オーガポンとともっこが泣き止むと、ユウは四匹に声をかけた。
「みんな、落ち着いた?」
『ああ、もう大丈夫だよ。あの人がもういない事を思い出したのもそうだけど、アタシ自身もしっかりわかってもらおうとすれば良かったんだと思ったら色々切なくなってねぇ……』
『俺らも鬼、いや姐さん達にしっかり話をすれば穏便に事を運べて、坊っちゃんをまたあの老夫婦に会わせられたんだと思ったら、俺らのやってしまった事が本当に愚かだったって思い知らされたぜ……』
『やり方一つ、か……本当にそうだったよなぁ……』
『……鬼の姐さん、謝ったって済まない事はわかっていますけど、しっかり謝らせてください。お面の件、そして大切な人を傷つけてしまった事、本当に申し訳ありませんでした』
キチキギスが頭を下げるのに続いてイイネイヌとマシマシラが頭を下げると、オーガポンも頭を下げ返した。
『アタシこそ本当にごめんなさい。怒りで我を忘れていたり事情を知らなかったりしたとはいえ、貴方達を手にかけた上に大切な人とも離ればなれにさせてしまったんだから』
『姐さん……』
『因みに、これだけは確認しておきたいのだけど、貴方達はあの人の命までは奪ってないのよね?』
『ああ、殺すまではする必要はないし、抵抗されたから殴ったり蹴ったりしたくらいだ』
『そう……でも、アタシが戻ってきた時にはもうあの人の姿はなかった。残っていたのは血の跡とみどりのめんだけだった。だから、貴方達を追って山の中を彷徨ってたぶんそのまま……』
オーガポンとともっこ達が沈痛そうな表情を浮かべる中、シュリはヒレを組んだ。
「シンソウハカコノナカダシ。ソレデ、オーガポントともっこノケンハドウスルシ?」
「……事情はわかりましたし、私達が信じてきた昔話の真実も理解しました。なので、オーガポンさまもこのキタカミの住民の一人として受け入れましょう。もちろん、ともっこさまもこれまでと変わらずに」
「そうですか……よかったぁ」
「ユウ達の頑張りが報われたね」
「うん。オーガポンもともっこのみんなも良かったね。どちらか片方だけが可哀想な事になるのは避けたかったからこういう形に落ち着けて僕も嬉しいよ」
『ユウの兄貴……』
イイネイヌはマシマシラとキチキギスの二匹と頷き合うと、ユウの前に立って揃って片膝をついた。
『兄貴、これが礼になるかはわからねぇが、俺らも兄貴達に力を貸してぇ。だから、あんたらの旅に同行させてくれねぇか?』
「え、良いの? それは嬉しいよ、ありがとうね」
『だが、出発まではウチの坊っちゃんを探させてくれ。さっきの話では商店がどうとか言ってたんだが……』
「たしかに桃っぽい置き物はあったし、シンも気にしてたからね。因みに、シンは良いの?」
シンは宙に浮かびながらため息をついた。
『ユウが良いなら良いよ。コイツらも反省はしてるみたいだし、もう悪さはしないでしょ。まあしたところでボクがおしおきするけどね』
「うん、わかった。それじゃあまずは桃沢商店まで──」
『ユウ君、今回の件でアタシもお礼をしたいんだけど良いかい?』
「うん、それは良いけど……なに?」
オーガポンは笑みを浮かべながら答えた。
『アタシもユウ君達に力を貸したい。だから、仲間に加えて欲しいんだよ』
「え……」
『オーガポンモクワワルノハウレシイケド……』
シュリがスグリを見ると、スグリは辛そうな表情を浮かべており、やがてスグリの口からは震えた声が出てきた。
「……ユウ、一つ頼まれてくれるか?」
「……うん、良いよ」
「俺と……バトルをしてくれ」
「スグ……」
ゼイユが心配そうに見る中、スグリはヘアバンドで前髪を留め、モンスターボールを手に取った。
「チャンスがないのはわかってる。でも、やっぱり諦めたくないし、八つ当たりなのもわかってる。だけど……頼む、俺とバトルをしてくれ」
「……良いよ。スグリ君がこの中で一番オーガポンの事を好きなのはわかってるからね。その気持ち、しっかりと受け止めさせてもらうよ」
「ありがとう。ルールは一体ずつのシングルバトル、どちらかのポケモンが先に戦闘不能になったらそこで終わりだ。それで良いか?」
「うん、良いよ。スグリ君、僕だって負けないから」
「……ああ、本気で来てくれ」
ユウが静かに頷いた後、ネモ達やオーガポン達が見守る中で距離を取った。そしてユウがモンスターボールを手に取った後、二人の手からはモンスターボールが放たれた。