「おーい! オーガポーン!」
「鬼さまー! 返事をしてくれー!」
オーガポンを追って暗い山を歩く事数分、オーガポンが見つからない事や徐々に山奥に入っている事、そして霧が出始めた事でユウは不安を感じ始めた。
「勢いで追ってきちゃったけど……ここ、どこだろう? スグリ君はどこかわかる?」
「たぶんこっちはとこしえのもりがある方だ。おれ達、鬼さまを追う事に夢中になり過ぎて想定してたのとは違う方まで来ちまったんだな」
「コノクラヤミトキリノナカヲコノママススムノハホントウニキケンダシ。オーガポンニハワルイケド、コノオメンハアズカッテキョウノトコロハカエルシ。ウッカリケガヲシテカラジャオソイシ」
「そうだね。スグリ君、シュリの言う通りにして一旦戻ろう。夜が明けた後にシンにオーガポンを連れてきてもらう事にしてさ」
「……んだべな。ただでさえお面を三つ失ってる状態で残った一つまで無くなってとても不安がってるだろうけど、無理に探し続けてそれでおれ達がケガなんてしたら鬼さまは気に病んじまうだろうしな」
スグリの言葉にユウ達が頷いた後、ユウとスグリは来た道を戻るために後ろを振り返った。そして歩き始めようとしたその時、スグリの腕の中のカジッチュがピクリと体を震わせた。
「カジ……」
「カジッチュ、どうした?」
「……ナニカキコエルシ。ソレニケハイモカンジルシ」
「オーガポンのじゃなくて?」
「チガウシ。フタリトモケイカイシトクシ」
ユウとスグリは喉をゴクリと鳴らしながらその場に立ち止まった。そしてそのまま待ち続ける事数分、大きな影が霧の向こうから見え始めると、その大きさにユウ達の間に緊張が走った。
「な、なに……!?」
「デッケェ……あれ、本当に何なんだ……!?」
ユウとスグリが警戒する中、大きな影はゆっくりとユウ達に近づいた。やがて月の光に照らされて上半身や顔の左半分が灰色の泥で覆われた茶色の大柄なポケモンが姿を現し、ポケモンは額の赤い月の模様を輝かせながらユウ達を見下ろした。
「グマ……」
「こ、これ……ポケモンなんだよね……?」
「た、たぶん……けど、襲ってくる感じではないよな……?」
「カオハメッチャコワイシ、カラダモキョダイダケド、キョウボウトイウワケデハナサソウダシ。ソレニシテモ、ドコトナクリングマニニテルキガスルシ……」
「リングマに似てる……あ、もしかしてこのポケモンがサザレさんが探してるっていうガチグマなんじゃない? だとしたらサザレさんに教えたいけど……」
「サザレノレンラクサキハシラナイシ。トリアエズブジヲシラセルタメニネモニレンラクスルシ」
シュリの言葉にユウは頷いた後、スマホロトムを取り出した。そして電話をかけるために操作をしていたその時だった。
「わっ……!」
突然吹いた一陣の風にユウが驚いた瞬間に手が滑り、カメラアプリが起動した。そして慌ててユウが画面に触れると、シャッターが切られ、ガチグマを強い光が照らした。
「グルォーッ!?」
「あ……」
「バカタレ! シゲキスルナシ!」
「ご、ごめん……!」
ユウが謝る中、ガチグマはユウ達を睨み付けると、辺りに響く程の大声を上げた。
「ワギアアアア!」
「カンゼンニゴリップクダシ」
「ごめん、僕のせいで……」
「こうなったら仕方ないべ。勝てる自信はまったくないけど……!」
「ゼンリョクデタチムカウシ!」
ガチグマが雄叫びを上げる中でユウ達は立ち向かうためにモンスターボールを構えた。