「……行こう、ホムラ!」
ユウが投げ上げたボールからはホムラが飛び出し、それを見たシュリはヒレを組んだ。
「ホムラカダシ……パーティノエースデアリ、イチバンノツヨサヲモッテルポケモンダケド、アイショウノイイワザガきあいだまシカナイカラキツイタタカイニナルシ」
「それにさっきの技もある。ユウ、どうやって戦うつもりだ?」
シュリとスグリが見守る中、ユウは雨に打たれながらホムラに声をかけた。
「ホムラ、待たせてごめん。でも、僕はもう迷わないよ。だから、力を貸してくれるかな?」
「グル! グルォ!」
「……うん、ありがとう。よし……やるよ、にほんばれ!」
「グルォ!」
ホムラが両手を広げると降り続いていた雨は止み、夜空に浮かぶ月がその輝きを増した。
「ホムラノシンカハヒザシガツヨイトキニハッキサレルカラコノセンタクハマチガイデハナイシ。タダ、アノガチグマモトクシュコウゲキガトクイナヨウニミエルシ、ホムラノジャクテンニナルだいちのちからモアルシ。イクラタイリョクヲケズッテイルトハイエ、コッチモサンパワーデタイリョクハケズラレテイクシ」
「そこが問題だべな……」
「タダ、ホムラノテラスタイプハドラゴンダシ。テラスタルヲスレバアイテカラジャクテンヲツカレズニスムシ。ダカラテラスタルスルノガイチバンダシ」
「んだな……」
スグリとシュリが話す中、ユウはホムラに指示を出した。
「ホムラ、まずはりゅうのはどう!」
「グルォ!」
ホムラが放ったりゅうのはどうはガチグマに命中したが、ガチグマは軽く呻くだけで倒れる様子を見せなかった。
「りゅうのはどう……弱い技じゃないけど、どうして今なんだ?」
「ガチグマハオソソウダカラだいもんじヤきあいだまデモイイシ。ユウハナニヲカンガエテルシ?」
シュリとスグリが不思議そうにする中、ガチグマは額の模様を輝かせ、そこから赤い光線を撃ち出した。
「来た……! 躱してからだいもんじ!」
「グルオォ!」
ガチグマの攻撃を躱すと、ホムラはだいもんじを放った。そしてガチグマはだいもんじを受けながらも大地に両手を叩きつけ、それを見たユウはホムラに指示を出した。
「だいちのちから……! ホムラ、避けて!」
「グルウォ!」
ホムラが間一髪のところで避けると、ユウはガチグマを見ながら口を開いた。
「……やっぱりだ」
「やっぱりって……どういう意味だ?」
「あの技はたぶん連続では使えないし、ガチグマは大技としてじゃなくただのカウンターのつもりで使ってるんだ。そんなに命中しない技じゃないんだろうけど、さっきも今も何かの技を受けて相手が油断した時に使ってる。だから、あの技は確実に当てたい技なんだと思う」
「ナルホドダシ。タシカニレンゾクデハツカッテナイシ、デカハンマートオナジパターンナノハマチガイナサソウダシ」
「おれも同感だ。ただ、それがわかったとしてもまだガチグマは倒れそうな感じはしない。もう一つの技だってまだわかってないし……このままじゃホムラだっていつか体力が尽きてしまうべ」
スグリが不安そうに言う中、ユウは静かに頷いた。
「そうだね。でも、大丈夫だよ」
「え?」
「僕はホムラの事を信じてる。こっちが不利ではあるけど、ホムラだって負けたくないだろうし、そのやる気に賭けたい」
「……ホントニユウラシイシ」
「そうかもね。ホムラ、やると決めた以上は全力で行こう!」
「グルォ!」
ホムラが返事をすると、その身体は白い光に包まれ始めた。
「こ、これって……!」
「シンカノヒカリダシ!」
ユウ達が見つめる中、光の中でホムラは変化していき、やがて光が消えるとそこには暗闇のように黒い身体を持ち、雄々しい翼を背中から生やしたホムラが立っていた。
「グオォーッ!」
「ホムラ……進化したんだね、リザードンに!」
「コレハケッコウナパワーアップダシ! テラスタルヲシテイナイコトデホムラハホノオトヒコウのフタツノタイプヲモツカラだいちのちからダッテヘッチャラニナッタシ!」
「うん。それに、新しい技まで覚えたようだからこのままガンガン行こう、ホムラ!」
「グオ!」
ホムラが振り返りながら答えると、ユウは大きく頷いてからガチグマに再び視線を向けた。
「ガチグマ、君を怒らせてしまった事は本当に申し訳ないと思ってる。でも、戦うと決めた以上は最後までやらせてもらうよ。僕だって友達を守りたいから」
「グルル……」
ガチグマが唸り声を上げる中、ユウはホムラに声をかける。
「やるよ、ホムラ。このバトルに勝ってみんなのところに戻るんだ!」
「グルォ!」
目映い程の月明かりが照らす中、漆黒の竜が大きく咆哮を上げた。