数分後、色違いのじんべえに着替えたユウ達は外に出ると、お互いの格好を見ながら笑いあった。
「みんな、よく似合ってるよ。ハルト君に至っては髪も少し結ってもらってるしね」
「そういうユウだって似合ってる。クロスやスグリもしっかり似合ってるね」
「こういう服は初めて着るけど、結構動きやすそうだな。着心地も良いし、普段着にしても良さそうだよな」
「にへへ……喜んでくれてよかったべ。さて、ねーちゃん達もそろそろ来るはずなんだけど……」
みどりのめんを模したお面をつけたスグリが見回していたその時、そこにネモたちを連れたゼイユが現れた。
「待たせたわね、あんた達」
「あ、はい……って、わっ……」
それぞれ髪型を変え、色違いのじんべえに着替えたネモ達の姿にユウが思わず声を漏らしていると、ゼイユは得意気な顔をした。
「どう? あたしとヒエばーちゃんの腕があればこんなもんよ!」
「本当にスゴい……それに、本当に自然な感じだけど化粧もしてるよね」
「うん……私は良いって言ったんだけど、ゼイユがせっかくの祭りなんだからしっかりおめかししろって言うから。その……似合ってる、かな?」
「うん、もちろん。髪も下ろしていていつも以上に大人っぽさを感じるよ」
「アオイちゃんもいつもの三つ編みから変えてるんだね。雰囲気も変わってるし、僕はこっちのアオイちゃんも良いと思うよ」
「うん、ありがとう。えへへ、面と向かって褒められるとちょっと照れるな」
ネモが嬉しそうに微笑み、アオイが照れ臭そうに笑っていると、ライラは二人の姿を微笑ましそうに見ていた。
「ふふ、お二人とも本当に素敵ですよね」
「まあな。けど、ライラだって負けてないじゃん。いつもは下ろしてる髪を一本に纏めてるし、より上品な感じになってて俺は好きだぜ?」
「クロスさん……はい、ありがとうございます」
「どういたしまして。そういえば、シュリとイーブイもめかしこんでるんだな」
「フフン、トーゼンダシ。コノチョウゼツビショウジョノシュリトオナジクアイラシサニミチタイーブイダッテオメカシスルンダシ。シュリタチノコトヲモットモーットホメテモイインダシ?」
「イッブイ!」
小型の巻き貝のアクセサリーをつけたシュリと赤いリボンをつけたイーブイが揃って胸を張っていると、それを見たユウは微笑みながら頷いた。
「うん、シュリ達も可愛いよ。さて、それじゃあそろそろ行こうか」
「んだな。それじゃあじーちゃん、ばーちゃん、行ってくるな」
「遅くならない内に帰ってくるわね」
「ああ、いってらっしゃい」
「くれぐれも気を付けるのよ」
ユウ達は揃って頷いた後、オモテ祭りの会場であるキタカミセンターに向けて歩き始めた。