ユウが見下ろす中、スグリは腕を地面につけた。
「届かなかった……鬼さまにも、勝利にも……」
「スグリ君……」
「ユウ、イマハソットシトクシ」
「……そうだね」
ユウがホムラをしまってからスグリから離れると、ユウにはネモ達が、そしてスグリにはゼイユが近づいた。
「スグ、ほら立ちなさい」
「ねーちゃん……」
「いつもならお尻叩いてでも活を入れるところだけど……今日のところは勘弁してあげる。あんたのオーガポンへの気持ちも、勝ちたいという思いも聞けたから」
「ねーちゃん、おれ、おれ……!」
「いつもの弱虫で臆病なところがあるあんたにしては本当に頑張ってた。それはしっかりと認めるし、ちょっとだけ、ほんのちょーっとだけカッコよかったわ。お疲れ様、スグ」
立ち上がったスグリはゼイユの胸に顔を埋めると、想いを全て吐き出すように大きな泣き声を上げ、それを見ながらユウは複雑そうな表情を浮かべた。
「スグリ君の想い……しっかりと受け止めたからこそ、本当に僕が選ばれて良かったのかなと思っちゃうな」
「イインダシ。ソレガオーガポンノセンタクダカラ、ムネヲハルシ」
「そうだよ、ユウ。バトルだってお互いに頑張った結果だから、この勝利には自信を持とう」
「……うん。オーガポン、待たせちゃってごめんね」
『別に良いよ、ユウ君。スグリ君の気持ちも伝わってきたし、とても良い物を観させてもらったよ』
「それなら良かった。それじゃあそろそろゲットを……」
『……だからこそ、こんな気持ちになったんだろうねぇ』
空のモンスターボールをユウが手に取ろうとする中、オーガポンは深く息をつくと、ユウの目を見ながら口を開いた。
『ユウ君、アタシともバトルをしておくれ』
「え、オーガポンとも?」
『ああ、今はそんな気分じゃないと思うけど、アタシ自身もユウ君の強さを味わいたくなったんだよ』
「ソレハオメガタカイシ。ケド、シュリタチトノバトルノオダイハタカクツクシ?」
『素寒貧にならないように気を付けるさ。ユウ君、良いかい?』
「うん、良いよ。でも、それなら……」
そう言うと、ユウはスグリに近づいた。
「スグリ君、ちょっと良いかな?」
「……ユウ、なんだ?」
「今、こんな事を言うべきじゃないだろうし、ゼイユさんからビンタをされる覚悟も決めてる。でも君だから、スグリ君だからこそお願いしたいんだ。良いかな?」
「良いけど……なんだ?」
目元を腫らしたスグリが聞く中、ユウは手を差し出した。
「僕に力を貸してほしいんだ。オーガポンと戦うためには君が必要なんだ、スグリ君」
「おれが……でも、それならネモさんやハルトだっているべ? 二人ともバトルは強いんだし、そっちの方がいいんじゃ……」
「君じゃないとダメなんだ。実力を見せ合い、オーガポンへの想いを見せてくれた君だから、このキタカミの里で出来たライバルの君だからこそ頼むんだよ、スグリ君」
「ユウ……」
スグリはユウの手を見た後、ゼイユに視線を向けた。ゼイユが何も言わずに笑みを浮かべながら頷くと、スグリは頷き返し、ユウの手を取った。
「……わかった。せっかくの友達からの、そしてライバルからの頼みだ。全力で行こう、ユウ!」
「うん、よろしくね! スグリ君!」
「ああ!」
笑みを浮かべながらスグリが答えた後、スグリがカミッチュをしまってから二人はオーガポンに近づいた。ともっこ達からお面を受け取っていたオーガポンは二人に視線を向けると、嬉しそうな笑みを浮かべた。
『二人で来てくれて本当に嬉しいよ。若者にもまだまだ負けてないってところ、見せつけてやらないとね!』
「君の強さはわかってるよ。だからこそ、油断はしない。本気で挑むよ!」
「憧れだった鬼さまと戦えんのは夢みたいで嬉しい。だからこそ、勝ちたい。全力で超えさせてもらうべ!」
「フタリトモヤルキハジュウブンダシ。サア、コノバトルモモエアガッテイクシ!」
二人はそれに頷き、オーガポンは満足げに頷いた。そしてオーガポンがかまどのめんを被る中、二人は手にしたモンスターボールを放り投げた。