十数分後、ユウ達がともっこプラザに到着すると、その音にユキノシタは振り返り、ゆっくりとユウ達に近づいた。
「来てくれたか。てらす池のけっしょうのかけらはどうだった?」
「しっかり採ってきたわよ、じーちゃん。ほら」
ゼイユがけっしょうのかけらを、そしてユウがみどりのめんをユキノシタに渡していると、ユウの腰のベルトについていたボールの一つからシンが飛び出した。
『呼ばれなくてもじゃじゃーん!』
「わっ……し、シン……」
「ホントニジユウダシ……ナンデデテキタシ? ゴハンノジカンナラマダダシ」
『それはわかってるよーだ。そろそろ鬼ちゃん呼んできてあげよっかなと思ってるんだけどどうする?』
「そうだね……うん、お願いしようかな」
『オッケオッケー! ではでは~、レッツゴー!』
シンがテレポートで姿を消すと、ユキノシタは苦笑いを浮かべた。
「なんと言うべきか……ユウ君が連れているミュウはだいぶ無邪気なのだな」
「あはは……あの、ここに来るように伝えたのは何故ですか?」
「ああ、その事か。鬼、オーガポン様に出会った君達にこのキタカミに伝わっていない真実を伝えるためだ。家でも良かったんだが……君達全員がこの看板を目にしているからな。その真実に関係する出来事が書かれているのがこの看板だからここで説明したかったんだ」
「それについては予想通りね。それで、その真実って?」
「ああ、それなんだが……」
ともっこプラザを興味深そうに調べているブライアをユキノシタが不安そうに見ていると、ゼイユは大きくため息をついてから首を横に振った。
「……集中してるから大丈夫よ。さっきだってあたし達がバトルをしているにも関わらずてらす池を調査していたし、引率のはずなのに私達の様子をまったく気にしていなかったから」
「そ、そうか……それはそれで問題だと思うがまあ良いだろう。それなら話を始めるとするか。みんな、この事は他言無用で頼むぞ」
ユウ達が頷いた後、ユキノシタは静かに話を始めた。そして数分かけて話をし終えると、ユウ達は揃って表情を暗くした。
「そんな事って……どうにか村の人達にも慣れてきてもらえたのに……」
「オーガポンが本当に可哀想だし、ともっこ達は本当に酷いと思う……」
「んだな……鬼さま、本当に悲しかっただろうし、ともっこ達の命を奪ってしまう程に怒りを感じたのだってわからないわけじゃないべ……」
「……正直、スグリにこの事を話すのは気が進まなかった。スグリがオーガポン様を心から好きなのはわかっておったし、それを知ってしまったら村のみんなに真実を教えて回ろうとするだろうからな。けれど、そんな事をしたところで先祖であるお面職人のようにウソつきだと言われた上に迫害される恐れがあった。だから、ゼイユにだけ近い内に伝え、スグリにはいずれ話すつもりだったのだ」
「そっか……でも、同時に伝えてくれる方がおれ的には嬉しいべ。ねーちゃんが先に知ってその後も隠されていたら仲間はずれにされた感じで絶対に嫌な気持ちになっていたからな」
「……ああ、そうだな。本当にすまなかった。さて、後はこのみどりのめんを直し、オーガポン様にお返しするだけだな」
ユキノシタがみどりのめんを見る中、ユウはともっこの石像に視線を向けた。そこにはてらす池から採取した水や結晶の欠片が入ったビンを持ったブライアが立っていたが、その手からビンが滑り落ちると、ビンが割れた事でガラスと共に中身がその場に散らばった。
「ブライア先生……?」
「……ん、ああすまない。石像が見事な出来だったので見入っていただけなんだが……うっかり貴重な資料を落としてしまったよ」
「まったく……何をして──」
その時、大地が揺れ始め、ともっこの石像は紫色のモヤに覆われ始めた。
「な、なに……!?」
「ナンダカワカラナイケド、イヤナヨカンガスルシ……!」
ユウ達が揺れに耐える中で石像を祀っている祠は地面から吹き出した紫色のエネルギーによって破壊され、土煙が立ち上る中に三つの影が映し出された。
「何か……いる……!?」
「クセモノ……スガタヲアラワスシ!」
ユウ達が警戒する中、煙はゆっくりと晴れていった。そしてそこに立っていたモノ達の正体が明らかになった瞬間、ユウ達は心から驚いた様子を見せた。
「え、もしかして……この三匹って……!?」
「と、ともっこ……!?」
「ヌンダフル!」
「マシッキャー!」
「キチチチチ!」
ともっこの石像と同じ姿をした三匹のポケモン達はそれぞれ大きな鳴き声を上げた。