ポケットモンスター~偽竜の司令官~   作:九戸政景

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第二百六十話

 バトルが終わり、ユウ達がボールにポケモンをしまうと、シュリは辺りを見回した。

 

 

「……ミロカロス、イナイシ?」

「あれ……本当だ。さっきまでいたはずなのに……」

「うーん……すぐに逃げちゃったのかな? 落ち着かせるためとはいえ、だいぶダメージを与えちゃったからきずぐすりとかで回復しようかなと思ったのに……」

「……それについては必要ないわよ」

「え?」

 

 

 ユウ達がゼイユに視線を向けると、スグリが小さく震える中でゼイユは表情を暗くしながら口を開いた。

 

 

「……さっき、ここに関する伝承を思い出したって言ったでしょ? それってここでは死者に会えるというものなの」

「死者……え、それじゃあさっきのミロカロスってまさか……!?」

「……実際のところはわからないけどね。今みたいな攻撃的になったポケモンが襲ってくる事はたまにあるからね」

「ただ、今のミロカロスはテラスタルでゴーストタイプになった。だから、さっきのミロカロスは、たぶん……」

 

 

 スグリが声を震わせながら言うと、シュリは納得顔で頷いた。

 

 

「ナルホドダシ……」

「シュリ、どういう事?」

「アノミロカロス、コトバニナッテナイコトバカリイッテタキガスルシ。タショウコトバハハナシテイタケド、ナンダカヘンナカンジデハアッタシ。マルデ、ジブンノイシキガアマリナイヨウナカンジダッタシ……」

「……な、なんだか寒気がしてきましたね」

「だ、だな……」

 

 

 ブライアが調査を続ける中でネモ達が顔をひきつらせていると、ユウは何も言わずに近くに生えていた花を一輪摘み取った。

 

 

「ユウ?」

「……もしそうなら手向けたいなと思って。そうじゃなかったとしても申し訳ない事をしたし、オボンのみと一緒に置いていこうと思うんだ」

「……そっか」

「ユウ君は本当に優しいね。折角だから私達も手を合わせていこうか」

「サンセイダシ」

 

 

 ユウがてらす池に一輪の花とオボンのみを浮かべると、ユウ達は目を閉じながら手を合わせた。そして数秒ほど続け目を開けると、そこには一匹のヒンバスの姿があった。

 

 

「あれ……?」

「ヒンバスダシ。ミロカロスノシンカマエダケド……ココデデテクルトサッキノヒンバスガウマレカワッタカノヨウニミエルシ」

「バス。バスバースヒンバ」

「シュリ、なんだって?」

「……ドウヤラ、コノヒンバスニハナクナッタハハオヤガイテ、ソノハハオヤヲミカケタキガシタカラキテミタヨウダシ。ソシテカタミノきれいなウロコモモッテルヨウダシ」

「それじゃあさっきのがたぶん……」

 

 

 ユウ達が俯く中、ネモはモンスターボールを取り出した。

 

 

「ネモ?」

「この子さえよかったら捕まえたいなって。あのミロカロスも強かったし、この子にも強くなってもらえたらミロカロスも喜ぶかなって」

「ソレハワカラナイケド、ヒンバスガノゾムナライイトオモウシ。ヒンバス、ドウダシ?」

「ヒンバ、ヒンババスバース」

「ツイテク、オカアサンニデアエタヒトタチナラシンヨウデキソウ、トイッテルシ」

「わかった。それじゃあこれからよろしくね、ヒンバス!」

 

 

 ネモがヒンバスにボールをぶつけヒンバスを捕まえると、そこに結晶の欠片と池の水を詰めたビンを持ったブライアが近寄った。

 

 

「みんな、これは本当に素晴らしいよ!」

「ブライア先生、それは?」

「池の水とそこに落ちていた結晶の欠片だよ。特にこの水はテラスタルエネルギーと同じ波長を持っていて、パルデアから遠く離れたこの地でもテラスタルが観測されるのはこの池が関係しているのではないかと考えているんだ!」

「……先生、勝手に採取をしないでください。まあ採っちゃった分については不問にしますから、これ以上勝手な真似はしないでくださいね?」

「ああ、良いとも。だいぶ満足したからね」

「おれ達がバトルしてる時でもその辺を調査して回ってたしな……」

 

 

 スグリやゼイユがジトッとした視線をブライアに向ける中、ユウやネモは苦笑いを浮かべた。

 

 

「なんというか、レホール先生と会わせちゃいけない感じの人なんだね。まあそれはさておき……僕達も欠片を拾って帰りましょう。その後は家に行けば良いんですか?」

「じーちゃんは話があるからともっこプラザのとこまで来て欲しいって言ってたわ。まあそこに行くくらいは別に良いし、さっさと採取して行きましょ」

 

 

 その言葉に頷いた後、ユウ達は採取をするために辺りを見て回った。そして採取を終えててらす池を後にするその姿を半透明のミロカロスが静かに見つめていた。

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