『……全ての始まりは俺と坊っちゃんが出会った事だ。昔の俺は力が弱くてこんなに大きな体もしていなかった。だが、坊っちゃんと出会って俺は変われた。だから、俺は坊っちゃんにかんしゃしているんだ。もちろん、他の二人もそうだろうけどな』
「その坊っちゃんっていうのは? 桃のような形をしているのはわかっているんだけど……」
『坊っちゃんと俺達が呼んでいるのは、モモワロウというポケモンだ。モモワロウの坊っちゃんはとても小さくて幼くて臆病なお方で、ちょっとワガママなんだが何だかんだで俺達も気遣ってくれる優しいお方なんだ』
『まああんた達からすればモモの坊っちゃんはあっしらを纏める黒幕に過ぎないだろうが、あっしらにとっては本当に大切なお方だ』
『少し……いや、だいぶあのモチには気持ちをかき乱されたけど』
「モチ……ダシ?」
シュリが首を傾げると、イイネイヌは静かに頷いた。
『坊っちゃんは自分から生成しているモチ──俺達はそれをくさりもちって呼んでる──を食べさせる事が出来る。くさりもちは本当に美味く、俺達は好きだったんだが、そのくさりもちは食べた奴の能力、そして願望を引き出す効果がある。それが……原因だったんだ』
「それによってお面を欲しいという気持ちが増大しちゃったって事?」
『そうだが、欲しがったのはあっしらじゃない。モモの坊っちゃんを可愛がっていたという人間の老夫婦だ。モモの坊っちゃんはお面を持ってくればもっと老夫婦が喜んで可愛がってくれると考えて、その頃から一緒にいたイイネイヌを連れてここを目指し始めてその途中で出会ったあっしらにくさりもちをくれてそれぞれ欲しかった物を手に入れた。だから、ついていくと決めたんだ』
『恩返しでもあったけど、モモワロウ坊っちゃんをボク達が放っておけないのもあったよ。まだ幼い方でもあったから色々な事でピエピエ泣いていたし、なにかと可愛らしい方でもあったからね』
『そして旅を続け、俺達はこのキタカミに辿り着いた。目的の面を見つけてそのまま帰ろうとした時、鬼のすみかに帰ってきた奴がいた』
その瞬間、オーガポンはハッとする。
『まさか、その時にあの人が……』
『俺とキチキギスは面を取られまいと抵抗するそいつを傷つけ、外にいたマシマシラと坊っちゃんと合流して早々に立ち去ろうとした。けれど、その前に鬼が追い付き、残った面の力を使って俺達を叩きのめしてそのまま命を奪った。それが本当にあった事だ』
「そう、だったんだね……」
ユウは呟くと、ふわりと笑いながらともっこ達を次々と抱き締めた。
『え?』
「……話してくれてありがとう。これで確信できたよ。悪い事はしたけど、君達だって必ずしも悪者ではなかったってね」
「オーガポンノタイセツナヒトヲキズツケタリムリヤリオメンヲウバッタリハシタシ。デモ、アクマデモソレハジブンヲスクッテクレタアイテノタメダッタシ。ヤリカタサエアッテレバ、ダレモキズツカナクテスンダダケダシ」
『やり方……』
「僕は条件付きでポケモンと話せるし、人間の言葉を話せるシュリもいる。その時には同じような人間はいなかっただろうけど、オーガポンは言葉がなくても人間とわかり合えた。だから、君達だって出来たんだよ。しっかりと気持ちを伝えてお面を新しく作ってもらうというやり方が」
「ムカシバナシダッテソノトキノジョウキョウダケヲシンジタムラビトタチガワルイシ。ゼンブゼーンブシッカリトカクニンヤカイワヲスヘバヨカッタダケナンダシ」
その言葉でオーガポンとともっこ達は膝をつくと目から涙を溢し始め、やがて大声で泣き始めた。そしてユウのそばにネモ達が来る中、四匹のポケモン達はしばらく泣き続けた。