十数分後、ユウ達が恐れ穴と呼ばれる場所に着くと、そこにはオーガポンとシン、そして地面に倒れるともっこ達の姿があった。
「着いた……けど、ともっこ達が……」
「か、簡単に倒されてるべ……」
『あ、みんなー。おっすおっすー』
「そういえば、シンに迎えに行ってもらってたんだっけ……」
「ともっこ達の復活があったから忘れてたね……」
ユウ達がオーガポンに近づくと、ユウがオーガポンの肩に触れる中でスグリはオーガポンに話しかけた。
「鬼さま、大丈夫だべか!?」
『大丈夫、ケガ一つ無いよ。シンと話をしていた時に三匹が襲いかかってきたんだけど、コイツらがアタシに手を出す前にシンがあっという間にねじ伏せてしまったからねぇ。お面がない状態じゃあやっぱりコイツらの相手が出来なかったから助かったよ』
「シンがバトルをしているところは見た事はないけど、伝説のポケモンであり、さいきょうの証持ちだけあって本当に強いんだね。復活したばかりとはいえ、三匹を相手にしながらオーガポンも守ったわけだし……」
『コイツら毒タイプだし、ボクはいくらでも技を変えて戦えるからねー。これくらいよゆーよゆー。まあ懲りもせずに出てきたところ悪いけど、もう一度いなくなってもら──』
「そこまでだ、シン」
落ち着いた声で言いながらミュウツーが現れると、シンは残念そうな顔をした。
『なんだよ、ミュウツー。べっつに良いじゃんかー』
「こやつらはあくまでもユウ達の試練に必要な存在だ。勝手な真似をするな、シン」
『ちぇー……んで、その試練って結局どうすんのさー? 鬼ちゃんを傷つけようとしたから懲らしめたけど、このままだとユウ達が圧勝しちゃうよ?』
「お前ならば問題なく傷を癒せるだろう。さっさと回復してやれ」
『へいへーい。ほい、いやしのしずくー』
シンが両手を上にあげると、ともっこ三匹の頭上に光輝く雫が降り注ぎ、それによってともっこ達の傷が消えていくと、その表情は和らいでいった。
「ヌンダ……」
「キモチヨサソウダシ。ケド、ホントニドウスルンダシ? コノママカイフクシタラオメンサガシニドッカイッチャウシ?」
「むしろ好都合だろう。愚かな人間達は偽りを信じ、オーガポンの面を飾っていて、特別な理由でもなければお前達に渡そうとすらしない。ならば、こやつらを面の元に行かせ、人間達が喜んで渡してきた後に実力を以て奪い返せば良い。もっとも、こやつらが来たとなれば、人間達は喜んでもてなし、こやつらはより力をつけるだろうがな」
「それじゃダメじゃない! だったら、コイツらを行かせるのは反対だわ!」
「フン、怖いのか? 小娘。弟ばかりを威圧し、他者に対して高圧的なのもおおよそ己の弱さを隠すためなのだろうな、小娘よ」
ミュウツーの言葉にゼイユは怒りを露にした。
「はあ!? そこまで言うならやってやろうじゃない! あたし達の力を見せつけて、その偉そうな態度を改めさせた上で埋まるぐらいに土下座させてやるわ!」
「決まりだな。シン、ともっこ達をキタカミセンターに送ってやれ」
『しょうがないなぁ……それじゃあみんな、また後でー』
その言葉と同時にシンがともっこ達と一緒に消えると、ミュウツーはユウ達を見回した。
「では行ってこい、お前達。我はここで待つとしよう」
「う、うん……でも、これで本当に試練になるの?」
「ユウ?」
「ほう。では、お前にとっての試練とはなんだ?」
ミュウツーの問いかけに対してユウは真剣な顔で答える。
「……オーガポンからすればともっこ達は本当に許せないだろうし、また村の人達と一緒にお祭りを楽しんだり好きな時に村に遊びに行ったりしたいかもしれない。でも、それだと今度はともっこ達がただの悪者として後ろ指を指される事になるし、騙されたと思った村の人達がともっこ達を倒そうとしてまた命を奪う事になるかもしれない」
「それもまた自然な事だろう。自分達が信じてきた歴史が偽りで、本当に敵とするべき相手を英雄として崇めてきたのならば憤るのも仕方はない」
「……勝手な事を言うようだけど、僕はそんな終わり方は嫌だ。だから、ともっこもオーガポンも村の人達に認められるような終わり方を見つけるよ。君から課された試練の他にもね」
「……そうか。ならばやってみせろ、我はただ待つだけだからな」
「うん。行こう、みんな」
ユウの言葉にミュウツーを除いた全員が頷いた後、ライドポケモンに再び乗り、キタカミセンターに向けて出発した。