ポケットモンスター~偽竜の司令官~   作:九戸政景

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第二百四十八話

「キタカミに再び現れる者達……それってもしかしてともっこの事?」

「そうだ。奴らはかつてオーガポンと我らによって撃退され、その命の灯火は消えた。そしてその骸は日中にお前達が訪れたともっこプラザに埋められており、ユウ達が去った後に我もともっこプラザを訪れた。その際、たしかに感じたのだ。奴らが息を吹き返しつつあるその気配を」

「そういえばシンもそう言ってたね。でも、どうしてともっこが生き返ろうとしているの?」

「そうだよ。死んだはずの何かが生き返るなんて……本当に特別な力が無いとあり得ないよ」

 

 

 ミュウツーは軽く目を閉じながら答える。

 

 

「強き念もまたその理由となり得る。あれから長い時が過ぎたが、その躯はまだ朽ちる事なく土に埋まり、その魂もまたこのキタカミの地に留まり続けているのだろう。奴らにとっての仇敵である我ら、特に命を失う直接な理由となったオーガポンがともっこプラザを訪れた事でその気配を感じとり残留していた魂や思念が活性化したというのもそうだが、奴らが目的を完遂していない事もまた成仏出来ない一因になっているのだろうな」

「目的……そういえば、オーガポンのお面を探してるって……」

 

 

 ユウが顎に手を当てていたその時、わけがわからないといった表情のハルトがその肩をトントンと叩いた。

 

 

「ユウ、どういう事か説明してくれない? さっきから話がまったく掴めないし、そもそもそこにいるポケモンは一体誰なの?」

「あそこにいるのはオーガポン、昔話に出てくる鬼だよ」

「え、あれが……!?」

「なんか思ってたのと違うな……」

「だいぶ勇ましく大柄な存在なのかと思っていましたが……実に可愛らしい方だったんですね」

 

 

 ハルト達が驚く中、ユウはみどりのめんを両手で持つオーガポンに近づき、その頭を優しく撫でた。

 

 

「因みに、一緒にピクニックをしたからジニア先生もオーガポンについては知ってるよ。他の人には内緒にしてもらってるけどね」

「そっか。それで、あくまでも確認なんだけど、ユウ達の友達って事はオーガポンは悪者ではないんだよね?」

「ソウダシ。ホントウハオーガポンガともっこノセイデタイセツナヒトヲナクシタヒガイシャケンソノイノチヲウバッタカガイシャデ、ともっこタチハオーガポンノオメンヲトロウトシタワルモノナンダシ」

「今までそんな奴らをともっこ様なんて呼んでたのが本当に馬鹿馬鹿しくなるわ。出るとこ出てやるって言いたいけど、村のみんなは本当の歴史を話しても信じないでしょうし、中々もどかしいわね」

「はい……ハルト君達はどう? いきなりそんな事を言われても困るだろうけど……」

 

 

 ユウが不安そうに俯く中、ハルト達は顔を見合わせる。そして頷き合うと、揃ってユウに視線を向けて微笑んだ。

 

 

「信じるよ。たしかに驚きはしたけど、ユウ達がそんな嘘をつくとは思えないし、シュリやミュウツーみたいに悪者に対して情けを捨てられるような存在がそっち側にいるのも説得力があるかな」

「オヒトヨシガスギルユウノストッパーハタイヘンダシ」

「いつも助かってるよ。さて、こうしてオーガポンとも会えたし、一緒にお祭りを楽しむための方法を考えて──」

 

 

 その時、ふとオーガポンは建物の方へ視線を向けると突然怯えたような顔をし、手に持っていたみどりのめんをはスルリと手から滑り落ちた。

 

 

「あ……」

「お面が……」

 

 

 ユウとスグリがお面を見ながら言う中、オーガポンは山へ向けて走り去っていった。

 

 

「あ、オーガポン!」

「鬼さま! お面を忘れてるべ!」

 

 

 お面を拾ったユウとスグリがオーガポンを追うと、それを見たネモとゼイユは揃って声を上げた。

 

 

「ユウ! 待ってよ!」

「スグ、戻りなさい!」

 

 

 その声に答えずにユウとスグリが山の中へ姿を消し、ネモ達が心配そうな表情を浮かべていると、そこにサザレが姿を現した。

 

 

「やあ、君達」

「サザレさん……」

「お祭りの写真を撮っている時に君達の声が聞こえたから来てみたんだけど……何かあったのかい?」

「実は……」

 

 

 ネモが軽く説明すると、サザレは申し訳なさそうな顔をした。

 

 

「そうか……どうやら私のせいで二人がその友達を追っていってしまったようだね。本当にすまない」

「別にサザレさんのせいじゃないですよ。でも、本当に心配だな……シュリがいるとはいえ、明かりもない中を走っていったし……」

「それもあるけれど、もう一つ心配事があるんだ」

「え?」

 

 

 ネモが不安そうな表情を浮かべると、サザレは真剣な顔で話し始めた。

 

 

「今夜、このキタカミの里全域に霧が発生するようでね、私が行こうとしているとこしえのもりは特に濃い霧が立ち込めるそうなんだ」

「そういえばそんな予報が出てたような……」

「ユウ君達には話したんだけれど、私がこのキタカミに来たのはそんな霧の夜にとこしえのもりに出没するというポケモンの写真を撮るためなんだ」

「……どんなポケモンなんですか?」

 

 

 ネモ達が喉をゴクリと鳴らす中でサザレは山を見つめながら口を開いた。

 

 

「かつてシンオウ地方がヒスイ地方と呼ばれていた頃に生息していたと言われるポケモン、ガチグマ。それも赫月(アカツキ)と呼ばれる個体。それが私が追っているポケモンだよ」

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